FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:老齢厚生年金はいくらもらえる?計算方法と加給年金の仕組みを解説

公的年金制度は、国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)で構成されています。このうち、老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せして支給される、現役時代の働き方や給与額に比例する年金です。FPとして、お客様の老後資金計画をサポートする上で、老齢厚生年金の計算方法と、年金額を増やす加給年金の仕組みを正確に理解しておくことは必須です。
老齢厚生年金の「報酬比例部分」の計算方法
老齢厚生年金の受給額は、主に報酬比例部分と、老齢基礎年金の不足分を補う経過的加算で構成されます。ここでは、基本となる報酬比例部分の計算方法を見ていきましょう。
報酬比例部分の計算は、平成15年4月を境に計算式が異なります。
・平成15年3月以前の期間
老齢厚生年金年額 = 平均標準報酬月額 × 7.125/1,000 × 被保険者期間の月数
・平成15年4月以降の期間
老齢厚生年金年額 = 平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 被保険者期間の月数
【ポイント】
「平均標準報酬月額」は給与(月額)のみをベースに計算されますが、「平均標準報酬額」は給与に加えて賞与も計算に含みます。
年金額を増やす「加給年金」の仕組み
加給年金とは、厚生年金保険の被保険者が一定の要件を満たした場合に、年金に上乗せして支給される制度です。家族構成に応じて年金額が増えるため、「家族手当」とも呼ばれます。
・加給年金の対象者
以下のいずれかに該当する人が対象となります。
・65歳未満の配偶者
・18歳到達年度の末日までの子ども
・20歳未満で1級・2級の障害状態にある子ども
・加給年金の金額
2025年度の加給年金は、対象が配偶者の場合、年額239,300円です。さらに、一定の条件を満たすと、配偶者への特別加算額176,600円が上乗せされ、合計で年額415,900円となります。
・加給年金の支給要件
・厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あること。
・本人が老齢厚生年金を受けられること。
FPとして顧客にアドバイスする際の注意点
老齢厚生年金は、お客様の加入期間や報酬額によって一人ひとり異なります。
・繰り上げ受給との関係:
老齢厚生年金を繰り上げ受給すると、加給年金は原則として支給されません。受給開始のタイミングが、加給年金の受給に大きな影響を与えることを理解しておく必要があります。
・年金記録の正確な把握:
お客様がいつからいつまで厚生年金に加入していたか、そしてその期間の報酬額を正確に把握することが、適正な年金額を計算する上で最も重要です。
まとめ
老齢厚生年金の計算と加給年金の知識は、顧客の老後設計に不可欠です。この記事で解説したポイントを参考に、お客様の年金記録を読み解き、最適なライフプランを提案できるFPを目指しましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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