FPによる貸金業法学習記録
貸金業者の登録変更・更新・廃業届出について

この記事は、CFPが2025年11月16日実施の貸金業務取扱主任者を目指すために、自身の勉強記録として残すブログです。
※本記事は筆者の学習記録であり、その内容の正確性には万全を期しておりますが、法令改正等により変更される可能性があります。実際の業務や判断においては、必ず最新の法令や専門家の助言を確認してください。
貸金業務取扱主任者制度と登録に関する規定
貸金業務取扱主任者制度の概要
貸金業の業務の適正な実施を確保するため、貸金業者は一定の要件に基づき、営業所又は事務所ごとに貸金業務取扱主任者を置かなければならない。主任者には、その業務を適切に実施し得る知識及び能力を有することが求められる。
主任者の常時駐在に関する規定
貸金業者が営業所や事務所などに主任者を常時駐在する必要があるか否かについては、法令に具体的な規定はない。しかし、単に主任者が所属する営業所等が1つに決まっていることだけでは足りず、常時勤務していると認められるだけの実態が必要である。これは、主任者がその職務を適切に遂行するために、実質的な勤務状況が求められるためである。
主任者の設置割合に関する規定
貸金業者は、貸金業の業務に従事する者の数に対し、主任者の数が50分の1(50人に1人)以上の割合となるように主任者を設置しなければならない。
この割合が「予見が難しい理由」によって50分の1に至ったとき、貸金業者は2週間以内に必要な措置(主任者の選任など)を講じなければならない。
・「予見が難しい理由」とは、例えば、主任者の突然の病気や事故による離職などが該当する。
・一方、定年退職や会社の都合による主任者の異動・退職などは予見可能であり、これらを理由として2週間以内に必要な措置を取るという対応では、法令の要請を満たさない。予見可能な事由の場合は、あらかじめ主任者を確保するなどの対応が必要となる。
貸金業務取扱主任者登録の更新と取消し
貸金業務取扱主任者として業務を行うには、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。
主任者登録の更新手続き
主任者登録には有効期間の定めはないが、その知識及び能力を維持するため、主任者登録の更新は申請をする必要がある。
・主任者登録を受けるには、申請の日以前6ヶ月以内に行われる登録講習機関が行う講習(登録講習)を受けなければならない。
・登録講習の受講は、主任者として必要な知識の維持・向上を図ることを目的としている。
主任者登録の取消し
貸金業務取扱主任者が、法令に違反したときや、その職務に関し著しく不適当な行為を行ったときは、内閣総理大臣は主任者登録を取り消すことが可能である。
・主任者登録を取り消された場合、その処分の日から5年を経過しない者は、再び主任者登録を受けることができない。
貸金業者の登録変更届出
貸金業者が事業を行う上で、登録内容に変更が生じた場合、その内容に応じて登録行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)への届出が義務付けられている。
「あらかじめ」届出が必要な主なケース
主に以下の変更が生じる場合、貸金業者は「あらかじめ」その旨を登録行政庁に届け出る必要がある。
・営業所または事務所の名称や所在地を変更する場合:事業の拠点に関する重要な変更であるため、事前に届け出ることが求められる。
・広告または勧誘に用いる連絡先等を変更する場合:電話番号やホームページアドレスなど、顧客との連絡手段に変更が生じる場合、円滑な業務遂行と消費者保護の観点から事前届出が義務付けられている。
事後の届出が必要な場合(変更後2週間以内)
以下の変更が生じた場合、貸金業者は変更が生じた日から2週間以内に登録行政庁に届け出る必要がある。
・商号、名称、または氏名を変更する場合:法人の商号や代表者の氏名など、貸金業者の同一性に関する重要な事項に変更が生じた場合。
・業務の種類や方法を変更する場合:貸付対象や金利体系など、貸金業者が行う業務内容に大きな変更がある場合。
・貸金業以外の事業の業務を変更する場合:貸金業以外の事業も行っている場合、その事業内容の変更も届出の対象となる。
その他の重要な届出
・役員や使用人による法令違反等の行為を知った場合:貸金業者は、役員や使用人が貸金業の業務に関して法令違反行為や業務の適正な運営に支障を来たす行為があったことを知った場合、2週間以内に登録行政庁に届け出る必要がある。これは、監督行政庁が速やかに適切な措置を講じるために重要な義務である。
貸金業の廃業届出
貸金業を廃業する場合、単に事業をやめるだけでなく、法に基づいた届出義務を果たす必要がある。この届出は、顧客保護や業界の健全性維持のために重要である。
廃業届出の義務と期限
貸金業者が貸金業を廃業した場合、貸金業者であった個人または法人を代表する役員は、その日から30日以内に登録行政庁に届け出なければならない。この期限は、事業の終了を明確にし、行政の管理体制を維持するために定められている。なお、死亡の場合は、死亡の事実を知った日から30日以内となっている。
解散、破産、合併による廃業
貸金業者の廃業は、必ずしも自発的な廃業届出によるものだけではない。法人の解散、破産、合併といった事由でも廃業となることがある。
・合併や破産手続開始の決定以外の理由で法人が解散した場合:届出をした時に効力を失うのではなく、解散したときに登録の効力が失われる。
・法人が合併により消滅した場合:合併により消滅した法人を代表する役員は、その日から30日以内に登録行政庁に届け出る。
・個人である貸金業者に破産手続開始の決定があった場合:破産した個人ではなく、破産管財人が、その日から30日以内に登録行政庁に届け出る。
貸金業登録の更新
貸金業の登録は永続的なものではなく、有効期間が定められている。登録の有効期間は3年間であり、引き続き貸金業を営む場合は、登録の有効期間満了の2ヶ月前までに更新手続きが必要となる。更新手続きを怠ると、登録は失効し、無登録業者として罰則の対象となる。
貸金業者の死亡と相続
個人である貸金業者が死亡した場合、その登録は直ちに効力を失うわけではない。貸金業の業務継続に関する特例が設けられている。
・相続による貸金業の継続:貸金業者が死亡した場合、相続人(相続人が2人以上いるときは、全員の同意により選定されたその人)は、被相続人の死後60日以内に限り、引き続き貸金業を営むことができる。この期間内に、相続人は新たな登録申請を行うか、廃業手続きを進める必要がある。