iDeCo
20代から始めるiDeCo:少額積立で将来に差をつける戦略

そう考えている20代の皆さん、実はiDeCo(個人型確定拠出年金)は、まさに今、あなたが始めるべき老後資金準備の最適解です。まだ若いからこそ、iDeCoの非課税メリットと「時間の力」を最大限に活かし、将来の資産形成に大きな差をつけることができます。
この記事では、20代の皆さんがiDeCoを始める具体的なメリット(長期運用、複利効果)を強調します。そして、月5,000円からの少額積立の有効性や、若いうちから資産形成の習慣を身につける意義まで、あなたの将来を豊かにするためのiDeCo戦略を提案します。
20代からiDeCoを始めるべき3つの絶大メリット

20代でiDeCoを始めることには、他の年代にはない、非常に大きな優位性があります。
「複利効果」の恩恵を最大限に享受できる
投資における複利効果とは、運用で得た利益を再び投資に回すことで、利益が利益を生み、雪だるま式に資産が増えていく効果のことです。この複利効果が最も力を発揮するのが、「時間」です。
20代からiDeCoを始めれば、例えば60歳まで(または将来70歳まで延長が検討されている受給開始年齢まで)、30年~40年という非常に長い期間、資産を運用し続けることができます。非課税でこの長期間、複利効果を享受できるため、最終的な資産額は、30代や40代から始めるよりも圧倒的に大きくなる可能性を秘めています。
【シミュレーションで比較(年率5%で運用の場合)】
・25歳から月1万円を35年間積立: 最終的に約1,136万円(元本420万円)
・35歳から月1万円を25年間積立: 最終的に約596万円(元本300万円)
たった10年の開始時期の差で、最終的な資産額に約540万円もの差が生まれる可能性があります。これが「時間の力」です。
金融庁 つみたてシミュレーターで試算
掛金の「所得控除」メリットを長く享受できる
iDeCo最大のメリットの一つは、拠出した掛金が全額所得控除になり、所得税と住民税が安くなることです。
20代からiDeCoを始めれば、働いている期間(20歳から65歳未満、または将来70歳未満まで拡大検討中)を通して、毎年この節税メリットを享受できます。 早く始めるほど、累積の節税額は大きくなります。例えば、月5,000円の積立でも、所得税率5%・住民税率10%なら、年間9,000円の節税です。これが何十年も続くのです。
「運用益非課税」の恩恵を長く受けられる
運用中に得た利益に税金がかからないというメリットも、長期であるほど威力を発揮します。税金が引かれずに利益が再投資されるため、効率的に資産を増やせる期間が長くなります。
月5,000円からの少額積立の有効性

「20代だと、まだ収入が多くないし、毎月そんなに多くは積立できない…」そう感じるかもしれません。でも大丈夫です。iDeCoは月々5,000円という少額から始めることができます。
無理なく「継続」できる金額
・月5,000円なら、コーヒー数杯分、ランチ1〜2回分を我慢する程度で始められます。生活費を圧迫する心配が少ないため、無理なく長期的に継続しやすいのが最大のメリットです。
・投資において最も大切なのは「継続すること」です。少額でも長く続けることで、複利効果を最大限に享受できます。
「ドルコスト平均法」の恩恵を最大限に
・毎月決まった金額を積立投資することで、価格が高い時には少なく、価格が安い時には多く買い付ける「ドルコスト平均法」の恩恵を受けられます。これにより、購入単価を平準化し、高値掴みのリスクを抑える効果が期待できます。
・20代から始めることで、30年以上の期間にわたってこの効果を発揮させることが可能です。
ドルコスト平均法については、以下の記事も参考にしてください。
ドルコスト平均法とは?時間分散で賢く資産形成!
収入が増えたら「増額」できる
・iDeCoの掛金は、年に1回まで変更が可能です。20代のうちは少額から始めて、収入が増えてきたら徐々に積立額を増やしていきましょう。
・例えば、月5,000円からスタートし、30代で月1万円、40代で月2万円と増額していくことで、より早く老後資金目標に到達できます。
若いうちから「資産形成の習慣」を身につける意義

