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FP資格講座:2028年施行の年金改正に対応!遺族年金の計算方法と注意点

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、遺族年金は、万が一の事態に備えるための重要な知識です。遺族年金は、一家の大黒柱が亡くなった際に、遺族の生活を支える公的な年金制度で、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。ここでは、FP試験でも問われる計算方法と、受給権者の条件、そして2025年6月に成立し、2028年4月施行予定の制度改正について解説します。
遺族基礎年金と遺族厚生年金とは?
遺族年金は、国民年金と厚生年金の「2階建て」の年金制度と同じく、2つの種類で構成されています。
・遺族基礎年金:
国民年金に加入していた方が亡くなった場合に、遺された子のある配偶者または子に支給されます。
・遺族厚生年金:
厚生年金に加入していた方が亡くなった場合に、遺族基礎年金に上乗せして支給されます。
遺族年金は、これら2つの年金がセットで支給されることが多く、どちらも受給するには、それぞれ定められた要件を満たす必要があります。
遺族年金の受給額の計算方法(2025年度版)
遺族基礎年金の計算方法
遺族基礎年金の年額は、定額で決まっています。
・遺族基礎年金年額 = 831,700円(2025年度) + 子の加算額
子の加算額は、現行制度(2025年度)では、1人目・2人目の子が各239,300円、3人目以降の子は1人につき79,800円が加算されます。
遺族厚生年金の計算方法
遺族厚生年金の年額は、亡くなった方が受け取るはずだった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が、遺族に支給されます。
・遺族厚生年金年額 = 死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分 × 3/4
この計算には、以下の重要な特例があります。
・被保険者期間の月数が300月(25年)未満の場合:
老齢厚生年金を計算する際、被保険者期間の月数が300月に満たない場合は、300月とみなして計算をします。これは短期要件を満たす場合に適用される特例です。
遺族年金を受け取れる人(受給権者)と加算制度
遺族年金の受給権者には、亡くなった方によって生計を維持されていた配偶者や子、父母、孫、祖父母などが含まれます。年金の種類や亡くなった方の状況によって要件が異なります。
・遺族基礎年金:
子のある配偶者、または子
・遺族厚生年金:
妻、夫、子、父母、孫、祖父母
中高齢寡婦加算(現行制度)
現行制度では、遺族厚生年金の受給対象者である40歳以上65歳未満の子のない妻に対して、老齢基礎年金の満額の4分の3に相当する年額623,800円が加算されます。
夫が受給者となるケースの注意点
妻の死亡時に、夫が遺族厚生年金を受け取る場合、子がない夫は55歳未満である間は支給が停止されます。子がいる夫の場合は、年齢に関わらず受給が可能です。
【重要】2028年4月施行予定の年金制度改正ポイント
2025年6月に成立した制度改正によって、遺族年金制度は2028年4月から以下のような変更がなされます。
・子の加算額増額:
遺族基礎年金の子どもの加算額が大幅に増額され、すべての子について年額約28万円に統一されます。1人目・2人目は現行の約23.9万円から約4万円の増額、3人目以降は現行の約8万円から約20万円の大幅増額となります
・子のいない遺族への有期給付化:
20代〜50代で、子がない配偶者と死別した場合の遺族厚生年金は、5年間の有期給付に変更される予定です。この期間は、従来より手厚い有期給付加算が上乗せされ、現行の遺族厚生年金の額の約1.3倍となります。
・中高齢寡婦加算の見直し:
既存制度である中高齢寡婦加算は、2028年4月から25年間をかけて徐々に減額・廃止される予定です。
詳しくは、以下の記事も参考にしてください
2028年施行予定の遺族年金改正:年収500万円の夫が亡くなった場合、妻の年金はどう変わる?
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
まとめ:FPとして適切なアドバイスのために
遺族年金は、遺された家族の生活設計を大きく左右する制度です。計算方法だけでなく、受給権者の要件や、生年月日・家族構成による複雑なルールを正確に把握しておくことが、FPとしての信頼につながります。2028年4月施行予定の制度改正にも注目し、常に最新の知識をもって顧客のライフプランに寄り添いましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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