生命保険
保険の見直しはなぜ必要?最適なタイミングと失敗しないための確認ポイント

生命保険は加入後も定期的な見直しが必要であり、ライフステージの変化に応じて保障内容を調整することで、過不足のない備えと保険料の適正化を実現できます。生命保険文化センターの2024年度調査によると、2人以上世帯の生命保険加入率は89.2%に達する一方で、世帯普通死亡保険金額は平均1,936万円と低下傾向が続いています。保障ニーズに合った保険設計を維持するためには、人生の節目ごとに見直しを行うことが欠かせません。
結婚や出産、住宅購入、転職、子どもの独立、定年退職といったライフイベントは、必要な保障の内容や金額を大きく左右します。家族が増えれば死亡保障を手厚くする必要が生じ、子どもが独立すれば保障額の縮小が検討できるでしょう。
加えて、医療技術の進歩により入院日数の短期化が進んでおり、過去に加入した医療保険では現在の医療実態に合わない保障となっている可能性もあります。保険料の適正化という観点からも、定期的な見直しは家計管理において重要な取り組みといえるでしょう。
保険の見直しが必要な3つの理由

保険を見直すべき背景には、ライフステージの変化、医療環境の進歩、保険料負担の適正化という3つの理由があります。
それぞれの理由を具体的に確認しましょう。
ライフステージの変化で必要保障額が変動する
ライフステージが変われば、必要な保障額も変化します。加入時のまま保障を放置すると、過剰な保障や不足が生じるリスクがあるでしょう。
生命保険文化センターの2024年度調査では、2人以上世帯の世帯年間払込保険料は平均35.3万円(月額約2.9万円相当)となっています。この保険料が現在の家族構成や収入に見合ったものかどうかは、各世帯の状況によって異なります。
例えば、配偶者と子ども2人の世帯であれば、遺族の生活費や教育費として高額な死亡保障が必要になるでしょう。一方、子どもが独立した後は扶養家族が減るため、死亡保障額を引き下げて保険料を軽減できる可能性が出てきます。
出典:生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」
医療環境の変化に保障内容が追いつかない場合がある
医療技術は年々進歩しており、治療の内容や入院日数にも変化が見られます。
厚生労働省の令和5年(2023年)患者調査によると、病院における退院患者の平均在院日数は29.3日で、退院患者のうち14日以内に退院した割合は68.4%に上ります。入院日数の短期化が進む中、通院による治療が増加しているのが現状です。
10年以上前に加入した医療保険が入院給付金中心の設計であった場合、現在の医療事情に合わなくなっている可能性があります。通院保障や先進医療特約の有無を確認し、必要に応じた見直しを検討することが望ましいでしょう。
不要な保障の見直しで保険料を適正化できる
保障内容がライフステージに合っていない場合、不要な保障に対して保険料を支払い続けていることになります。
ライフステージの変化に応じて保障額を調整したり、重複している保障を整理したりすることで、月々の保険料を抑えられるケースは少なくないでしょう。また、公的保障(健康保険、年金など)でカバーされる範囲を正しく把握し、民間保険では公的保障の不足分を補うという考え方を持つことが、保険料の適正化につながります。
保険を見直す最適なタイミング

ライフイベントが発生した時と定期保険の更新時が、保険見直しの主な機会です。
タイミングを逃さないよう、以下のポイントを押さえておきましょう。
結婚・出産時
結婚により配偶者の生活を守る必要が生じ、出産後は子どもの生活費や教育費も考慮した保障が求められます。
生命保険文化センターの同調査では、世帯普通死亡保険金額は平均1,936万円であり、低下傾向が続いていることが報告されています。この金額が遺族の生活を支えるために十分かどうかは、家族構成や生活水準、住宅ローンの有無によって異なるため、家族が増える節目に保障額を確認しておくことが重要です。
住宅購入時
住宅ローンを組む際、多くの場合は団体信用生命保険(団信)に加入します。団信は住宅ローンの契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に残債が完済される仕組みで、住居費にかかる死亡保障が団信でカバーされるため、既存の生命保険における死亡保障額を見直せる可能性があります。
住宅購入前と同じ死亡保障を維持し続けていると、保障が重複している場合もあるため確認をおすすめします。
転職・働き方の変化
会社員から自営業への転職など、働き方が変わると公的保障の内容も変化する点に注意が必要です。
会社員は健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に加入しており、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に傷病手当金を受給できます。しかし、自営業の国民健康保険にはこの給付がないため、所得保障(就業不能保険など)で補うことが検討事項となるでしょう。
子どもの独立・定年退職時
子どもが独立し扶養家族が減ると、教育費や生活費に対する死亡保障の必要性は低下します。このタイミングで保障額を見直すことは、保険料の適正化に直結するでしょう。
定年退職後は収入が年金中心に変わるため、医療費や介護費用への備えを中心とした保障設計に切り替えることが求められます。高額療養費制度などの公的保障も考慮したうえで、民間保険の必要性を改めて検討しましょう。
定期保険の更新時・誕生日の前
定期保険は更新のたびに保険料が上がるのが一般的であり、更新のタイミングは保障内容と保険料のバランスを見直す好機です。
また、保険料は年齢が上がるほど高くなるため、誕生日を迎える前に見直しを完了させることで、保険料を抑えられる場合があります。
見直し時に確認すべき3つの重要ポイント

