生命保険
生命保険の「配当金」の仕組み:有配当、無配当、利差配当タイプの違い

「配当金って、保険料の支払いとどう関係しているの?」
生命保険を検討する際、パンフレットや契約書に「有配当」「無配当」「利差配当タイプ」といった言葉を目にすることがあります。これは、保険会社が運用で得た利益の一部を契約者に還元する「配当金」の仕組みを指しています。配当金は、契約者にとっては嬉しいボーナスですが、その仕組みを理解しておかないと、保険料や保障内容との関係がわからず、最適な保険選びが難しくなります。
この記事では、生命保険の配当金の仕組みを解説します。そして、予定利率と利差配当の関係を詳しく掘り下げ、それぞれのタイプが保険料や解約返戻金に与える影響まで。後悔しないための賢い保険選びのヒントを提案します。
保険における配当金の仕組みと種類

生命保険の配当金は、保険会社が将来の保険金支払いのために設定している「予定利率」「予定死亡率」「予定事業費率」という3つの予定率と、実際の運用実績や経費との間に生じた差額が、一定の条件を満たした場合に契約者に還元される仕組みです。
配当金の仕組み
・利差益:
資産運用の実績が、設定している予定利率を上回った場合に発生します。
・死差益:
実際の死亡者数が、設定している予定死亡率を下回った場合に発生します。
・費差益:
実際の事業費が、設定している予定事業費率を下回った場合に発生します。
これらの「3つの差益」が配当金の原資となり、保険会社が一定のルールに基づいて契約者に分配します。
配当金の主な種類
1.有配当:
・「3利源配当タイプ」とも呼ばれ、上記「3つの差益」のすべてが配当金の原資となるタイプです。
・運用実績や死亡率、事業費のすべてが配当金の原資となるため、配当金が支払われる可能性が高く、保険料は高めに設定されているのが一般的です。ただし、現在このタイプの保険はほぼなく、後述する利差配当タイプが主流です。
2.利差配当タイプ:
・配当金の原資が、「利差益」のみに限定されているタイプです。
・有配当タイプよりも配当金が支払われる可能性は低いですが、無配当タイプよりは保険料がやや高めです。
3.無配当:
・3つの差益が生じても、契約者に配当金が支払われないタイプです。
・配当金がない分、有配当や利差配当タイプに比べて、保険料が最も安く設定されています。
配当金と保険料、返戻率への影響

「配当金が出るなら有配当の方がいい」と単純に考えるのは危険です。それぞれのタイプが、保険料や将来の解約返戻金にどのように影響するかを理解しましょう。
有配当タイプの特徴
保険料:
無配当タイプに比べて、保険料は高めに設定されています。
配当金の受け取り:
・運用実績や経営状況によっては、配当金が支払われない可能性もあります。
・支払い時期: 3利源配当タイプの場合は「契約後3年目から」など、支払い時期が定められているのが一般的です。
返戻率:
将来の配当金が期待できるため、トータルの返戻率は高くなる可能性があります。
無配当タイプの特徴
保険料:
有配当タイプに比べて、保険料は最も安く設定されています。
配当金の受け取り:
配当金は一切支払われません。
返戻率:
・配当金がないため、有配当タイプに比べると返戻率は低い傾向にあります。
・しかし、その分、保険料が安いため、総支払保険料は少なく済みます。
配当金の活用方法
支払われた配当金は、以下の4つの方法で活用できます。
1.積み立て:
配当金をそのまま積み立てて、運用を継続する方法。
2.保険料の相殺:
配当金を月々の保険料の支払いに充てることで、保険料の負担を軽くする方法。
3.保険金買増:
配当金で保障額を増やす方法。
4.現金で受け取る:
現金として受け取り、他の用途に活用する方法。
まとめ:配当金は「保険料とのバランス」で選ぶ
生命保険の配当金は、保険選びにおいて重要な要素の一つです。
・有配当タイプ:
運用実績次第で配当金が期待できる分、保険料は高め。
・無配当タイプ:
配当金がない分、保険料は最も安く、家計の負担を抑えたい人におすすめ。
「配当金」という言葉に惑わされず、ご自身のライフプランや家計の状況に合わせて、「保険料と配当金のバランス」を考慮して、最適な保険タイプを選びましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。