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iDeCoの運用商品で「リスク許容度」を知る:あなたに合った選び方

「元本割れは怖いけど、老後資金を増やすためには投資が必要なのかな?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を効率的に準備するには、運用商品選びが非常に重要です。しかし、数多くある商品の中から、自分に合ったものを見つけるのは簡単ではありません。その鍵となるのが、あなた自身の「リスク許容度」を知ることです。
この記事では、iDeCoの運用商品選択において、リスク許容度を知ることがなぜ重要なのかを解説します。リスク許容度診断の活用法から、リスクとリターンのバランスが取れたポートフォリオの考え方まで、あなたが安心してiDeCo運用を続けられるためのヒントを提供します。
iDeCo運用で「リスク許容度」を知る重要性

リスク許容度とは、あなたが投資でどれくらいの損失まで受け入れられるか、そのレベルを指します。iDeCoで運用商品を選ぶ前に、このリスク許容度を把握しておくことが非常に重要です。
なぜリスク許容度が重要なのか?
1.感情的な判断を防ぐ:
自分のリスク許容度を超えた運用をしていると、市場が下落して評価額がマイナスになった時に、不安や恐怖から慌てて売却(スイッチング)してしまうリスクが高まります。これは、長期投資において最も避けるべき行動の一つです。
2.適切なポートフォリオを組む:
リスク許容度を把握することで、元本確保型(定期預金など)と元本変動型(投資信託)の最適なバランスを見つけられます。これにより、心理的なストレスを減らし、運用を継続しやすくなります。
3.目標達成への道筋を明確に:
リスク許容度と運用期間を考慮することで、目標とする老後資金を達成するために、どれくらいの運用利回りを狙うべきか、現実的な計画を立てられます。
リスク許容度は「時間」と「お金」で決まる
あなたのリスク許容度は、主に以下の3つの要素で決まります。
投資目標までの期間(時間):
・老後まで期間が長いほど、一時的な損失を取り戻す時間があるため、比較的高いリスクを取れます。
・老後まで期間が短いほど、リスクを抑えた運用が賢明です。
資金的な余裕(お金):
生活防衛資金など、十分な貯蓄があるほど、投資で損失が出た場合でも、生活に影響が出にくいため、リスクを取れる余裕があります。
心理的な余裕(性格):
損失が出た時に冷静でいられるか、不安を感じやすいかなど、個人の性格も大きく影響します。
リスク許容度診断の活用と、あなたに合ったポートフォリオ

多くの金融機関が提供している「リスク許容度診断」を試してみることで、あなたのリスク許容度がどのレベルにあるかを知ることができます。その結果を基に、あなたに合ったポートフォリオの考え方を見ていきましょう。
リスク許容度診断の活用
・診断方法: iDeCo口座を開設している金融機関のウェブサイトやアプリにログインし、「リスク許容度診断」といったメニューから試すことができます。
・結果の目安: 「ローリスク」「ミドルリスク」「ハイリスク」といった形で、あなたのリスク許容度がどのレベルかを示してくれます。
・注意点: 診断結果はあくまで目安です。最終的には、診断結果とご自身の感覚を照らし合わせて、納得のいく運用方針を決めましょう。
リスク・リターンのバランスが取れたポートフォリオの考え方
iDeCoのポートフォリオは、主に「元本確保型商品(定期預金など)」と「投資信託(株式・債券など)」の組み合わせで構成します。
1.ローリスク志向のあなたへ(安定性重視):
・ポートフォリオの考え方: 株式などの値動きの大きいリスク資産の比率を抑え、元本確保型商品の比率を高く設定します。
具体的な商品の組み合わせ:
・元本確保型商品: 定期預金、保険など(50%以上)
・投資信託: 国内債券型投資信託、株式比率の低いバランス型投資信託など(50%以下)
運用イメージ: 大きなリターンは期待できませんが、相場変動時の下落幅を限定的にし、精神的なストレスを減らし、安定性を重視した運用が可能です。
2.ミドルリスク志向のあなたへ(バランス重視):
・ポートフォリオの考え方: 株式を中心としつつ、元本確保型商品や債券を組み合わせ、リスクとリターンのバランスを取ります。
具体的な商品の組み合わせ:
・投資信託: 全世界株式インデックスファンド、S&P500インデックスファンドなど(60%〜80%)
・元本確保型商品: 定期預金など(20%〜40%)
運用イメージ: 市場が好調な時にはリターンを享受しつつ、下落時のリスクもある程度抑える運用です。多くの人に当てはまる可能性が高いでしょう。
3.ハイリスク志向のあなたへ(積極的なリターン追求):
・ポートフォリオの考え方: 株式の比率を極めて高く設定し、大きなリターンを狙います。
具体的な商品の組み合わせ:
・投資信託: 全世界株式インデックスファンド、S&P500インデックスファンドなど(80%〜100%)
・元本確保型商品: (必要に応じて)ごく一部の割合で組み込む
運用イメージ: 市場が好調な時には大きなリターンが期待できる反面、下落時の評価額も大きく下がる可能性があります。ただし、iDeCoは長期運用が前提なので、時間をかけて回復するのを待つことができます。
あなたに合ったポートフォリオを見つけるためのヒント

iDeCoのポートフォリオは、一度決めたら終わりではありません。以下のヒントも参考にしながら、常に最適な状態を目指しましょう。
1.低コストのインデックスファンドを選ぶ:
どのようなポートフォリオを組むにしても、運用コストである信託報酬が低いインデックスファンドを選ぶことが基本です。コストの低さは、長期運用におけるリターンを確実に押し上げます。
2.年齢に応じて資産配分を見直す:
・リタイアが近づくにつれて、徐々にリスク資産の比率を減らし、元本確保型商品の比率を増やす「ライフサイクル型」の考え方も有効です。
・iDeCoには、運用商品を変更する「スイッチング」機能があるので、これを使って年齢やライフステージの変化に合わせてポートフォリオを調整しましょう。
3.無理のない範囲で始める:
最初は「ミドルリスクで始めてみたけど、不安で夜も眠れない…」といったことがないように、少し余裕を持ったリスク許容度で始めるのも一つの手です。投資に慣れてきたら、徐々にリスクを取っていくことも可能です。
まとめ:iDeCo運用は「リスク許容度」に合わせて
iDeCoの運用を成功させるためには、「自分自身のリスク許容度」を正しく知り、それに合わせた運用商品と資産配分を選ぶことが何よりも重要です。
・リスク許容度診断を活用し、ご自身の投資スタイルを客観的に把握しましょう。
・ローリスク、ミドルリスク、ハイリスクといった志向に合わせて、元本確保型商品と投資信託のバランスを考えましょう。
・iDeCoは長期運用が前提なので、無理のない範囲で運用を続けることが、最終的な老後資金の目標達成につながります。
これらのヒントを参考に、あなたに合ったiDeCoのポートフォリオを構築し、安心して老後資金を増やしていきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。