相続
隠れた財産を見つける!相続財産調査の7つの方法とチェックリスト【漏れなし徹底ガイド】

相続が発生したとき、被相続人がどのような財産を所有していたのかを正確に把握することは、遺産分割や相続税申告を進める上で最も重要な第一歩となります。預貯金や不動産だけでなく、株式、保険、さらには借金などのマイナスの財産も含めて、漏れなく調査する必要があります。財産調査が不十分だと、後から未申告の財産が見つかり、追徴課税を受けたり、相続人間でトラブルが生じたりする可能性もあります。
この記事では、相続財産を漏れなく調査するための7つの方法を具体的に解説します。
相続財産を正確に把握する重要性

相続財産の調査が不十分だった場合、以下のようなリスクがあります。
・遺産分割協議のやり直し:後から財産が見つかると、協議を最初からやり直す必要がある
・相続税の申告漏れ:相続税の基礎控除を超える財産があれば、本来申告すべきだったのに未申告となり、追徴課税の対象となる
・相続放棄の判断ミス:借金の存在を知らずに相続してしまい、後悔する
・相続人間のトラブル:一部の相続人だけが知っていた財産が後から判明し、信頼関係が崩れる
こうしたリスクを避けるため、相続が発生したら、まずは徹底的な財産調査を行いましょう。
調査の準備:被相続人の生前の書類整理

財産調査を始める前に、被相続人の自宅や事務所に保管されている書類を確認しましょう。以下のような書類や物品が手がかりとなります。
・通帳、キャッシュカード:金融機関名と支店名を確認
・不動産の権利証(または登記識別情報通知書):不動産の所在地を確認
・株式の取引報告書、証券会社からの郵便物:証券口座の有無を確認
・保険証券、保険料の領収書:生命保険や共済の契約内容を確認
・自動車検査証(車検証):自動車の所有を確認
・郵便物:銀行、証券会社、保険会社、クレジットカード会社などからの郵便物
これらの書類は、財産調査の大きな手がかりとなります。被相続人が几帳面に整理していた場合は比較的スムーズですが、整理されていない場合は、根気よく探す必要があります。
7つの財産調査方法

