個人年金保険
個人年金保険料控除を最大限活用!税制優遇の仕組みと年収別シミュレーション

この記事では、FPの視点から正しい税率を使った節税額の試算と20年間の累計額、さらに老後資金受取額と合算した総額試算までを網羅的に解説します。
個人年金保険料控除とは?

個人年金保険料控除は、一定の条件を満たす個人年金保険契約を対象に、支払った保険料の一部を所得控除できる制度です。控除を活用すると、所得税と住民税の両方が軽減され、手取り収入が増えます。
控除の対象となる条件

・保険期間が10年以上
・年金受取人が契約者本人または配偶者
・年金受取人と被保険者が同一
・年金開始年齢が60歳以上で受取期間が10年以上
・「税制適格特約」が付いている
条件を満たさない契約は、一般生命保険料控除の枠で控除される場合があります。
新制度と旧制度の控除額の違い

・新制度(2012年1月以降契約)
所得税の控除上限 4万円、住民税 2.8万円
・旧制度(2011年末以前契約)
所得税の控除上限 5万円、住民税 3.5万円
旧制度の方が控除枠が広く、長期的には節税効果が高いです。
年収別・制度別 節税額(正しい税率で計算)

※課税所得ベースの税率を使用(基礎控除48万円、社会保険料控除は年収の約14〜16%程度を想定)
※住民税率は一律10%
※年収から想定できる、おおよその課税所得金額を使って計算しています。
新制度(上限:所得税4万円・住民税2.8万円)
・年収300万円:4,800円/年(20年で9.6万円)
・年収500万円:6,800円/年(20年で13.6万円)
・年収700万円:10,800円/年(20年で21.6万円)
・年収900万円:10,800円/年(20年で21.6万円)
・年収1,200万円:12,000円/年(20年で24万円)
旧制度(上限:所得税5万円・住民税3.5万円)
・年収300万円:6,000円/年(20年で12万円)
・年収500万円:8,500円/年(20年で17万円)
・年収700万円:13,500円/年(20年で27万円)
・年収900万円:13,500円/年(20年で27万円)
・年収1,200万円:15,000円/年(20年で30万円)
20年間の累計節税額シミュレーション
新制度(年間保険料4万円超)
・年収300万円:1年目 4,800円 → 20年目 96,000円
・年収500万円:1年目 6,800円 → 20年目 136,000円
・年収700万円:1年目 10,800円 → 20年目 216,000円
・年収900万円:同上(税率20%)= 216,000円
・年収1,200万円:1年目 12,000円 → 20年目 240,000円
旧制度(年間保険料5万円超)
・年収300万円:1年目 6,000円 → 20年目 120,000円
・年収500万円:1年目 8,500円 → 20年目 170,000円
・年収700万円:1年目 13,500円 → 20年目 270,000円
・年収900万円:同上(税率20%)= 270,000円
・年収1,200万円:1年目 15,000円 → 20年目 300,000円
節税額+老後資金受取額の総額試算

試算条件:
・年間保険料8万円
・払込期間20年(総払込額160万円)
・据置なし・年金受取期間10年
・運用利回り0%(単純合計)
新制度(年収500万円・税率10%)
・節税総額:13.6万円
・老後受取額(払込額):160万円
・合計:173.6万円
旧制度(年収500万円・税率10%)
・節税総額:17万円
・老後受取額(払込額):160万円
・合計:177万円
→ 差額:旧制度が3.4万円多く確保可能
FPからの活用アドバイス
・旧制度の契約は節税効果が高く、長期的に有利なので継続を検討
・新制度でも控除上限を活用すれば10万円以上の節税が可能
・節税分をそのまま積立投資や貯蓄に回せば、複利効果で老後資金がさらに増える
・iDeCo・NISAと組み合わせると税制メリットを最大化できる
注意事項
・本記事の試算は2024年までの税制を前提としています。2025年度税制改正により、所得税の基礎控除は48万円から58万円に引き上げ予定であり、節税額は若干変動します。
・本記事の節税額は概算です。税率や配偶者控除、扶養控除等の有無により変動します。
・運用利回り0%で試算していますが、実際の個人年金保険は運用成果によって受取額が増減します。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。