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iDeCoの運用利回りはどれくらい?平均利回りの見方と評価基準

「他の人はどれくらい運用で増やしているんだろう?自分の運用実績をどう評価すればいい?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金の所得控除という節税メリットが魅力的ですが、老後資金を効率的に増やすためには、運用によるリターンも重要です。しかし、iDeCoの「平均利回り」や「平均運用実績」と聞いても、その数字が何を意味するのか、そして自分の運用がうまくいっているのかどうか、判断に迷う方もいるかもしれません。
この記事では、iDeCoの平均利回りの考え方を解説します。また、運用実績の正しい評価基準(絶対リターン、ベンチマークとの比較など)や、個人の運用実績の確認方法まで。あなたのiDeCo運用を、より客観的に、そして自信を持って続けていくためのヒントを提供します。
iDeCoの平均利回りはどれくらい?その見方

「iDeCoの平均利回り」という言葉を耳にすることがありますが、その数字には注意が必要です。
iDeCoの平均利回りは「参考程度」に
iDeCoは、加入者一人ひとりが自分で運用商品を選び、掛金も自由に設定できる制度です。そのため、運用商品や掛金、運用期間は人それぞれ異なり、「iDeCo全体の平均利回り」という公式な統一データは存在しません。
各金融機関やメディアが提示している「平均利回り」は、あくまで特定の期間や、特定の層(例えば、ある金融機関の加入者全体)を対象にしたものであり、あなたの運用実績を直接比較する基準にはなりません。
運用実績は「元本確保型」か「投資信託」かで大きく異なる
iDeCoの運用利回りは、あなたが選んだ商品によって大きく変わります。
・元本確保型(定期預金など):
運用利回りは非常に低く、年率0.002%〜0.1%程度が一般的です。元本割れリスクがない代わりに、大きなリターンは期待できません。
・投資信託(元本変動型):
運用利回りは市場の動向によって変動し、過去の実績では年率3%〜7%程度(税引前)が目安となることが多いです。元本割れリスクがある代わりに、高いリターンが期待できます。
運用実績の正しい評価基準と見方

自分のiDeCo運用がうまくいっているのかどうかを評価するためには、以下の2つの基準で客観的に判断することが重要です。
「絶対リターン」で評価する
・計算方法: 運用資産の現在の評価額と、これまでに積み立てた掛金の累計額を比較します。
評価益(プラスの場合): 評価額 - 掛金累計額
評価損(マイナスの場合): 評価額 - 掛金累計額
・意味: 運用がどれだけうまくいっているかを、シンプルに金額で把握する基準です。
・確認方法: iDeCo口座を開設している金融機関のマイページで、現在の評価額と掛金累計額を確認し、計算してみましょう。
「ベンチマーク」で相対的に評価する
・ベンチマークとは?: 運用成績を比較するための「ものさし」となる基準のことです。
・仕組み: 多くの投資信託は、特定の株価指数(例えば、全世界株式インデックスファンドなら「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」)に連動することを目指しています。この指数をベンチマークとして、自分の運用成績と比較します。
・評価方法:
自分の運用成績 > ベンチマーク: 市場平均以上の成果を出していると言えます。
自分の運用成績 < ベンチマーク: 市場平均に劣っていると言えます。
・なぜ重要?: 市場が全体的に下落している時、自分の運用実績がマイナスでも、ベンチマーク(市場平均)がそれ以上に大きくマイナスであれば、あなたの運用は市場平均に勝っていることになります。このように、絶対リターンだけでなく、相対的なリターンで評価することで、より客観的に運用状況を判断できます。
・確認方法: ご自身が投資している投資信託の運用報告書や、金融機関のウェブサイトで、そのファンドが連動しているベンチマークのパフォーマンスを確認し、比較してみましょう。
個人の運用実績の確認方法

あなたのiDeCoの運用実績は、iDeCo口座を開設している運営管理機関(金融機関)のウェブサイトや専用アプリのマイページで確認できます。
マイページでの確認
口座開設時に送られてきたIDとパスワードを使ってログインすると、以下のような情報が確認できます。
・現在の評価額: 運用資産が今、いくらの価値になっているか。
・掛金累計額: これまでに積み立てた掛金の合計額。
・評価損益: 評価額と掛金累計額の差額。
運用報告書での確認
年に1回程度、国民年金基金連合会や運営管理機関から送られてくる「運用報告書」などの書面にも、過去1年間の運用実績や資産構成などが詳細に記載されています。
実績を確認する上での心構え
・頻繁なチェックは避ける: iDeCoは長期投資が基本です。毎日のように運用実績を確認すると、市場の短期的な変動に一喜一憂し、感情的な判断(狼狽売りなど)につながりやすくなります。月に1回や、3ヶ月に1回など、見る頻度を決めて淡々と確認しましょう。
・含み損でも焦らない: 一時的な含み損は、長期投資においては珍しいことではありません。含み損が出ている時期は、ドルコスト平均法の恩恵で安く買い増せている「チャンス」でもあります。
まとめ:iDeCoの運用実績は「絶対リターン」と「ベンチマーク」で正しく評価
iDeCoの運用実績は、単に「増えているか減っているか」だけでなく、「ベンチマーク(市場平均)」と比較してどうだったかという相対的な視点を持つことが重要です。
・運用実績は、運営管理機関のマイページや運用報告書で確認できます。
・絶対リターン(評価額 - 掛金累計額)で現状を把握し、ベンチマークとの比較で客観的な評価を行いましょう。
・運用実績の確認は、感情に流されず、長期的な視点を持つための重要なステップです。
これらのポイントを押さえることで、あなたのiDeCo運用は、より安心して、そして着実に老後資金を増やすための軌道に乗るでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。