生命保険
生命保険の「満期」が来たらどうする?満期保険金の活用と税金

「満期保険金に税金ってかかるの?どうすれば税金を抑えられる?」
生命保険の中には、貯蓄性と保障を兼ね備えた「養老保険」のように、満期時にまとまったお金を受け取れる商品があります。この「満期保険金」は、老後の生活資金や、新たな資産形成のための貴重な財源となります。しかし、満期保険金を受け取る際には、税金がかかる可能性があるため、事前にその仕組みを理解しておくことが重要です。
この記事では、生命保険の満期保険金の受け取り方を解説します。満期保険金にかかる税金(一時所得、雑所得など)の仕組みを詳しく掘り下げ、再加入や他の金融商品への投資など、満期保険金の賢い活用方法まで。満期保険金を後悔なく受け取り、有効活用するためのヒントを提案します。
満期保険金の受け取り方

満期保険金を受け取るためには、保険会社に請求手続きを行う必要があります。
満期保険金を受け取るまでの流れ
1.満期のお知らせが届く:
満期が近づくと、保険会社から「満期のご案内」や「満期保険金請求書」といった書類が郵送で届きます。
2.必要書類の提出:
請求書に必要事項を記入し、本人確認書類や印鑑証明書など、保険会社が指定する書類を添えて返送します。
3.保険金の支払い:
手続きが完了すると、指定の銀行口座に満期保険金が振り込まれます。
満期保険金の受け取り方法の注意点
時効に注意:
満期保険金を受け取る権利にも時効があります。時効は、満期日から原則3年間です。時効が成立すると、保険金を受け取れなくなる可能性があるため、満期のお知らせが届いたら、速やかに手続きを行いましょう。
受け取りの選択肢:
保険会社によっては、満期保険金を一括で受け取るだけでなく、据え置く(そのまま預けておく)ことや、年金として分割で受け取ることを選択できる場合があります。
満期保険金にかかる税金:一時所得か、雑所得か

満期保険金を受け取った場合、税金がかかることがあります。どのような税金がかかるかは、「満期保険金を受け取った人」と「保険料を支払ってきた人」の関係によって決まります。
一時所得として課税されるケース(一般的)
パターン:
・契約者(保険料を支払った人)と受取人が同一の場合。
例: 契約者=夫、受取人=夫
仕組み:
満期保険金が、支払った保険料の総額を上回った場合、その差益は「一時所得」として所得税と住民税の課税対象となります。
計算方法:
・(満期保険金 − 払込保険料総額 − 50万円(特別控除)) × 1/2
・この計算式で課税対象額が算出されるため、税負担は比較的軽くなることが多いです。
国税庁 No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき
贈与税として課税されるケース
パターン:
・契約者と受取人が異なる場合。
例: 契約者=夫、受取人=妻
仕組み:
満期保険金が、保険料を支払ってきた夫から妻への「贈与」とみなされ、贈与税の対象となります。
注意点:
贈与税の基礎控除額は年間110万円と小さいため、多額の満期保険金を受け取った場合、税負担が最も重くなります。このパターンでの契約は避けるべきです。
満期保険金の賢い活用方法

満期保険金は、まとまったお金として受け取れるため、様々な目的で活用できます。
新しい生命保険への再加入
・保障の見直し:
満期を機に、今の家庭状況に合った保障内容に生命保険を見直しましょう。
・再加入の注意点:
再加入する際は、満期保険金を保険料に充当できる制度(契約転換制度)もありますが、その場合、保険料が再計算されるため、見直し前の保険に比べて保険料が上がる可能性があります。
他の金融商品への投資
iDeCoやNISA:
・満期保険金は、iDeCoやNISAといった非課税制度の資金として活用できます。
・満期保険金をiDeCoに回せば、掛金が全額所得控除になり、現役時代の税金が安くなります。
・NISAに回せば、非課税で効率的に資産を増やせます。
注意点:
iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、ご自身のライフプランに合わせて活用しましょう。
終身保険や据え置きでの活用
・終身保険への切り替え:
満期保険金の一部を、終身保険の一括払いや短期払いの保険料に充てることで、老後の葬儀費用など、一生涯の保障を確保できます。
・据え置き:
すぐに使う予定がないお金であれば、保険会社に据え置いて、運用を継続できる場合があります。ただし、利回りは低いことが多いです。
まとめ:満期保険金は「税金」と「活用法」で賢く選ぶ
生命保険の満期保険金は、あなたのライフプランを支える貴重な財源です。
・満期保険金の受け取り方を把握し、時効に注意しましょう。
・税金は、契約者と受取人の関係によって変わります。一時所得として課税される場合が一般的ですが、贈与税がかからないよう注意が必要です。
・満期保険金を、新しい保険への加入や、iDeCo・NISAといった他の金融商品への投資に活用することで、資産形成をさらに加速できます。
この記事を参考に、満期保険金を後悔なく有効活用し、あなたの豊かな未来を築いていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。