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ETF(上場投資信託)とは?投資信託との違い・メリット・デメリット・選び方をわかりやすく解説

ETF(Exchange Traded Fund)とは、証券取引所に上場している投資信託のことで、株式と同じようにリアルタイムで売買できる金融商品です。日本取引所グループによると、東京証券取引所には300銘柄以上のETFが上場しており、運用コスト(信託報酬)は0.1〜1%程度と、一般的な投資信託と比べて低い傾向にあります。東京証券取引所の「ETF受益者情報調査(2025年7月)」によると、2025年7月時点の国内ETF残高は約93兆7,807億円に達し、16回連続で増加しています。1本のETFを購入するだけで数十〜数千銘柄に分散投資するのと同じ効果が期待できる一方、投資信託とは異なる取引方法やコスト構造を持っているため、両者の違いを理解したうえで活用することが重要です。この記事では、ETFの基本的な仕組みから投資信託との違い、メリット・デメリット、選び方のポイントまで解説します。
ETFの基本的な仕組み

ETFは、株価指数などに連動する運用成果を目指しながら証券取引所で売買される金融商品で、投資信託と株式の両方の特徴を併せ持っています。ここでは基本構造を確認しましょう。
ETFとは何か
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれます。日本取引所グループの解説によると、ETFは投資信託の一種でありながら証券取引所に上場しているため、個別の株式と同じように証券会社を通じて取引所でリアルタイムに売買できる点が最大の特徴です。
たとえば日経平均株価に連動するETFを1本購入すれば、日経平均株価を構成する225銘柄を保有するのと同じ分散効果が期待できます。TOPIX連動型のETFであれば、2,000銘柄以上への分散投資が可能となるでしょう。
インデックス連動型とアクティブ運用型
日本取引所グループによると、ETFにはインデックス連動型とアクティブ運用型の2種類が存在します。
インデックス連動型ETFは、日経平均株価やTOPIX、S&P500といった特定の株価指数に連動する運用成果を目指すタイプで、ETFの大半を占めています。対象指標の情報がニュースなどで日々報道されているため、値動きや損益が把握しやすいという利点があるでしょう。
アクティブ運用型ETFは、連動対象となる指標が存在せず、運用会社の判断で銘柄選定を行うタイプです。2023年以降は東証でもアクティブETFの上場が進んでおり、高配当株やESG関連など特定のテーマに基づく商品が登場しています。保有銘柄の開示や月次レポートの提供を通じて透明性が確保されている点が、従来のアクティブ型投資信託との違いといえます。
ETFの取引方法
ETFの売買方法は上場株式と同じです。証券会社の取引画面から、指値注文(希望する価格を指定)や成行注文(市場の実勢価格で即座に約定)を出すことができます。
東証の取引時間は平日の9:00〜11:30と12:30〜15:30(15:25〜15:30は注文受付時間)で、この間はリアルタイムで価格が変動します。一般的な投資信託は1日1回算出される基準価額でしか取引できないのに対し、ETFは相場の動きを見ながら希望のタイミングで売買できる点が特徴です。
ETFと投資信託(非上場)の主な違い

ETFも投資信託の一種ですが、取引方法やコスト構造に重要な違いがあります。どちらが優れているという話ではなく、それぞれの特性を理解したうえで使い分けることが大切です。
取引価格と売買タイミングの違い
一般的な投資信託(非上場)は、1日1回算出される基準価額で購入・売却が行われ、注文した時点では約定価格がわかりません。一方、ETFは証券取引所の取引時間中であればリアルタイムの市場価格で売買できるため、価格が下がった局面で購入したり、上がった局面で売却したりといった柔軟な取引が可能です。
ただし、この柔軟性は裏を返せば「価格を見て頻繁に売買してしまう」リスクにもつながります。長期投資を前提とするなら、価格を気にせず定期的に積み立てられる非上場の投資信託の方が心理的に続けやすい場合もあるでしょう。
コスト構造の違い
コスト面での最大の違いは信託報酬の水準です。日本取引所グループによると、ETFの運用コスト(信託報酬)は0.1〜1%程度で、インデックスファンドを含む一般的な投資信託と比較して低い傾向にあります。
この差が生まれる主な理由は、ETFでは販売会社を介さずに証券取引所で直接売買されるため、販売会社に支払う手数料が信託報酬に含まれない点にあるでしょう。たとえば同じ日経平均株価に連動する商品でも、ETFの信託報酬が年0.1%程度であるのに対し、一般的なインデックスファンドでは年0.1〜0.5%程度となるケースが見られます。
ただし、ETFには売買時に証券会社への売買手数料がかかる場合があります。近年は売買手数料を無料とする証券会社も増えていますが、少額の積立投資を頻繁に行う場合は、売買手数料の有無を確認することが重要です。
購入できる場所と自動積立の対応
一般的な投資信託は証券会社だけでなく銀行や郵便局でも購入でき、多くの金融機関で自動積立に対応しています。一方、ETFは証券会社でしか購入できず、自動積立に対応している証券会社はまだ限られているのが現状です。
新NISAのつみたて投資枠でもETFは対象商品として認められていますが、金融庁が指定する対象ETFの本数は投資信託と比べて少なく、取扱いのある証券会社も限定されています。手間をかけずに毎月コツコツ積み立てたい場合は、非上場のインデックスファンドの方が利便性に優れているといえるでしょう。
ETFのメリット

