自動車保険
自動車保険の等級制度の仕組み|事故時に「保険を使うか自己負担か」の判断基準

自動車保険のノンフリート等級制度は、1〜20等級の区分で保険料の割引率・割増率が決まる仕組みです。1年間無事故であれば翌年1等級上がり、事故で保険を使うと3等級下がるのが基本ルールで、等級が高いほど割引率が大きくなります。この制度を正しく理解しておくと、「事故が起きたとき保険を使うべきか、自己負担にすべきか」を冷静に判断できるようになるでしょう。この記事では等級制度の基本を押さえたうえで、事故時の判断フレームワークを解説します。
等級制度の基本|6等級スタート・最大20等級

ノンフリート等級制度は、損害保険料率算出機構が定めた参考純率をベースに各損害保険会社が採用しており、保険会社を変更しても等級は引き継がれます。
等級の基本ルール
・初めて自動車保険に加入する場合は6等級からスタート
・1年間無事故(保険を使わなかった場合)であれば翌年1等級アップ
・事故で保険を使った場合、事故の種類に応じて3等級ダウンまたは1等級ダウン
・等級の上限は20等級(最大の割引率が適用される)
等級が高いほど割引率が大きくなり、20等級では保険料が大幅に割引されます。一方、1〜3等級は割増が適用されるため、事故を起こして等級が下がると保険料の負担が長期にわたって増加する仕組みです。
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」
事故有係数適用期間に注意
7等級以上では、同じ等級でも「無事故」と「事故有」で割引率が異なります。3等級ダウン事故を起こした場合、翌年から3年間は「事故有」の割引率が適用され、無事故の場合より割引率が低く抑えられます。つまり、事故の影響は等級が下がるだけでなく、同じ等級に戻っても3年間は保険料が高い状態が続くということです。
事故を起こしたとき|保険を使うか自己負担かの判断基準

等級制度で最も重要なのは、事故が起きたときに「保険を使うべきか、自己負担にすべきか」を冷静に判断することです。保険を使えば修理費は出ますが、等級ダウンと事故有係数による保険料増加が3年間続きます。修理費の金額によっては、保険を使わない方がトータルの支出が少なくなるケースがあります。
判断の基本:修理費と3年間の保険料増加額を比較する
3等級ダウン事故で保険を使った場合、事故有係数適用期間の3年間で保険料が合計いくら増えるかを概算し、修理費と比較しましょう。
概算の例(12等級・無事故の場合に3等級ダウン事故を起こしたケース)
・事故前:12等級(無事故)の保険料で契約
・事故後:9等級(事故有)に下がり、3年間は「事故有」の割引率が適用される
・3年間の保険料増加額の目安:約10万円〜15万円(契約条件・保険会社によって異なる)
この場合、修理費が10万円程度であれば、保険を使わず自己負担にした方がトータルの支出は抑えられる計算になります。一方、修理費が30万円以上であれば、保険を使う方が合理的でしょう。
保険を使うべきケースと自己負担にすべきケース
・保険を使うべきケース:人身事故、修理費が高額(目安として20〜30万円以上)、相手方への賠償が発生する事故
・自己負担を検討すべきケース:自損事故で修理費が少額、飛び石によるガラス交換のみなど
・判断に迷う場合:保険会社に「保険を使った場合の翌年以降の保険料」を事前に確認してから決める
なお、保険を使わなくても事故の届出自体は行いましょう。届出と保険金請求は別の手続きであり、届出だけであれば等級には影響しません。
等級を長期的に活用する|中断証明書とセカンドカー割引

等級は長年の無事故の積み重ねで得られる資産であり、有効に活用する方法を知っておくことが重要です。
中断証明書で等級を最大10年間保持できる
海外転勤や車を一時的に手放す場合、中断証明書を取得しておけば、最大10年間等級を保持できます。再び車を所有した際に、保持していた等級から契約を再開でき、6等級からやり直す必要がありません。車を手放す予定がある場合は、解約前に保険会社に中断証明書の発行を依頼しましょう。
セカンドカー割引で2台目は7等級から
1台目の自動車保険が11等級以上であれば、2台目の自動車保険は通常の6等級ではなく7等級からスタートできます。6等級と7等級では割引率に差があるため、家族で2台以上の車を所有する場合は活用しましょう。
まとめ|等級制度を理解して「使うか使わないか」を判断できるようにする
自動車保険の等級制度は、保険料に直結する重要な仕組みです。
・6等級からスタートし、1年間無事故で1等級アップ。最大20等級
・事故で保険を使うと3等級ダウン+事故有係数3年間で保険料が長期的に増加
・事故時は「修理費」と「3年間の保険料増加額」を比較して判断する。少額の修理費なら自己負担の方がトータルで安くなるケースがある
・中断証明書で等級を最大10年間保持可能。セカンドカー割引で2台目は7等級スタート
安全運転を心がけて等級を上げることが保険料節約の基本ですが、万が一事故が起きた場合は、感情的にならず数字で判断することが家計を守る鍵となります。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しました。執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



