FP資格取得のためのポイント
FP資格講座:法定相続分を徹底解説!相続の順位と計算方法を学ぶ

ファイナンシャル・プランナー(FP)として、お客様の相続に関する相談を受ける際、法定相続分の知識は不可欠です。法定相続分とは、民法で定められた相続人ごとの遺産の取り分の割合のことです。この割合を正確に理解することで、適切な相続プランニングや遺産分割のアドバイスが可能になります。
ここでは、FP試験でも問われる法定相続人の範囲と順位、そして具体的なケースにおける法定相続分の計算方法を解説します。
法定相続人とは?範囲と順位を理解しよう
法定相続人とは、民法によって遺産を相続する権利が認められた人のことです。相続人になれる人には順位があり、先順位の人がいる場合は、後順位の人は相続人にはなりません。
・常に相続人になる人:配偶者
被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に法定相続人になります。他の相続人がいる場合は、その人たちと一緒に相続します。
・内縁の妻の相続権
法律上の婚姻関係がない内縁の妻には、法定相続権はありません。ただし、内縁の妻との間に子がいる場合で、その子が被相続人に認知されている非嫡出子であれば、その子には相続権があります。
配偶者以外の法定相続人の順位
配偶者以外の相続人は、以下の順位で相続人となります。
・第1順位:子(直系卑属)
被相続人に子が複数いる場合は、全員が同じ割合で相続します。子がすでに亡くなっている場合は、その子の子(孫)が代襲相続します。
・第2順位:直系尊属(父母、祖父母など)
第1順位の相続人(子や孫)がいない場合に相続人となります。父母がいる場合は父母が、父母がすでに亡くなっている場合は祖父母が相続人となります。親等の近い人が優先されます。
・第3順位:兄弟姉妹
第1順位および第2順位の相続人がいない場合に相続人となります。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子(甥、姪)が代襲相続します。
※代襲相続:本来相続人となるはずの人が、相続開始以前に死亡しているなどの理由で相続権を失った場合に、その人の子が代わりに相続人となる制度。
ケース別:法定相続分の計算方法
法定相続分は、誰が法定相続人になるかによって割合が変わります。主なケースを見ていきましょう。
ケース1:配偶者と子がいる場合
最も一般的なケースです。
・配偶者:2分の1
・子:2分の1(子が複数いる場合は、2分の1を子の人数で均等に分ける)
【計算例】
夫が亡くなり、妻と子2人(長男、長女)が相続人の場合、遺産が6,000万円であれば、
・妻:6,000万円 × 1/2 = 3,000万円
・長男:6,000万円 × 1/2 × 1/2 = 1,500万円
・長女:6,000万円 × 1/2 × 1/2 = 1,500万円
ケース2:配偶者と直系尊属(父母など)がいる場合
第1順位(子)がいないケースです。
・配偶者:3分の2
・直系尊属:3分の1(父母がいる場合は1/3を2人で均等に分ける)
ケース3:配偶者と兄弟姉妹がいる場合
第1順位(子)と第2順位(直系尊属)がいないケースです。
・配偶者:4分の3
・兄弟姉妹:4分の1(兄弟姉妹が複数いる場合は1/4を人数で均等に分ける)
※父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(異父母兄弟姉妹)の相続分は、父母を同じくする兄弟姉妹の2分の1となります。
ケース4:相続人が配偶者のみの場合
配偶者以外の相続人が誰もいないケースです。
・配偶者:全財産
ケース5:相続人が子のみの場合
配偶者がすでに亡くなっている、または離婚しているケースです。
・子:全財産(子が複数いる場合は均等に分ける)
まとめ:FPが知っておくべきポイント
法定相続分は、遺言書がない場合の遺産分割や、遺言書があっても遺留分を考える上で重要な基準となります。FPとして、お客様の状況に応じて以下のポイントを正確に把握し、適切なアドバイスができるようになりましょう。
・法定相続人の範囲と順位を正しく理解する。
・配偶者は常に相続人となる。
・内縁の妻には相続権がないが、認知された非嫡出子には相続権がある。
・代襲相続のルールを考慮する。
・ケース別の法定相続分を計算できる。
これらの知識は、お客様の円満な相続を実現するための第一歩です。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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