金投資
速報:国内金価格が史上初の1g2万円台を突破!高騰の背景と今後の見通し

2025年9月29日、国内の金(ゴールド)小売価格が歴史的な節目を迎えました。地金商最大手の田中貴金属工業が公表した店頭小売価格(税込み)が、初めて1グラムあたり2万円の大台を突破し、史上最高値を更新しました。
史上最高値を更新!驚異的なスピードで2万円台へ
国内の金価格の代表的な指標である田中貴金属工業の店頭小売価格は、2025年9月29日午前9時30分の公表で、前日比78円上昇し、1グラムあたり2万18円(税込み)をつけ、初めて2万円台に乗せました。その後も勢いは衰えず、同日午後にはさらに上昇し、2万133円で最高値を更新しています。
この高騰の勢いは凄まじく、初めて1万円を突破した2023年8月からわずか約2年で価格が2倍になった計算です。15年前の約3500円前後と比べると、約6倍にまで値上がりしており、投資家や消費者の間で大きな話題となっています。
なぜ金価格は高騰し続けるのか?複合的な3つの要因
金価格が天井知らずの上昇を続ける背景には、「安全資産」としての金の需要が世界的に高まっていることがあります。主な要因は以下の3点です。
1. 米国の利下げ観測と「ドル不信」の高まり
金利のつかない金にとって、金利環境の変化は大きな影響を与えます。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が、今後も利下げを継続するとの見方が市場で広がる中、これまでの高金利で魅力的だった米ドルの魅力が相対的に薄れています。このため、ドルの代わりに金へ資金が流れ込む動きが加速しています。国際価格の指標であるニューヨーク先物価格も、初の1トロイオンス3800ドルを突破しました。また、FRBへの政治的介入懸念などからドルの信認が揺らぐとの見方も、相対的な安全資産である金への投資を誘っています。
2. 地政学リスクの緊迫化と「有事の金」需要
埋蔵量が限られ希少価値が保たれる金は、世界情勢が緊迫化すると「有事の金」として買われる傾向があります。現在、ロシアによるウクライナ侵略、中東情勢の緊迫化に加え、国連の対イラン制裁が復活するなど、国際的な不安要素が非常に多いことが相場を押し上げています。
3. 止まらない円安とインフレ定着への懸念
国内の金価格は、国際価格(ドル建て)に為替相場を加味して決まるため、円安・ドル高の進行が円建ての金価格を大きく押し上げています。外国為替市場では円安傾向に歯止めがかからない状況です。さらに、円安や物価高(インフレ)の定着により、通貨の価値が目減りする懸念が強まっています。このような状況下で、インフレに強く、資産価値が目減りしにくいとされる金に、資産を守る手段として投資人気が集まっています。専門家も、金は「将来的な円安やインフレ進行から自分の資産価値を守る働きがある」と指摘しています。
2万円突破が示す投資動向の変化
金価格の高騰は、国内の投資家の行動にも大きな変化をもたらしています。
投資の裾野拡大と若年層の流入
かつて金が高くなると換金のための売却(利確)が目立ちましたが、今回はさらなる値上がり期待から、金を購入する客が増加する特異な様相を呈しています。特に注目すべきは、投資の裾野の拡大です。田中貴金属工業の新規口座入会者における20〜30代の割合が3割に迫り、この層が本格的なボリュームゾーンになりつつあります。株式投資に不慣れな層や、手堅い資産保全を望む層が金に流入しています。
より手軽な小型地金への需要集中
価格の高騰により、売れ筋の地金も変化しています。数年前は100グラムの地金が人気でしたが、高値のため、現在は50グラムや20グラムといった、より価格を抑えた小型の地金に需要が集中しています。地金商は、こうした小型地金の増産で需要に応える対応に追われています。
まとめと今後の見通し:2万円は「通過点」か
国内外の要因が複合的に絡み合い、記録的な水準に達した金価格ですが、専門家からは「中央銀行から機関投資家や個人まで幅広い投資家が金を買っており、国内1グラム2万円は到達点ではなく通過点に過ぎない」といった見方が多く出ています。
今回の2万円乗せは、円の価値の下落とインフレの定着という、日本の経済環境の大きな変化を浮き彫りにしています。資産の分散やインフレ対策として、金への投資は今後も根強い人気が続くでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。