FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:証券税制の基本 特定口座を理解する

ファイナンシャル・プランナー(FP)の学習において、株式や投資信託の税制は顧客へのアドバイスに欠かせない知識です。特に、証券投資の税金を理解する上で重要なのが「特定口座」です。
ここでは、特定口座の仕組みと、FP試験でも問われる確定申告のルールについて解説します。
特定口座とは?その種類と確定申告
特定口座とは、金融機関が投資家の代わりに損益を計算し、確定申告の手間を軽減するための制度です。特定口座には、以下の2種類があります。
・源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)
金融機関が、年間の譲渡益から源泉徴収を行います。この口座内での譲渡損益は、配当金などと自動的に損益通算されるため、原則として確定申告は不要です。ただし、この自動損益通算のためには、配当金の受取方式を「株式数比例配分方式」に設定しておく必要があります。
なお、この口座内の損益と、前年以前から繰り越してきた譲渡損失とを損益通算する際は、確定申告が必要になります。
・簡易申告口座(源泉徴収なし)
金融機関は源泉徴収を行いませんが、譲渡損益の計算は行ってくれます。確定申告の際は、金融機関が交付する「特定口座年間取引報告書」を利用することで、簡単に申告できます。
複数の口座と損益通算のルール
投資家は、複数の金融機関で特定口座を開設できますが、1つの金融機関につき1口座までです。
複数の特定口座で取引を行っている場合、それぞれの口座で損益が算出されます。すべての口座の損益を通算するには、交付された「特定口座年間取引報告書」を使って確定申告を行う必要があります。
・3年間の繰越控除
特定口座(源泉徴収選択口座)で、譲渡損失が確定した場合、その損失を確定申告することで、翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます。繰り越した損失は、翌年以降の譲渡益や配当所得などと損益通算することが可能です。
一般口座との違いと取引報告の義務
特定口座と並び、投資家自身がすべての計算を行うのが一般口座です。
・一般口座の確定申告
一般口座で取引を行う場合、投資家自身が年間の譲渡所得を計算し、確定申告を行う必要があります。
金融機関には、投資家の取引内容を税務署に報告する義務があります。
・特定口座:
金融機関は、「特定口座年間取引報告書」を投資家と税務署の両方に提出します。
・一般口座:
一般口座で行われた取引については、年間の取引をまとめた支払調書を作成し、税務署に提出することが義務付けられています。
まとめ
特定口座は、投資の税金に関する事務負担を大きく軽減する制度です。FPとして、お客様の投資スタイルに合わせて、どの口座が最適かアドバイスできるよう、これらの税制ルールを理解しておきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
金子賢司へのライティング・監修依頼はこちらから。ポートフォリオもご確認ください。