ETFには投資信託や個別株式にはない独自のメリットがあります。ここでは特に資産形成において重要な3つのポイントを整理します。
低コストで分散投資ができる
ETFの信託報酬は一般的な投資信託より低い傾向にあり、長期保有するほどコスト差が運用成果に影響してきます。
たとえば500万円を20年間運用した場合、年率4%のリターンが得られたと仮定すると、信託報酬が年0.1%の場合は約1,075万円、年0.5%の場合は約995万円となり、信託報酬の差0.4%が20年間で約80万円の差を生み出す計算です。Day 61の投資信託の記事でも触れたとおり、コストは確実にリターンを押し下げるため、同じ指数に連動するなら低コストの商品を選ぶことが合理的な判断となります。
リアルタイムで売買できる透明性
ETFは取引時間中であればリアルタイムで価格が変動し、その時点の市場価格で売買できます。投資信託のように「注文した翌日にならないと約定価格がわからない」という状況がないため、価格の透明性が高いのが特徴です。
また、インデックス連動型ETFであれば対象指標(日経平均やTOPIXなど)がリアルタイムで公表されているため、自分の保有するETFの値動きをニュースなどで簡単に確認できる利点もあるでしょう。
商品の種類が豊富
東京証券取引所には300銘柄以上のETFが上場しており、国内株式だけでなく、外国株式、債券、REIT(不動産投資信託)、金や原油などのコモディティ(商品)まで幅広い資産に投資することが可能です。値動きの異なるETFを組み合わせることで、1つの証券口座から国際分散投資を実現できます。
ETFのデメリットと注意点

メリットがある一方で、ETFには投資信託にはないデメリットや注意すべき点も存在します。購入前に以下の点を確認しておきましょう。
自動積立がしにくい
ETFは株式と同じ取引方法で売買するため、投資信託のように「毎月○日に○円分を自動購入する」という金額指定の自動積立ができない証券会社が多い状況です。一部のネット証券では定期買付サービスを提供していますが、対応銘柄や注文方法に制限がある場合もあります。
「投資にかける手間を極力減らしたい」「感情に左右されず淡々と積み立てたい」という場合は、ETFよりも非上場のインデックスファンドの方が適しているでしょう。証券会社のサービス内容を確認したうえで、自分の投資スタイルに合った商品を選ぶことが大切です。
市場価格と基準価額の乖離(かいり)
ETFには「市場価格」と「基準価額」という2つの価格が存在します。市場価格は取引所での需給バランスによって決まり、基準価額はETFが保有する資産の時価をもとに算出される理論的な価値です。
通常、この2つの価格は近い水準で推移しますが、取引量が少ないETFや相場が急変した局面では乖離が広がることがあります。乖離が大きい状態で購入すると、実質的に割高な価格で買ってしまうリスクがあるため、取引量(出来高)が一定以上ある銘柄を選ぶことが望ましいでしょう。
分配金が自動で再投資されない
ETFの分配金は、税法上の規定により決算期間中に発生した収益の全額を分配する仕組みになっています。一般的な投資信託では分配金を自動的に再投資するコースを選べる場合が多いのに対し、ETFでは分配金が現金で受け取られるのが通常です。
分配金を再投資したい場合は、受け取った分配金で手動でETFを買い増す必要があります。複利効果を最大限に活かしたい長期投資では、この手間が積み重なるデメリットとなるでしょう。
ETFの選び方のポイント

300銘柄以上あるETFの中から自分に合った商品を選ぶために、確認すべきポイントを整理します。
連動する指数と資産クラスを確認する
まず、どの指数(株価指数、債券指数、REIT指数など)に連動するETFなのかを確認しましょう。同じ「日本株ETF」でも、日経平均株価に連動するものとTOPIXに連動するものでは構成銘柄や値動きの特性が異なる点に注意が必要です。
Day 58の分散投資の記事で解説したとおり、GPIFは国内債券・国内株式・外国債券・外国株式の4資産に均等配分する基本ポートフォリオを採用しています。ETFを活用してこれに近い資産配分を構築することも可能ですが、すでに非上場のバランス型投資信託で同様の分散ができている場合は、無理にETFに切り替える必要はありません。
信託報酬と総経費率を比較する
同じ指数に連動するETFが複数ある場合、信託報酬の低い商品を選ぶのが基本です。ただし、2025年1月以降は「総経費率」の開示が義務化されており、信託報酬だけでなく売買委託手数料や監査費用なども含めた実質的なコストを比較できるようになりました。
信託報酬だけを見て判断するのではなく、総経費率を確認して実質コストの低い商品を選ぶことがより正確な比較方法となります。
出来高(取引量)と純資産総額を確認する
出来高が少ないETFは、売買時に希望する価格で約定しにくくなり、市場価格と基準価額の乖離も広がりやすくなります。また、純資産総額が小さいETFは運用効率が悪化しやすく、最悪の場合は上場廃止となる可能性もあるでしょう。
出来高が安定的にある銘柄、純資産総額が一定規模以上の銘柄を選ぶことが、流動性リスクを避けるうえで重要です。
新NISAでのETF活用方法

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の両方でETFを活用できますが、それぞれ対象商品や使い勝手が異なります。
つみたて投資枠でのETF
つみたて投資枠では金融庁が指定する一定の要件を満たしたETFが対象となりますが、対象銘柄は投資信託と比較して少数にとどまっています。また、つみたて投資枠でETFを取り扱う証券会社も限られている状況です。
つみたて投資枠では、品揃えが豊富で自動積立に対応した非上場のインデックスファンドを活用する方が、実務上は合理的な選択といえるでしょう。
成長投資枠でのETF
成長投資枠では、レバレッジ型・インバース型などの一部を除く多くのETFが対象となっています。つみたて投資枠では投資できない債券ETF、REIT ETF、コモディティETF、高配当株ETFなどを成長投資枠で購入することで、ポートフォリオの分散効果を高める活用方法が考えられるでしょう。
ただし、レバレッジ型ETFやインバース型ETFは短期売買を前提とした商品であり、長期保有すると指数との乖離が拡大する構造上の問題を抱えています。老後資金の準備など長期の資産形成が目的であれば、レバレッジ型・インバース型は避けるべきです。
出典:金融庁「NISAを知る」
ETFが向いている人・向いていない人

ETFと投資信託はどちらが優れているという話ではなく、投資スタイルや目的に応じて使い分けることが合理的な判断です。
ETFが向いているケース
・すでにある程度の投資経験があり、自分で売買タイミングを判断したい場合
・信託報酬をできるだけ抑えて長期保有したい場合
・つみたて投資枠とは別に、成長投資枠で特定の資産クラスに投資したい場合
・分配金を定期的に現金で受け取りたい場合
投資信託(非上場)が向いているケース
・毎月一定額を自動で積み立てたい場合
・投資に手間をかけたくない場合
・分配金を自動的に再投資して複利効果を活かしたい場合
・100円や1,000円といった少額から始めたい場合
家計全体の資産配分を考えたうえで、「積立はインデックスファンド、追加投資や特定資産への投資はETF」というように併用する方法もあります。どちらか一方に決める必要はなく、目的に応じた使い分けが効果的です。
まとめ
ETF(上場投資信託)は、証券取引所でリアルタイムに売買でき、信託報酬が低い傾向にある金融商品です。日本取引所グループによれば東証には300銘柄以上が上場しており、1本で幅広い分散投資が可能となります。
一方で、自動積立のしにくさ、分配金の自動再投資ができない点、取引量の少ない銘柄では市場価格と基準価額が乖離するリスクがある点には注意が必要です。投資信託との違いを正しく理解し、自分の投資スタイルや目的に合った商品を選ぶことが、長期的な資産形成の成功につながるでしょう。
投資を始める前には、Day 60で解説した「生活防衛資金の確保」と「公的保障の把握」が前提条件となります。投資にはリスクが伴うため、余裕資金の範囲で取り組むことを忘れないようにしましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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