生命保険
生命保険の「契約者・被保険者・受取人」の違いをわかりやすく解説

「誰を誰に指定するかで、保険金にかかる税金が変わるって本当?」
生命保険を検討する際、契約内容を理解する上で欠かせないのが、「契約者」「被保険者」「受取人」という3つの登場人物です。これらは、それぞれ異なる役割と権利・義務を持ち、誰を誰に指定するかによって、保険料の支払いから、万が一の際の保険金の受け取り、そして税金にまで影響を及ぼします。
この記事では、生命保険の「契約者・被保険者・受取人」それぞれの役割と権利・義務をわかりやすく解説します。また、契約者貸付や契約者変更などの手続き、そして保険金にかかる税金との関係まで、生命保険を賢く活用するための基礎知識を提案します。
「契約者・被保険者・受取人」それぞれの役割と権利・義務

生命保険の契約には、以下の3つの役割があります。
契約者
役割:生命保険の契約を申し込み、保険会社と契約を結ぶ人です。
主な権利・義務:
・保険料の支払い義務: 保険会社に保険料を支払う義務があります。
・契約内容変更の権利: 保険料の払込方法や、特約の追加、解約、受取人の変更など、契約内容を変更する権利を持っています。
・解約返戻金の受け取り: 解約した際に、解約返戻金を受け取る権利があります。
注意点: 契約者は、未成年者など、保険会社が定める契約能力の条件を満たす必要があります。
被保険者
役割:生命保険の保障の対象となる人です。
主な権利・義務:
・健康状態を告知する義務: 加入時に自身の健康状態について、保険会社に正確に告知する義務があります。
・診査を受ける義務: 保険契約によっては、医師による診査を受ける義務があります。
・保障の権利: 万が一のことがあった場合、この被保険者の状態に基づいて、保険金が支払われます。
注意点: 契約者と被保険者は、同一人物である場合が多いです。
受取人
役割:被保険者が亡くなった場合に、死亡保険金を受け取る人です。
主な権利・義務:保険金請求の権利: 万が一のことがあった際に、保険会社に保険金請求を行う権利があります。
注意点: 保険法上は被保険者の同意があれば原則誰でも指定可能ですが、保険会社の約款によって、配偶者や二親等以内の血族に限定される場合があります(保険会社によって異なります)。
契約者貸付、契約者変更などの手続き

生命保険の契約は、一度結んだ後でも、状況に応じて様々な手続きが可能です。
契約者貸付
仕組み:貯蓄性のある保険(終身保険など)の解約返戻金の一定の範囲内で、お金を借りることができる制度です。
利用方法:契約者が保険会社に貸付の申請を行い、解約返戻金の一定割合(例えば70%〜90%)を上限に借り入れが可能です。
メリット:
・手続きが簡単: 銀行のローン審査に比べて手続きが簡単で、スピーディーにお金を借りることができます(基本的に審査なし)。
・使途が自由: 借り入れたお金の使い道に制限はありません。
・保険契約は継続: 契約が失効することなく、保障は継続されます。
注意点:
・借り入れた金額には、保険会社が定める金利がかかります。
・返済しないまま放置すると、保険金や解約返戻金から借り入れ分と利息が差し引かれます。
契約者変更
仕組み:契約者を、別の家族などに変更する手続きです。
手続き:保険会社に「契約者変更届」などの書類を提出します。
どんな時に?:夫婦間で契約者を変更したい場合や、子どもが成人したタイミングで子どもを契約者にしたい場合など。
注意点:契約者変更は、税金(贈与税)がかかる場合があるため、慎重に検討する必要があります。
税金(相続税、贈与税、所得税)との関係
生命保険金は、契約者・被保険者・受取人の関係性によって、かかる税金の種類が変わります。
相続税がかかるケース
パターン:契約者=被保険者、受取人≠被保険者(例:契約者=夫、被保険者=夫、受取人=子)
仕組み:死亡保険金は、「みなし相続財産」として扱われ、相続税の対象となります。
非課税枠:相続税の計算上、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。この非課税枠を生命保険で活用することで、相続税対策ができます。
所得税がかかるケース
パターン:契約者=受取人≠被保険者(例:契約者=夫、被保険者=妻、受取人=夫)
仕組み:死亡保険金は、「一時所得」として扱われ、所得税と住民税の対象となります。
注意点:課税対象となる保険金は、「受け取った保険金 − 払込保険料総額 − 50万円(特別控除)」の1/2で計算されるため、税負担が軽くなる場合が多いです。
贈与税がかかるケース
パターン:契約者≠被保険者≠受取人(例:契約者=夫、被保険者=妻、受取人=子)
仕組み:死亡保険金は、契約者から受取人への贈与とみなされ、贈与税の対象となります。
注意点:相続税の非課税枠が適用されないため、税負担が最も重くなる可能性があります。
まとめ:生命保険の登場人物を理解し、賢く契約しよう
生命保険の契約者、被保険者、受取人は、それぞれ異なる重要な役割を持っています。
役割:
・契約者: 保険料を支払い、契約を管理する人。
・被保険者: 保障の対象となる人。
・受取人: 保険金を受け取る人。
税金:
・この3者の組み合わせによって、相続税、所得税、贈与税のいずれかが適用されます。
・特に、相続税の非課税枠を最大限に活用するためには、契約者と被保険者を同一人物にすることが一般的です。
この記事を参考に、生命保険の登場人物と税金の関係を正しく理解し、あなたのライフプランに合った最適な契約を設計していきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。