医療保険
50代からの医療保険:保険料の負担と保障のバランス

「老後まであと少しだけど、保険は継続すべき?それとも貯蓄で備える方がいい?」
50代は、病気やケガのリスクが高まり始め、医療保険の必要性が増す一方で、保険料も上昇し、家計の負担が重くなる時期です。また、定年退職が視野に入ってくるため、老後の医療費への備えをどうするか、真剣に考える必要があります。
この記事では、50代からの医療保険の考え方を解説します。高齢期の医療費リスクを明確にし、終身医療保険への移行について詳しく掘り下げます。そして、医療保険を継続すべきか、それとも貯蓄で備えるべきか、その判断基準を提案します。
高齢期の医療費リスクと備えの必要性

50代以降は、若年層に比べて病気のリスクが高まります。医療保険を見直す前に、まずは高齢期の医療費リスクを把握しておきましょう。
高齢期の医療費リスク
病気のリスクの上昇:
がん、心疾患、脳血管疾患といった三大疾病や、生活習慣病のリスクが高まります。
入院日数の長期化:
年齢とともに、入院日数が長期化する傾向があります。
医療費の自己負担額の増加:
公的医療保険では、年齢や所得に応じて医療費の自己負担割合が変わります。70歳以降と75歳以降で、自己負担額が増加する可能性があります。
医療保険で備えるべき費用
公的医療保険には高額療養費制度がありますが、それでも賄いきれない費用は以下のようなものがあります。
差額ベッド代:
個室や少人数の病室を選んだ場合の費用です。
先進医療費:
公的医療保険の対象外となる先進医療の技術料です。
入院中の食事代・雑費:
入院中の食事代や、日用品などの雑費です。
終身医療保険への移行を検討するタイミング

若いうちに定期型の医療保険に加入していた場合、50代で更新を迎えると、保険料が大幅に上がることがあります。このタイミングで、終身医療保険への移行を検討しましょう。
終身医療保険への移行
仕組み:
定期型の医療保険を、保障期間が一生涯続く終身医療保険に切り替えることです。
メリット:
・保険料が一定: 契約時の保険料が一生涯変わらないため、老後の保険料負担が心配ありません。
・保障の一生涯継続: 何歳で入院・手術をしても、保障が続きます。
デメリット:
・保険料の割高: 定期型に比べて、月々の保険料が高くなります。
・保障内容の古さ: 長期間保障が続くため、最新の医療技術に対応していない可能性があります。
見直しの際の注意点
保険料の総額:
終身医療保険に移行した場合、保険料の総支払額が定期型に比べて増える可能性があります。
告知義務:
新しい保険に加入する場合、健康状態の告知が必要です。持病がある場合、加入が難しかったり、保険料が割増されたりする可能性があります。
医療保険を継続すべきか、貯蓄で備えるか

50代になると、ある程度の貯蓄がある方も多いでしょう。医療保険を継続すべきか、それとも貯蓄で備えるべきか、そのバランスを考えることが重要です。
貯蓄で備えるメリット・デメリット
メリット:
・自由な使い道:貯蓄は、医療費だけでなく、旅行や趣味など、自由に使うことができます。
・元本割れのリスクがない:預貯金であれば、元本割れのリスクはありません。
デメリット:
貯蓄が追いつかない:病気やケガで高額な医療費がかかった場合、貯蓄が尽きてしまうリスクがあります。
医療保険で備えるメリット・デメリット
メリット:
・高額な医療費に備えられる:先進医療特約などを付加することで、貯蓄だけでは賄えない高額な医療費に備えられます。
・精神的な安心感:万が一のことがあっても、保険で備えているという安心感があります。
デメリット:
保険料負担:毎月の保険料の負担があります。
まとめ:50代からの医療保険は「守り」と「安心」のバランス
50代からの医療保険は、高齢期の医療費リスクに備え、保障と保険料のバランスを考えることが重要です。
・高齢期の医療費リスクを理解し、終身医療保険への移行を検討しましょう。
【補足】: 2022年10月からは、一定以上の所得がある75歳以上の方の医療費の窓口負担割合が1割から2割に変更されており、医療費負担が増加する可能性があります。
・医療保険を継続すべきか、貯蓄で備えるか、それぞれのメリット・デメリットを理解し、あなたに合った最適な選択をしましょう。
・医療保険を見直す際は、保険料の総額、告知義務など、注意すべき点をしっかり確認しましょう。
50代のうちに医療保険を見直し、老後に向けた安心の基盤を築いていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。