生命保険
生命保険の「介護保障特約」:老後の介護費用に備える

「公的介護保険だけでは足りないって聞くけど、どうやって備えればいいの?」
人生100年時代と言われる今、老後の生活で大きな課題となるのが「介護費用」です。介護はいつ、どれくらいの期間必要になるか予測が難しく、公的介護保険だけでは賄いきれない費用も多く発生します。そこで重要になるのが、生命保険に付加できる「介護保障特約」です。
この記事では、生命保険の介護保障特約の仕組みと給付金の支払い条件を解説します。介護費用(在宅、施設)の相場を明確にし、公的介護保険との連携まで。老後の介護費用に備え、安心してセカンドライフを迎えるためのヒントを提案します。
介護費用(在宅、施設)の相場

介護費用は、在宅介護か施設介護か、また要介護度や利用するサービスによって大きく異なります。事前に目安を把握しておくことが、介護に備える第一歩です。
介護費用はどのくらいかかる?
公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、介護費用の平均は以下のようになっています。
・一時的にかかった介護費用の平均: 約47万円
・月々かかった介護費用の平均: 約9万円
・介護を行った期間の平均: 55.0ヶ月(4年7カ月)
・介護費用の総額(平均): 約542万円
これらの費用は、在宅介護か施設介護かによっても大きく変わります。
在宅介護の場合
費用の内訳:
在宅介護の場合、主に介護サービスの利用料、介護用品の購入費、住宅改修費(手すりの設置など)がかかります。
費用の相場:
公的介護保険の自己負担分も含めて、月額約5.3万円が平均です。
施設介護の場合
費用の内訳:
施設介護の場合、施設の入居一時金や、月額の利用料(家賃、食費、管理費、介護サービス費など)がかかります。
費用の相場:
・入居一時金は、施設の種類や立地によって0円から数百万円、高いものでは数千万円かかることもあります。
・月額利用料は、公的介護保険の自己負担分を含めて、月額平均13.8万円です。
このように、介護費用は高額になる可能性があるため、計画的な準備が必要です。
生命保険文化センター 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?
介護保障特約の仕組みと、給付金の支払い条件

介護保障特約とは、被保険者が、所定の要介護状態になった場合に、年金や一時金として給付金が支払われる特約です。
介護保障特約の仕組み
・給付金の受取方法:
介護年金として毎月受け取るタイプや、介護一時金としてまとまった金額を受け取るタイプがあります。
・保険料:
介護保障特約を生命保険に付加すると、その分、保険料が上乗せされます。
・保障期間:
終身タイプの特約であれば、一生涯保障が続きます。
給付金の支払い条件
公的介護保険の「要介護」認定:
多くの介護保障特約は、公的介護保険制度で「要介護1以上」または「要介護2以上」など、所定の要介護状態に認定された場合に、給付金の支払い条件を満たします。
保険会社独自の条件:
公的介護保険の認定とは別に、保険会社が定める独自の基準(約款で定められた要介護状態)を満たした場合に、給付金が支払われる商品もあります。
公的介護保険との連携

介護保障特約を検討する上で、公的介護保険との連携を理解しておくことが重要です。
公的介護保険の仕組み
対象者:
40歳以上の国民が加入し、保険料を支払います。
利用できるサービス:
介護サービス費用の1割〜3割の自己負担で、訪問介護やデイサービス、施設入居などが利用できます。
注意点:
・自己負担がある: サービスの利用料には自己負担分があります。
・賄えない費用:差額ベッド代、住宅改修費の限度額超過分、特定福祉用具の限度額超過分、対象外の介護用品の購入費など、公的介護保険の対象外となる費用も発生します。
介護保障特約で不足分を補う
介護保障特約は、この公的介護保険で賄いきれない費用を補う役割を担います。
自己負担分の軽減:
公的介護保険の自己負担分を、介護一時金や介護年金で補えます。
限度額超過分・対象外費用のカバー:
住宅改修費や特定福祉用具の限度額超過分、対象外の介護用品の購入費など、公的介護保険で賄いきれない費用に充当できます。
介護者の負担軽減:
介護年金を活用することで、介護離職による収入減や、介護サービス費用の負担を軽減できます。
まとめ:生命保険の介護保障特約で「老後の備え」を万全に
生命保険の介護保障特約は、高額になる可能性がある老後の介護費用に備えるための、非常に重要な特約です。
・介護費用の相場を把握し、必要な備えを明確にしましょう。
・介護保障特約の仕組みと給付金の支払い条件を理解し、公的介護保険と連携させて、不足する部分を補いましょう。
・介護保障特約を生命保険に付加すると保険料が上乗せされますが、将来の安心感は、その保険料を上回る価値があります。
この記事を参考に、介護保障特約が必要かどうかを判断し、老後の備えを万全にしていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。