自動車保険
【3秒で分かる】自賠責保険と任意保険の違い|補償範囲・加入義務・必要性を解説

実際、どちらも交通事故の被害者を救済するための保険ですが、その役割や補償範囲、加入義務には大きな差があります。
3秒で分かる!自賠責保険と任意保険の違い早見表

まずは、両者の違いを短くまとめます。
・加入義務:自賠責は法律で義務、任意保険は加入自由(事実上必須)
・補償範囲:自賠責は人身事故のみ、任意は人身・物損・自車損害まで幅広く補償
・補償上限:自賠責は上限あり(死亡3,000万円等)、任意は上限を自由に設定可(無制限推奨)
・目的:自賠責は最低限の被害者救済、任意は経済的リスクの全面カバー
この早見表を見ても分かる通り、自賠責だけでは補償が不足する可能性が高く、任意保険が実質的な生活防衛の要となります。
自賠責保険と任意保険の基本的な違い

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、法律で加入が義務付けられている「強制保険」です。一方、任意保険は加入が自由で、運転者が必要に応じて補償内容を選べる「任意加入の保険」です。両者の最も大きな違いは、補償範囲と上限金額にあります。
自賠責保険の役割と特徴
自賠責保険は、交通事故で人身損害を負った被害者を救済することを目的としています。物損事故や加害者自身のケガ、車の修理費用は対象外です。補償額は国が定めており、上限は被害者1人あたり以下の通りです。
・死亡:3,000万円まで
・後遺障害:75万円〜4,000万円
・傷害(ケガ):120万円まで
この上限を超える損害が発生した場合は、加害者が自己負担する必要があるため、万一の際に十分とはいえません。
任意保険の役割と特徴
任意保険は、自賠責保険ではカバーしきれない損害を補償します。主な補償内容には以下があります。
・対人賠償:自賠責保険の補償を超える分を補償
・対物賠償:物損事故の補償
・人身傷害:運転者や同乗者のケガを補償
・車両保険:自分の車の修理費用を補償
補償額や特約は自由に設定でき、交通事故による経済的負担を大幅に軽減できます。特に「任意保険 必要性」という観点から見ても、自賠責保険だけでは不十分であることが分かります。
加入義務の有無

自賠責保険は道路運送車両法で加入が義務付けられており、未加入で運転すると「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に加え、違反点数6点(免許停止)という厳しい罰則があります。任意保険は加入義務はありませんが、事故時の自己負担リスクを考えると、多くのドライバーが任意で加入しています。
補償範囲の比較

両保険の補償範囲を整理すると以下の通りです。
・自賠責保険:人身事故の被害者救済に限定(上限あり)
・任意保険:人身事故・物損事故・自車損害など幅広く補償(上限設定可)
このため、「自賠責保険 任意保険 違い」というテーマで考えると、自賠責は最低限の補償、任意保険はその不足分を補う役割を担っていると言えます。
【事例】任意保険未加入時の高額賠償

実際に、任意保険に加入していなかったために巨額の賠償責任を負った事例があります。
例えば、あるドライバーが信号無視で歩行者に接触し、重度の後遺障害を負わせた事故では、損害賠償額は1億円を超えました。自賠責保険から支払われたのは最大の4,000万円までで、残りの6,000万円以上を加害者が自己負担する結果となりました。
このような高額賠償は珍しいことではなく、対人賠償では1億円以上、対物損害でも数千万円単位の請求が発生することがあります。
【試算】任意保険未加入時の自己負担リスク

任意保険に加入していない場合の経済的リスクを試算してみましょう。
・死亡事故(被害者40歳、年収500万円の場合):逸失利益+慰謝料などで1億円超
・高級外車との物損事故:修理費用2,000万円超
・複数人を巻き込む玉突き事故:合計数千万円〜1億円超
自賠責保険だけでは、これらの賠償額の大部分をカバーできません。結果として、自己破産や長期的な返済を余儀なくされるケースもあります。
FPが提案する3本柱補償の最適化方法

任意保険を選ぶ際には、以下の3本柱の補償をバランスよく整えることが重要です。なお、車両保険の要否も必ず検討してください。
1.対人賠償保険(無制限推奨)
人身事故の賠償額は、重度後遺障害や死亡事故の場合、1億円を超えることも珍しくありません。自賠責保険では補償しきれないため、対人賠償は無制限に設定しておくことが望ましいです。
2.対物賠償保険(無制限推奨)
高級車や店舗・建物との事故では、修理・復旧費用が数千万円に及ぶ場合があります。特に営業損失を請求されると金額が膨らむため、こちらも無制限設定がおすすめです。
3.人身傷害保険(3,000万円以上推奨)
自分や同乗者のケガを補償する保険です。入院・手術費用だけでなく、後遺障害による逸失利益もカバーします。金額は生活水準や家族構成に合わせ、最低でも3,000万円以上に設定しましょう。
加えて、弁護士費用特約やロードサービス特約など、事故後のトラブル対応を助ける補償も検討すると、より安心感が高まります。
【シミュレーション】年収・家族構成別の必要補償額目安

必要な補償額は、年収や扶養家族の有無によって変わります。ここでは、FP視点での簡易シミュレーション例を示します。
・単身・年収400万円:人身傷害3,000万円、対人・対物無制限
・夫婦+子1人・年収500万円:人身傷害5,000万円、対人・対物無制限
・夫婦+子2人・年収700万円:人身傷害7,000万円、対人・対物無制限
特に小さな子どもがいる場合、事故で収入が途絶えると生活が立ち行かなくなる可能性が高いため、補償額を高めに設定することが重要です。これらはあくまで目安であり、実際は家計や資産状況、ローンの有無なども加味して設定しましょう。
まとめ
自賠責保険と任意保険はいずれも交通事故被害者の救済を目的としていますが、役割や補償範囲は異なります。自賠責は最低限の補償、任意保険は安心のための補償として位置付け、両方を組み合わせて加入することで、事故による経済的リスクを最小限に抑えられます。
自分や家族の安全、そして被害者の生活を守るためにも、必要な補償を理解し、適切な保険選びを行いましょう。
【参考】
国土交通省|自動車損害賠償責任保険制度
日本損害保険協会|自賠責保険の概要
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。