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NISAと確定申告の意外な関係!知っておくべき3つの注意点

「もしもの時に、何か特別な手続きがいるの…?」
NISAの最大のメリットは、投資で得た利益が非課税になること。この税制優遇のおかげで、原則として確定申告の手間がかからないというのは、投資初心者にとって大きな安心材料でしょう。しかし、「原則不要」ということは、例外もあるということです。
この記事では、NISAの非課税メリットにより確定申告が不要である理由を明確にした上で、例外的に確定申告が必要となるケースや、勘違いしやすいポイントを詳しく解説します。税金に関する誤解を解消し、安心してNISAを運用するための適切な知識を提供します。
NISAの利益は「非課税」だから確定申告が原則不要

まず、なぜNISAで確定申告が原則不要なのか、その理由を明確にしましょう。
通常の投資(NISA以外の課税口座での投資)では、株の売却益や投資信託の分配金・配当金といった利益に対して、所得税や住民税などの税金(合計20.315%)がかかります。そのため、投資で一定以上の利益が出た場合、原則として税務署に確定申告をして納税する必要があります。
しかし、NISA口座で得たこれらの利益は、国が国民の資産形成を後押しするために「非課税」と定められています。つまり、税金がかからないので、そもそも納税の義務が発生せず、税金を計算したり申告したりする必要がない、というわけです。
これが、NISAが「確定申告が原則不要」と言われる大きな理由です。多くの場合、あなたはNISA口座で投資を続ける限り、税金のことを気にする必要はありません。
NISAと確定申告の意外な関係!知っておくべき3つの注意点

NISA口座での利益は非課税なので確定申告は不要ですが、以下のようなケースでは、確定申告が必要になったり、確定申告を検討した方が有利になったりする場合があります。
NISA口座以外(課税口座)でも投資をしており、そこで利益が出ている場合
NISA口座とは別に、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座で投資を行っており、そこで売却益や配当金などの利益が出ている場合は、原則として確定申告が必要になります。
NISA口座での取引自体は確定申告の対象ではありませんが、課税口座での取引状況によって、確定申告の必要性自体が発生することを知っておきましょう。
・特定口座(源泉徴収あり)を選んでいれば、税金は金融機関が自動で計算・徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。
・特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を選んでいる場合は、原則として自分で確定申告が必要です。
NISA口座で損失が出ても「損益通算」や「繰越控除」はできない
これがNISAの税制上の大きな特徴であり、勘違いしやすいポイントです。
NISA口座では、利益が出た場合に税金がかからない代わりに、損失が出た場合も税制上の優遇措置は適用されません。
・損益通算ができない: NISA口座で発生した損失は、他の課税口座で得た利益と相殺して税金を減らす「損益通算」ができません。
例: NISA口座で10万円の損失、課税口座で10万円の利益が出た場合、課税口座の10万円の利益にはそのまま税金がかかります。NISAの損失は考慮されません。
・繰越控除もできない: NISA口座で発生した損失は、翌年以降3年間繰り越して将来の利益と相殺できる「繰越控除」も利用できません。
このため、NISA口座で損失が出ただけでは確定申告は不要です。 しかし、「損失が出たから税金を減らしたい」と思っても、NISA口座の損失ではそれができないことを知っておきましょう。
配当金の受け取り方法によっては確定申告を検討すべきケースがある
NISA口座で国内株式の配当金を受け取る場合、通常は「株式数比例配分方式」という方法を選んでいれば、非課税で受け取れるため確定申告は不要です。
しかし、以下の受け取り方をしている場合は、確定申告を検討しないとNISAの非課税メリットを享受できない可能性があります。
・「登録配当金受領口座方式」または「配当金領収証方式」を選んでいる場合:
これらの方法で配当金を受け取ると、NISA口座で受け取った配当金であっても課税されてしまいます。この場合、確定申告(総合課税または申告分離課税)をすることで、源泉徴収された税金の一部または全額を取り戻せる可能性がありますが、手続きが必要になります。
NISAの非課税メリットを最大限に活かすには、原則として「株式数比例配分方式」を選ぶのが鉄則です。
まとめ:NISAは「原則不要」を理解し、賢く運用しよう
NISAは、投資で得た利益が非課税になるため、ほとんどのケースで確定申告の手間がかからない、非常に有利な制度です。この「原則不要」という点は、投資初心者にとって大きな魅力となるでしょう。
しかし、今回解説したような例外的なケースや、損益通算ができないといったNISA特有の仕組みを事前に知っておくことで、いざという時に慌てず、無駄な税金を払うことなく、NISAのメリットを最大限に享受することができます。
NISAは、税金の仕組みを味方につけ、手間なく効率的に資産形成を進めるための強力なツールです。適切な知識を持って、安心してNISAでの投資を始めてみませんか?
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。