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粉瘤(アテローム)手術は医療保険の対象?CFPである私の実体験と保険選びの注意点

粉瘤は、皮膚の下にできる良性の腫瘍で、医療保険の給付対象になるかは保険の種類や契約内容によって異なります。私の実体験も踏まえ、粉瘤の手術と医療保険について詳しく解説します。
粉瘤(ふんりゅう)とは? 良性のできものでも手術が必要な場合も
粉瘤は「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」や「アテローム」とも呼ばれる、皮膚の内部にできる良性の腫瘍です。毛穴の角栓のように角質や皮脂が袋状の組織に溜まってでき、徐々に大きくなる特徴があります。自然に治ることはなく、細菌感染を起こすと炎症して痛みや臭いを伴うこともあります。
私自身も以前、後頭部に粉瘤ができ、近くで見るとボコッと出っ張っていました。当初は悪性腫瘍ではないかと不安になりましたが、医師から良性であるアテロームだと診断され、安心しました。しかし、大きくなるにつれて頭全体を締め付けられるような不快感があったため、切除手術を受けることにしました。粉瘤は皮膚の内部にできるため、手術で切除しないと根本的な治療はできません。
粉瘤切除にかかる費用と、私の医療保険の体験談
粉瘤の切除手術は、健康保険が適用されるため、自己負担額は比較的少額です。私の場合は手術代を含めて3割負担で約30,000円でした。粉瘤の大きさや場所によって費用は異なり、例えば露出部(顔、首、肘から下、膝から下など)の2cm未満の粉瘤で3割負担の場合、約5,000円〜10,000円が目安です。
私はこの手術を受けた後、加入している民間の医療保険に給付金を請求してみました。結果として手術給付金5万円を受け取ることができ、「医療保険に入っていて本当に良かった!」と心から思いました。粉瘤の手術は日帰りで行われることが多いため、入院給付金ではなく外来手術給付金が支払われるケースが一般的です。
粉瘤の手術が医療保険の対象とならないケースとその理由
実は、粉瘤の手術が民間の医療保険の手術給付金の対象とならないケースもあります。これは、医療保険の契約内容、特に「手術給付金の支払い対象となる手術の表現」に違いがあるためです。
医療保険の手術給付金には2つのタイプがある
1.「約款所定の〇〇種(88種、89種、最近では91種など)の手術」と記載されているタイプ
このタイプは、約款に記載されている特定の手術のみが給付対象となります。粉瘤の手術がこのリストに含まれていない場合、給付金は支払われません。ただし、対象となる手術は約600種と多いため、多くの手術はカバーされます。
2.「公的医療保険の対象となる約1,000種の手術」という表現になっているタイプ
私が加入していたのはこちらのタイプで、公的医療保険が適用される手術であれば、原則として給付金の対象となります。粉瘤の手術は公的医療保険の対象なので、給付を受けることができました。
入院の有無も給付の分かれ目
また、保険会社によっては入院を伴う手術のみが給付の対象となる場合があります。粉瘤の手術は日帰りで行われることが多いため、入院をしないと給付金が受け取れない保険に加入していると、給付対象外となってしまいます。私の場合は、入院を伴わなくても手術給付金が受け取れるタイプだったため、給付を受けることができました。
対象外となる術式に注意
さらに、公的医療保険の対象となる手術であっても、以下のような術式は民間の医療保険の手術給付金の対象外となることがあります。粉瘤の手術がこれらの術式(特に「皮膚切開術」など)に該当する場合、給付金が支払われない可能性があるので、正確な術式名を事前に保険会社に確認することが重要です。
・創傷処理(切り傷等の傷口を縫い合わせた場合など)
・皮膚切開術(皮膚等にできた膿瘍を切開して体外に出した場合など)
・デブリードマン(損傷組織や傷口の異物を除去した場合など)
・骨、軟骨または関節の非観血的または徒手的な整復術、整復固定術および授動術
・外耳道異物除去術
過去に粉瘤で手術経験があっても生命保険には加入できる?
過去に粉瘤で手術を経験していても、完治していれば、通常の生命保険(医療保険)に加入できる可能性が高いです。粉瘤はほとんどが良性のため、手術により完治していれば、保険加入の審査に影響することは少ないでしょう。
ただし、審査基準は保険会社ごとに異なるため、手術の時期や現在の健康状態によっては、特定の部位が一定期間保障の対象外となる「部位不担保」などの条件が付く場合や、加入できない可能性もゼロではありません。粉瘤はごく稀に悪性腫瘍に変化することもあるため、治療前の段階では加入が難しい場合もあります。
がん保険についても、粉瘤ががん化するケースは非常に稀なため、粉瘤の既往歴があっても基本的には完治していれば加入を検討できます。
まとめ:粉瘤の手術と医療保険は事前の確認が肝心!
粉瘤の手術は公的医療保険の対象となり、比較的少額で受けられます。しかし、民間の医療保険から手術給付金を受け取れるかは、加入している保険の種類や契約内容によって大きく異なります。
・ご自身の医療保険が「約款所定の〇〇種の手術」と「公的医療保険の対象となる約1,000種の手術」のどちらのタイプか確認しましょう。
・日帰り手術でも給付金が受け取れるかを確認しましょう。
・手術を受ける際は、正確な術式名を医療機関に確認し、保険会社に問い合わせて給付対象となるかを確認しましょう。
せっかく加入している医療保険を有効活用するためにも、手術を受ける前にご自身の保険内容をしっかりと把握し、不明な点は保険会社や保険の専門家に相談することをおすすめします。
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