学資保険
学資保険の選び方5つの基準|返戻率・保険料・受取時期・特約・払込方法とライフプランの相性を徹底解説

「子どもの教育資金を計画的に準備したいけれど、返戻率・保険料・受取時期・特約・払込方法…結局どこを見ればいいの?」と迷っていませんか。さらに近年は低金利の影響で、かつてより返戻率が伸びにくい環境になっています。本記事では、行政機関の一次情報に基づき、独立系FPの視点で学資保険の選び方5つの基準と、家計に落とし込める3パターン・シミュレーションをわかりやすく解説します。
返戻率|実質的な利回りを見極める

返戻率は、支払った保険料総額に対して受け取る満期金や祝い金の割合です。たとえば総保険料200万円で満期金210万円なら返戻率は105%。かつては120%超の例もありましたが、標準利率の長期低下の影響で、現在はおおむね伸びが抑えられる傾向です(標準利率の枠組みは金融庁の監督指針に明記)。
FPの視点
・返戻率は契約年齢・払込期間・受取時期で大きく変動。
・数字だけでなく、必要なタイミングにお金があるかを重視。
保険料|家計負担のバランスを考える

月額だけでなく総支払額と返戻率で確認しましょう。無理な設定は途中解約=元本割れリスクを高めます。教育費は大学進学時がピークですが、中学・高校入学時にもまとまった支出が生じます(文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」)。
FPの視点
・家計の中で無理なく継続できる水準に。
・ボーナス等の季節変動も見込み、固定費化しすぎない設計を。
受取時期|必要な教育費に合わせる

受取は高校・大学の進学時に分割か、大学入学時に一括が一般的。高校から私立進学の可能性があれば、高校入学時の受取を設定すると安心。大学入学後も授業料・生活費が続くため、分割受取が有効な家庭もあります。
特約|必要性とコストのバランス

代表的なのは保険料払込免除特約(契約者の万一でも以後の保険料が不要になり、満期金を確保)。医療系の特約は、すでに加入中の保険と重複しないかを確認。
FPの視点
・教育資金の確実性を高める観点では払込免除特約の優先度は高め。
・特約は「必要最小限+費用対効果」で選択。
払込方法|支払い総額に影響する

一般に年払・一括払は月払より総支払額が抑えられる傾向。ただし、一度にまとまった資金が必要です。ボーナス併用で平準化する方法も。
FPの視点
・返戻率が上がる場合でも、流動性(手元資金)確保と両立させる。
・積立NISA等の他制度との両立も視野に入れ、資金配分を最適化。
ライフプラン別・簡易シミュレーション(参考例)

※注意:以下は参考例です。実際の返戻率・保険料は商品・契約年齢・告知・加入時点の利率等で大きく異なります。教育費額は令和5年度 子供の学習費調査を参考にしています。
共通前提
契約者30歳/子ども0歳/満期金200万円(18歳時受取)
パターンA:短期集中(年払・10年払)
年間保険料:18万円/総保険料:180万円/返戻率:111.1%
特徴:効率重視。毎年の負担は大きいが、解約リスクを抑えられる家計なら選択肢。
パターンB:標準型(年払・15年払)
年間保険料:13万円/総保険料:195万円/返戻率:102.6%
特徴:負担は平準化。効率は控えめでも、継続しやすさを重視。
パターンC:長期払い(月払・18年払)
月額:約8,900円/総保険料:192万円/返戻率:104.1%
特徴:月次負担は軽い一方、総額はやや増。キャッシュフロー優先の家庭向け。
ライフプランとの相性を最優先に

第二子の予定、住宅ローン、老後資金など大きな支出計画と重なる時期を可視化しましょう。学資保険は「増やす商品」である前に計画的に確保する仕組み。返戻率だけでなく、続けられる設計が最重要です。
まとめ|5つの基準+家計の現実で選ぶ
学資保険は、①返戻率 ②保険料 ③受取時期 ④特約 ⑤払込方法の5軸で比較し、低金利環境という現実を踏まえつつ、最終的にライフプランとの相性で判断しましょう。数字の見栄えよりも、挫折しない資金計画が将来の安心に直結します。
参考文献
・金融庁「保険について」:
https://www.fsa.go.jp/user/hoken.html
・金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針(第II-2-2-4 標準利率等)」:
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins/02d.html
・文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」:
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html
・文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査(結果の概要)」PDF:
https://www.mext.go.jp/content/20241225-mxt_chousa01_000039333_1.pdf
・日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果」:
https://www.jfc.go.jp/n/findings/kyoiku_kekka_m_index.html
・日本銀行「長期金利」:
https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/glossary/market/m09.htm
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。