FPによる貸金業法学習記録
貸金業の登録要件とは?

この記事は、CFPが2025年11月16日実施の貸金業務取扱主任者を目指すために、自身の勉強記録として残すブログです。
※本記事は筆者の学習記録であり、その内容の正確性には万全を期しておりますが、法令改正等により変更される可能性があります。実際の業務や判断においては、必ず最新の法令や専門家の助言を確認してください。
貸金業登録の人的要件
貸金業の登録申請においては、申請者やその役員、従業員に関する人的な要件が定められている。
経験者の要件
・個人事業主の場合
登録申請者が個人の場合、貸付業務に3年以上従事した経験を有する者である必要がある。
・法人の場合
法人の場合、常務に従事する役員のうちに、貸付業務に3年以上従事した経験を有する者が1人以上いることが求められる。この「貸付業務」は、貸金業に限定されず、銀行や信用金庫といった貸金業者以外の金融機関での経験も含まれる。
貸金業務取扱主任者の設置
貸金業者は、営業所または事務所ごとに、貸金業務取扱主任者を1人以上置かなければならない。
・貸金業の登録申請書には、営業所または事務所ごとに配置される貸金業務取扱主任者の氏名および登録番号を記載する必要がある。
・貸付に関する業務に従事する使用人の数が50以上の従たる営業所等においては、その営業所等を統括する者の権限を代行し得る地位にある者(支店長、副支店長、副所長など、いかなる名称を持つものであるかを問わない)を登録申請書に記載しなければならない。
貸金業登録の財産的要件
貸金業の登録申請には、貸金業を適正に運営するための財産的基礎が求められる。
純資産額
・法人の場合
法人の登録申請者は、最終事業年度に係る貸借対照表またはこれに代わる書面において、純資産の部の合計額として表示された金額が5,000万円を下回ってはならない。この要件は、貸金業の健全な運営を確保し、過度な負債を抱えた状態での営業を防ぐためのものである。
欠格事由
以下に該当する者は、貸金業の登録を拒否される。
破産と刑罰
・破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者は、登録を拒否される。しかし、復権を得た場合は、復権を得た日から5年が経過していなくても、登録を拒否されることはない。
・出資法の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過しない者も、登録を拒否される。
登録取り消しと役員経験
・法人が貸金業の登録を取り消された場合、当該取り消しの日前30日以内に当該法人の役員であった者で、当該取り消しの日から5年を経過しないものは、貸金業の登録を拒否される。
その他の要件
内部規則
・貸金業の登録を申請するためには、資金需要者などの保護を図り、貸金業の適正な運営に資するための十分な社内規則を定めている必要がある。これは、法令遵守や顧客保護のための体制が整っているかを確認するための重要な要件である。
登録の区分と有効期間
貸金業の登録は、営業所や事務所の設置場所によって、内閣総理大臣または都道府県知事のどちらが行うかが区分されている。また、登録には有効期間が定められており、定期的な更新が必要である。
登録権者
・2つ以上の都道府県の区域内に営業所または事務所を設置して事業を営もうとする者は、内閣総理大臣の登録が必要である。
・1つの都道府県の区域内にのみ営業所等を設置して事業を営もうとする場合は、都道府県知事の登録が必要である。
登録の更新
・貸金業の登録は3年ごとに更新しなければ、その期間の経過によってその効力を失う。
・貸金業者は登録の更新を受けようとするときは、その者がすでに受けている登録の有効期間満了の2ヶ月前までに、当該登録の更新を申請しなければならない。
登録申請書の記載事項と登録簿
登録申請書には、貸金業の適正な運営を確保するために必要な様々な情報を正確に記載する必要がある。また、これらの情報は貸金業者登録簿に登録され、一般に公開される。
申請書の記載事項
・登録申請書に記載する営業所などの電話番号は、その場所を特定するもの、および、その場所に係る着信課金サービス(電話を受けた側が通話料金を負担するサービス)や統一番号サービス(全国どこからでも単一の電話番号で特定のサービスに接続できる電話サービス)に係るものに限定される。
・登録申請書に記載する営業所等のうち、代理店とは、貸金業者の委任を受けて貸付に関する業務の全部または一部を代理した者が、当該業務を営む施設または設備をいう。ただし、銀行、長期信用銀行、協同組織金融機関および株式会社商工中央金庫の営業所または事務所(現金自動設備に限る)は代理店から除かれる。
・政令で定める使用人とは、貸金業に関し営業所または事務所の業務を統括する者その他これに準ずる者で、内閣府令に定められるものをいう。
・営業所または事務所とは、貸金業者またはその代理人が一定の場所で貸付に関する業務の全部または一部を継続して営む施設または設備(自動契約受付機、現金自動設備)およびその代理店をいう。ただし、現金自動設備については、営業所または事務所と同一敷地内(隣接地を含む)に設置されたものは、営業所または事務所に該当しない。
・ただし、自動契約受付機は、貸金業者の既存の営業所の隣接地に設置されるものであっても、営業所または事務所に該当する。
貸金業者登録簿への登録事項
・貸金業者登録簿には、以下のような情報が登録される。
・商号、名称または氏名および住所
・法人である場合は、その役員の氏名、商号または名称および政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
・個人である場合で、政令で定める使用人があるときはその者の氏名
・未成年者である場合は、その法定代理人の氏名、商号または名称
・営業所または事務所の名称および所在地
・営業所または事務所ごとに置かれる貸金業務取扱主任者の氏名および登録番号
・その業務に関して広告または勧誘をする際に表示などをする営業所または事務所の電話番号、その他の連絡先等であって内閣府令に定めるもの(ホームページやメールアドレスも含む)
・業務の種類および方法
・他に事業を行っているときはその事業の種類、登録年月日および登録番号
これらの要件は、貸金業が社会的な信頼を維持し、利用者の保護を図るために不可欠なものである。登録の際には、これらの要件をすべて満たしているか、慎重に確認する必要がある。