保障内容・保険期間・保険料の3つの観点から、現在の保険が適切かどうかをチェックします。
それぞれのポイントを確認していきましょう。
保障内容と保障額が目的に合っているか
まず確認すべきは、加入目的と現在の保障内容が合致しているかという点です。
死亡保障であれば、遺族の生活費・教育費・住居費を踏まえた金額設定になっているかを確認しましょう。医療保険であれば、入院日額の金額だけでなく、通院保障や先進医療特約、がんの上皮内新生物に対する保障の有無なども確認対象となります。
特に、高額療養費制度をはじめとする公的保障でカバーされる範囲を把握したうえで、民間保険の保障が過剰になっていないか見直すことが大切です。
保険期間は適切か
保険には一生涯保障が続く「終身保険」と、一定期間のみ保障する「定期保険」があります。目的に応じた保険期間の選択が、効率的な保障設計につながるでしょう。
例えば、子どもが独立するまでの死亡保障には定期保険が合理的である一方、葬儀費用のように生涯にわたって必要な保障は終身保険が適しています。必要な期間だけ保障を確保することで、保険料の無駄を減らすことが可能です。
保険料の支払いを無理なく継続できるか
十分な保障を確保していても、保険料が家計を圧迫していては本末転倒となりかねません。
生命保険文化センターの調査では、世帯年間払込保険料は平均35.3万円(月額約2.9万円相当)となっています。この水準を目安に、世帯収入に対する保険料の割合が適正かどうかを確認してみましょう。無理な保険料の設定は、途中で保険を解約せざるを得なくなるリスクにもつながります。
保険を見直す際の注意点

保険の見直し方法には複数の選択肢がある一方、注意すべきリスクも存在します。
見直し時のトラブルを避けるため、以下の点に留意しましょう。
新しい保険の成立を確認してから旧保険を解約する
新しい保険契約が成立し、保障が開始されたことを確認してから現在の保険を解約することが鉄則です。旧保険を先に解約してしまうと、新しい保険が成立するまでの間に保障の空白期間が生じます。
特にがん保険には契約後90日間の免責期間(待期期間)が設定されている商品が多く、乗り換えの際は新しい保険の免責期間が終了するまで既存の保険を継続することが望ましいでしょう。
年齢や健康状態による影響を考慮する
新しい保険に加入する場合、加入時の年齢が上がっているため保険料が高くなる可能性があります。見直し前後の保険料を比較し、総合的に判断することが必要です。
また、新規加入には健康状態の告知や審査が伴います。持病や既往歴がある場合、加入を断られたり、特定の部位が保障対象外となったり、保険料が割増になるケースもあるでしょう。現在の保険を安易に解約する前に、新しい保険への加入可否を確認しておくことが重要です。
解約返戻金の有無を確認する
貯蓄性のある終身保険や養老保険を解約する場合、解約のタイミングによっては解約返戻金が払込保険料を下回る(元本割れ)可能性があります。解約返戻金の金額を事前に保険会社に確認し、損失が発生しないか検討しておくことが大切です。
よくある質問

保険の見直しに関して寄せられることの多い疑問に回答します。
Q. 保険の見直しはどれくらいの頻度で行うべきですか?
決まった頻度はありませんが、結婚・出産・住宅購入・転職・子どもの独立・定年退職など、ライフイベントが発生した時期が主な見直しの機会です。定期保険の更新時も重要なタイミングとなります。少なくとも5〜10年に一度は保障内容を確認しておくとよいでしょう。
Q. 持病があっても保険の見直しや新規加入はできますか?
持病があっても見直しや新規加入ができるケースはあります。ただし、健康状態によっては保険料が割増になったり、特定の部位が保障対象外(部位不担保)となったり、加入できる保険の種類が限定されたりする場合があるでしょう。引受基準緩和型や無選択型の保険商品も選択肢となるため、保険会社や専門家に相談することをおすすめします。
Q. インターネットでの比較と専門家への相談、どちらがよいですか?
それぞれにメリットがあり、状況に応じて使い分けることが効果的です。
・インターネットでの比較:手軽に複数の保険商品の保険料や保障内容を比較できるため、大まかな相場感を把握するのに適しています。
・専門家への相談:ライフプランや家族構成、公的保障との兼ね合いを踏まえた総合的なアドバイスが受けられるため、複数の保険を組み合わせて検討したい場合や、見直しの判断に迷うケースで有効です。
まとめ
保険の見直しは、現在のライフステージに合った保障を確保し、保険料を適正な水準に保つための重要な取り組みです。生命保険文化センターの調査では2人以上世帯の生命保険加入率が89.2%と高水準にある一方、世帯普通死亡保険金額は低下傾向にあり、各世帯の実情に合わせた保障設計の重要性が増しています。
見直しの際は、新しい保険の成立を確認してから旧保険を解約することを徹底し、無保険期間が生じないよう注意が必要です。公的保障の範囲を把握したうえで、民間保険で不足分を補うという考え方を持つことが、過不足のない保障設計と保険料の適正化につながるでしょう。
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