火災保険
過去最大級の値上げ!火災保険料が2024年10月改定で倍に?安く抑える方法とは?

2024年10月以降の火災保険料改定は、多くの契約者に大きな衝撃を与えています。個人向け火災保険料の目安となる「参考純率」の引き上げ(全国平均13.0%)と、水災補償の保険料率の細分化(水災等地1等地~5等地)が主な要因となり、今回の値上げは過去最大級といわれています。
この値上げの波は、実際に私の実家にも押し寄せ、火災保険料が倍近くに跳ね上がりました。
直近10年間で5回目!過去の火災保険料値上がり推移
火災保険料の設定に影響を与える「参考純率」は、損害保険料率算出機構によって算出され、直近10年間で5回にわたって引き上げが行われています。今回の改定は、その中でも過去最大の引き上げ幅となっています。
参考純率の全国平均引き上げ率の推移は以下の通りです。
2014年改定:+3.5% (保険期間の最長を36年から10年に短縮)
2018年改定:+5.5%
2019年改定:+4.9%
2022年改定:+10.9% (保険期間の最長を10年から5年に短縮)
2024年改定:+13.0% (水災料率の細分化を導入)
このように、参考純率は頻繁に、そして大幅に引き上げられており、火災保険を長期的に維持する負担は年々増加しています。
実体験!私の火災保険料は月々3,300円から5,650円へ倍増
私、金子賢司の実家の火災保険も、今回の更新で大幅な値上がりを経験しました。
契約期間が5年で毎月保険料を支払う「長期月払い」という方法で支払っているのですが、更新前の保険料は月々3,300円だったのに対し、今回は5,650円になりました。実に約1.7倍の値上がりです。背景には、自然災害の増加による保険金支払い増や、水災リスクに応じた地域ごとの料率細分化など、今回の改定のポイントが色濃く反映されていると考えられます。
私が火災保険の見直しで実践した譲れない3つのポイント
私の実家では、保険料を抑えるための対策を以前から講じていましたが、今回の更新でもその基本姿勢は変わりませんでした。特に重要なのは、「必要な補償」と「不要な補償」を徹底的に見極めることです。
1. 補償のベースを決める:「評価額の範囲よりも低い保険金額」を選択
私の実家はそんなに新しくなく、万が一のことがあれば建て替えではなく買い替える予定です。そのため、火災保険が定めた評価額の範囲よりも低い保険金額を設定しています。
このような契約をしてしまうと、保険料は割高になってしまう面もありますが、評価額の範囲内で満額を設定するよりも、支払う保険料の総額を安く抑えられるという判断でこの設定にしています。
2. リスクを分析して「水災補償」を不担保(カット)
保険料の大きな要素である水災補償については、お住まいの自治体が公開しているハザードマップで確認しました。地理的に水災リスクが低いと判断できたため、水災は不担保(補償対象外)を選択し、保険料を大きく軽減しました。
3. 経験から譲れない「臨時費用補償特約」は維持
保険料を安くしたければ臨時費用補償特約を省けばもう少し安くなるのですが、私の経験上、災害に遭った際、損害保険金とは別に支払われる臨時費用補償特約はなんだかんだありがたい存在です。例えば、被災時の片付け費用や仮住まい費用など、予期せぬ出費をカバーしてくれます。
万が一の生活再建を支えるため、これをカットすることはできませんでした。特に見直しの余地もなく、上記の条件で契約を更新する運びとなりました。
このように、徹底的な見直しを行った上でも、今回の改定により保険料は大幅に値上がりしたのです。
火災保険料が値上がりする背景と主な改定ポイント
今回の火災保険料の値上げは、主に以下の2つの背景と改定ポイントに基づいています。
値上げの背景:自然災害の多発とコスト高騰
火災保険料の目安となる「参考純率」が全国平均で13.0%引き上げられた最大の理由は、近年における自然災害の多発・大規模化により、火災保険の支払保険金が大幅に増加しているためです。また、資材価格や人件費の上昇により、事故後の修理費が高騰していることも背景にあります。
2024年10月改定の主なポイント
1. 火災保険料の値上げ:参考純率の引き上げに伴い、多くの場合、火災保険料が値上げになります。全国平均で1割程度の値上げが見込まれます。
2. 水災料率の細分化:従来は一律だった水災補償に対する保険料率が、市区町村ごとの水災リスクに応じて5段階(1等地~5等地)に区分されます。水災リスクの高い地域(5等地など)では、保険料が大きく値上がりする可能性が高くなります。
3. 最長契約期間の短縮:以前(2022年10月)に最長契約期間が10年から5年に短縮されたことも、割安な長期契約が組めなくなり、実質的な値上げに繋がっています。
値上げ時代に火災保険料の負担を抑える3つの対策
火災保険料の負担増を少しでも抑えるため、以下のポイントを見直しましょう。
1. 契約期間を最長の「5年」に変更する
火災保険の保険期間は、一般的に1年契約から最長で5年契約まで設定できます。同じ火災保険でも、保険期間が長い方が割引率が高く、払込む火災保険料の総額を抑えられます。可能であれば、月払いや年払いよりも一括払いにすることで、さらに保険料を抑えることが可能です。
2. 補償内容に過不足がないかを確認・最適化する
自分の住環境や家族構成に応じて、不要な補償は外しましょう。
水災補償の判断:ハザードマップで水災リスクを再確認し、マンションの上階などリスクが低い場合は不担保を検討できます。
不要な特約の削減:破損・汚損補償や盗難補償など、各特約の必要性を検討し、不要な特約を外すことで保険料を抑えることができます。ただし、私のように臨時費用特約など、災害時の生活再建に役立つ特約は慎重に検討しましょう。
保険金額の適正化:建物や家財の保険金額が、現在の価値(再調達価額)に対して高すぎないか、低すぎないか見直します。
3. 複数の保険会社で「見積もりを比較検討」する
火災保険料は、保険会社が独自に設定する付加保険料や割引制度が異なるため、同じ補償内容でも保険会社によって違いが生じます。必ず複数社から見積もりを取り、比較検討することで、同じ補償内容で火災保険料を抑えられるプランが見つかるかもしれません。
火災保険の見直しは保険のプロに相談を
今回の火災保険料改定は、特に水災リスクの高い地域にお住まいの方や、更新時期を迎える方にとって、大きな負担増となる可能性があります。
火災保険は補償内容も幅広く、さまざまなプランが存在するため、一人で比較検討するのは簡単なことではありません。「自分に合った火災保険を選びたい」「火災保険料の負担をできるだけ抑えたい」という場合は、保険のプロに相談するのがおすすめです。
改定を機に、ぜひご自身の契約内容を再確認し、最適な保険を選んで万が一の災害に備えましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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