調査1:預貯金口座の調査
預貯金は相続財産の中で最も一般的なものです。被相続人が取引していた金融機関を特定し、残高証明書を取得することで、正確な預金額を把握できます。
残高証明書とは、特定の日付(相続の場合は死亡日)時点での口座残高を金融機関が証明する書類です。通帳だけでは記帳漏れや複数口座の存在を見落とす可能性があるため、残高証明書の取得が推奨されます。
【残高証明書の取得方法】
・取引銀行を特定する(通帳、キャッシュカード、郵便物などから)
・必要書類:被相続人の死亡の事実が確認できる戸籍謄本、申請者が相続人であることを証明する戸籍謄本、申請者の印鑑証明書と実印、申請者の本人確認書類
・申請場所:取引銀行の窓口(または郵送)
・手数料:金融機関により異なります
・交付まで:約1~2週間
【注意点】
・通帳がない口座(ネットバンク、休眠口座など)も残高証明書で確認できる
・残高証明書を請求すると、金融機関は口座を凍結する
・複数の支店に口座がある場合、それぞれで残高証明書を取得する必要がある
調査2:不動産の調査
不動産は相続財産の中で最も価値が高いことが多く、漏れがあると相続税申告に大きな影響を及ぼします。不動産の調査方法は以下の通りです。
【方法1:固定資産税納税通知書で確認する】
毎年4月~6月頃に市区町村から送付される固定資産税納税通知書には、被相続人が所有する不動産の一覧が記載されています。ただし、1月1日時点の情報であるため、1月2日以降に取得または売却した不動産は反映されていません。
【方法2:名寄帳を取得する】
名寄帳(なよせちょう)とは、納税義務者ごとに市区町村内で所有する全ての固定資産(土地・家屋)の評価額や課税標準額、相当税額等を記載したものです。固定資産税が課税されない不動産(私道、山林、公衆用道路など)も記載されるため、納税通知書よりも網羅的に確認できます。
・取得場所:不動産の所在地を管轄する市区町村役場の資産税課(東京23区は都税事務所)
・請求できる人:法定相続人
・必要書類:被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本、申請者が相続人であることを証明する戸籍謄本、申請者の本人確認書類
・手数料:無料~300円程度(市区町村により異なる)
【方法3:登記事項証明書を取得する】
名寄帳で不動産の所在地が分かったら、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在の所有者や抵当権の有無などを確認します。
・取得場所:全国どこの法務局でも取得可能(オンライン申請も可能)
・手数料:窓口で600円、オンラインで520円(郵送受取)または490円(窓口受取)
【注意点】
・名寄帳は市区町村ごとに作成されるため、複数の市区町村に不動産がある場合は、それぞれで取得が必要
・未登記の不動産は登記事項証明書では確認できないため、名寄帳や固定資産評価証明書で確認する
調査3:有価証券の調査
株式、投資信託、公社債などの有価証券も相続財産となります。証券会社の口座を特定し、残高証明書を取得します。
【調査方法】
・証券会社からの郵便物(取引報告書、配当金の通知など)を探す
・証券会社に連絡し、残高証明書を発行してもらう
・ほふり(証券保管振替機構)に開示請求することで、複数の証券会社の口座を一括で確認できる
【ほふりへの開示請求】
・対象:上場株式、投資信託など
・手数料:無料(郵送手数料のみ負担)
・必要書類:登録済加入者情報の開示請求書、戸籍謄本など
調査4:自動車の調査
自動車も相続財産となります。車検証を確認し、所有者名義が被相続人になっているかを確認します。
車検証が見つからない場合は、運輸支局で登録事項等証明書を取得することで、車両の登録情報を確認できます。
調査5:借金・ローンの調査(重要!)
借金やローンなどのマイナスの財産も相続の対象となります。借金が多い場合は相続放棄を検討する必要があるため、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も必ず調査しましょう。
【信用情報機関への開示請求】
日本には3つの信用情報機関があり、それぞれに開示請求することで、被相続人の借金やローンの状況を確認できます。
1. CIC(株式会社シー・アイ・シー)
・主な加盟会社:クレジットカード会社、信販会社
・開示方法:郵送のみ(相続の場合)
・手数料:1,500円(郵送開示利用券をコンビニで購入)
・必要書類:信用情報開示申込書、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本、申請者が法定相続人であることを証明する戸籍謄本、申請者の本人確認書類2点
出典:CIC「郵送による開示」
2. JICC(日本信用情報機構)
・主な加盟会社:消費者金融、信販会社
・開示方法:郵送のみ(相続の場合)
・手数料:1,960円(郵送開示利用券をコンビニで購入)
・必要書類:CICとほぼ同じ
3. KSC(全国銀行個人信用情報センター)
・主な加盟会社:銀行、信用金庫、信用組合
・開示方法:郵送のみ
・手数料:1,679円
・必要書類:CIC、JICCとほぼ同じ
【重要な注意点】
・3つの信用情報機関すべてに開示請求することが重要(それぞれ加盟会社が異なるため)
・開示される情報は1~2ヶ月前の時点のものであり、正確な残高は各金融機関に直接問い合わせる必要がある
・借金が見つかった場合は、相続放棄の期限(3ヶ月)に注意
調査6:生命保険・共済の調査
生命保険金や共済金は、受取人が指定されている場合、原則として受取人固有の財産となり、遺産分割の対象にはなりません。ただし、相続税の課税対象となります。
【調査方法】
・保険証券、保険料の領収書を探す
・保険会社や共済組合からの郵便物を確認する
・生命保険契約照会制度を利用する
【生命保険契約照会制度】
一般社団法人生命保険協会が提供する制度で、被相続人が生命保険に加入していたかどうかを一括で照会できます。
・申請できる人:法定相続人、遺言執行者など
・手数料:3,000円(税込)
・照会方法:郵送またはオンライン
調査7:その他の財産
上記以外にも、以下のような財産が相続の対象となる可能性があります。
・ゴルフ会員権、リゾート会員権:会員証や郵便物を確認
・貴金属、美術品、骨董品:自宅や貸金庫を確認
・知的財産権(著作権、特許権など):印税や特許料の入金記録を確認
・貸付金、未収金:契約書や領収書を確認
・デジタル資産(暗号資産、ネット証券など):スマートフォンやパソコンの履歴を確認
財産目録の作成方法

調査した財産は、財産目録として一覧表にまとめることをおすすめします。財産目録があることで、遺産分割協議や相続税申告がスムーズに進められます。
【財産目録に記載する項目】
・財産の種類(預貯金、不動産、株式など)
・金融機関名・支店名(預貯金の場合)
・所在地(不動産の場合)
・評価額または残高
・備考(抵当権の有無、共有持分など)
財産目録は、エクセルやスプレッドシートで作成すると、後から編集しやすく便利です。プラスの財産とマイナスの財産を明確に区分し、純資産額(プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた額)を算出しましょう。
まとめ:財産調査チェックリスト
相続財産の調査について、以下のチェックリストを活用して漏れなく確認しましょう。
【調査項目チェックリスト】
・預貯金:すべての金融機関で残高証明書を取得したか
・不動産:名寄帳を取得し、非課税物件も含めて確認したか
・有価証券:証券会社に照会し、ほふりへの開示請求も行ったか
・自動車:車検証を確認したか
・借金・ローン:CIC、JICC、KSCの3つすべてに開示請求したか
・生命保険:生命保険契約照会制度を利用したか
・その他の財産:ゴルフ会員権、貴金属、デジタル資産などを確認したか
・財産目録:すべての財産を一覧表にまとめたか
相続財産の調査は、相続手続きの中で最も重要かつ手間のかかる作業です。しかし、この調査を怠ると、後から大きな問題に発展する可能性があります。時間をかけてでも、漏れなく徹底的に調査することをおすすめします。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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