生命保険
生命保険の「診査」とは?健康状態による加入可否と保険料への影響

「健康診断の結果がよくないけど、生命保険に入れないのかな?」
生命保険は、契約者の万が一のリスクに備えるための保険です。そのため、保険会社は、加入を希望する人の健康状態を正確に把握し、リスクに応じた保険料を設定する必要があります。この健康状態を確認するプロセスを「診査(しんさ)」と呼びます。
この記事では、生命保険の診査の目的と具体的な種類を解説します。健康状態による加入の可否判断の仕組み、そして保険料の割増(特別条件)や特定の病気が保障対象外となる「部位不担保」まで。あなたが安心して生命保険に加入するためのヒントを提案します。
診査の種類と、健康状態による加入の可否判断

生命保険の診査には、主に以下の3つの種類があります。
告知書による診査(最も一般的)
仕組み:
申込書に添付された告知書に、過去の病歴や現在の健康状態などを記入し、提出します。
特徴:
・入院歴や手術歴、医師から受けた治療や投薬の有無など、質問項目に答えることで、健康状態を申告します。
・比較的簡単な手続きで、ほとんどの生命保険で採用されています。
診査方法が決まる基準
診査の方法は、主に保険金額や年齢によって決まります。
高額な保険金額:
保険金額が一定額(例:2,000万円)を超えると、告知書だけでなく、医師による診察や健康診断書の提出が求められることがあります。
年齢:
高齢になるほど、より詳細な診査が求められることがあります。
健康状態による加入の可否判断
診査の結果、保険会社は加入を希望する人の健康状態を以下の3つに分類し、加入の可否を判断します。
標準体:
健康状態が良好で、特別な条件なく加入できます。
特別条件付き承諾:
健康状態にやや不安があるものの、保険料の割増や、特定の病気・部位を保障対象外とすることで加入が認められるケースです。
謝絶:
健康状態が非常に悪く、保険契約ができないケースです。保険会社によっては「見合わせ」「延期」など表現が異なる場合があります。
保険料の割増(特別条件)や部位不担保

診査の結果、加入が認められても、保険料の割増や「部位不担保」といった「特別条件」が付加されることがあります。
保険料の割増
仕組み:
・健康状態に不安がある場合、通常よりも保険料が高くなることで加入が認められるケースです。
・保険料が割増される期間や金額は、保険会社や健康状態によって異なります。
注意点:
保険料が割増されている場合でも、保障内容は通常と同じです。
部位不担保(特定部位不担保)
仕組み:
・過去に治療歴のある特定の部位や病気を、一定期間、保障の対象外とするものです。
・例えば、胃のポリープを切除した経験がある場合、「胃の病気については、契約から5年間は保障対象外とする」といった条件が付加されます。
注意点:
保障対象外となる期間や、部位をしっかり確認しておきましょう。
告知義務違反のリスク:正しく申告しないとどうなる?

診査で健康状態を正確に告知しないと、告知義務違反となり、以下のような重大なリスクを負う可能性があります。
告知義務違反のリスク
1.保険金・給付金が支払われない:
告知義務違反が原因で、いざという時に保険金が支払われない可能性があります。
2.保険契約の解除:
告知義務違反が発覚した場合、保険会社は責任開始日から2年以内であれば、契約を解除することができます。ただし、2年を過ぎても、詐欺による契約の取り消しを理由に保険金・給付金を支払わないことがあります。
3.保険料の返還:
・告知義務違反により契約が解除された場合、解約返戻金相当額は返還されます。
・しかし、告知義務違反が悪質とみなされ、「詐欺による契約の取り消し」となった場合は、払い込んだ保険料は返還されません。
まとめ:生命保険の診査は「正直に」が大切
生命保険の診査は、ご自身の健康状態を正確に伝えるための重要な手続きです。
・告知書、医師の診察、健康診断書など、診査の方法は様々です。
・診査の結果、保険料が割増されたり、特定の部位が保障対象外になったりする可能性があります。
・告知義務違反は、保険金不払いや契約解除のリスクがあるため、正直に、ありのままを伝えることが大切です。
この記事を参考に、生命保険の診査を正しく理解し、安心して保険選びを進めましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。