20代という早い段階でiDeCoを始めることは、単にお金が増えるだけでなく、将来に向けた非常に良い習慣を身につけることにもつながります。
「先取り貯蓄」ならぬ「先取り投資」の習慣化
・給料が入ったらまずiDeCoに積み立てる「先取り投資」を習慣化することで、無駄遣いを防ぎ、着実に資産を増やしていけます。
・お金を管理する意識が高まり、自然と金融リテラシーが向上します。
投資への心理的ハードルを下げる
・少額から始めることで、市場の動きや投資信託の仕組みなどを体験しながら学べます。
・元本割れのリスクを経験しても、少額であれば精神的なダメージも少なく、早い段階でリスクと向き合う力を養うことができます。
「確実な老後資金」という安心感
・iDeCoは原則60歳まで引き出せませんが、この資金拘束があるからこそ、途中で使ってしまう心配がなく、着実に老後資金が確保されます。
・20代から準備を始めることで、将来の老後に対する漠然とした不安を早い段階で解消し、精神的な安心感を得られます。
20代のあなたへ!iDeCoの最新制度変更で将来はもっと有利に

iDeCo制度は、より多くの人が老後資金を準備しやすいように、今後も変更が進んでいます。20代のあなたがiDeCoを始める上で、知っておきたい最新情報です。
掛金上限額の大幅な引き上げ(2024年12月・2025年度税制改正大綱)
現在の掛金上限額(2024年12月以降)
・会社員(企業年金なし):月23,000円
・会社員(企業年金あり)・公務員:月20,000円(企業年金等の掛金と合わせて55,000円まで)
・自営業者:月68,000円(国民年金基金等と合わせて)
・専業主婦(夫):月23,000円
将来予定されている掛金上限額(2025年度税制改正大綱)
・会社員(企業年金なし):月62,000円へ大幅引き上げが検討されています。 これは、月2.3万円から3.9万円ものアップとなります。
・会社員(企業年金あり)・公務員:企業年金等と合わせて月62,000円までとなることが検討されています。
・自営業者:月75,000円へ引き上げが検討されています。
・専業主婦(夫):変更なし
20代のあなたにとって特に重要: 将来的にiDeCoの掛金上限が月62,000円まで引き上げられれば、年間74.4万円もの金額を、非課税で拠出し、運用益非課税の恩恵を受けられることになります。これは、月1万円からスタートしても、将来収入が増えた際に年間最大74.4万円という非常に大きな非課税枠を使い、より効率的に老後資金を形成できる可能性を意味します。
加入可能年齢の拡大(2025年度税制改正大綱)
現在、iDeCoに掛金拠出ができる期間は20歳から65歳未満までですが、2025年度税制改正大綱では70歳未満まで加入可能年齢が延長されることが検討されています。 これにより、より長くiDeCoを活用して老後資金を貯められるようになるため、20代から始めれば「超」長期での運用が可能になり、複利効果を最大限に引き出すことができます。
手続きの簡素化(2024年12月改正)
会社員や公務員がiDeCoに加入する時に必要だった「事業主の証明書」が、2024年12月以降、原則不要となりました。 これにより、iDeCoの申し込み手続きがさらにスムーズになっています。
まとめ:20代はiDeCoで「時間」を味方にしよう
iDeCoは、20代の皆さんにとって、まさに「やらない手はない」老後資金準備のための強力なツールです。
・月5,000円からの少額積立でも、非課税の複利効果と所得控除により、時間を味方につけて将来の資産に大きな差をつけることができます。
・将来の掛金上限額の大幅な引き上げ(予定)や加入可能年齢の延長(予定)も、20代から始める大きなメリットです。
・若いうちから「先取り投資」の習慣を身につけることで、お金に関する知識も深まり、将来の選択肢が広がります。
「まだ早い」ではなく、「今だからこそ」始めるiDeCoで、あなたの豊かな未来への一歩を踏み出してみませんか。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています