生命保険
生命保険の見直し時期はいつ?FPが教える最適なタイミングと手順

生命保険は、万が一の事態に備えるための大切なツールですが、一度加入したらそのまま何十年も放置している方が少なくありません。しかし、私たちの人生は常に変化し、それに伴って必要な保障も変わっていきます。保険を見直さないままにしておくと、保険料を無駄に払い続けたり、必要な保障が足りなくなったりするリスクがあります。
この記事では、生命保険の見直しを検討すべき最適なタイミングについて解説します。ライフステージの変化や収入の変化、法改正など、見直しのきっかけとなる具体的なポイントをご紹介。さらに、見直しの際に役立つチェックリストや、保険会社の担当者への相談方法まで、あなたの保険を最適な状態に保つためのヒントを提案します。
生命保険を見直すべき最適なタイミング

生命保険の必要保障額は、人生の段階によって変動します。以下のいずれかに当てはまる場合は、保険を見直す絶好のタイミングです。
ライフステージの変化
・結婚: 独身時代の保障額では、夫婦二人の生活費や住宅ローンをカバーできない場合があります。配偶者という守るべき家族が増えるため、保障額を増やすことを検討しましょう。
・出産: 子どもが生まれると、将来の教育費や養育費といった、大きな保障が必要になります。死亡保障額を増やすことや、収入保障保険への加入を検討しましょう。
・子どもの独立: 子どもが独立し、教育費の負担がなくなれば、高額な死亡保障は不要になる可能性が高いです。保障額を減額し、保険料の負担を軽くすることを検討しましょう。
・定年退職: 収入が年金に代わり、貯蓄や退職金で生活費をまかなう時期です。高額な死亡保障は不要になり、医療保険や介護保険など、生存時のリスクへの備えにシフトすることを検討しましょう。
収入や支出の変化
・収入の増加:収入が増え、家計に余裕ができた場合は、保障を充実させたり、保険期間を終身に切り替えたりすることを検討しましょう。
・収入の減少:育児休業や転職などで収入が減った場合は、保険料の支払いが家計の負担にならないよう、保障額を減らしたり、払済保険にしたりすることを検討しましょう。
法改正や社会情勢の変化
・公的保障の変化:遺族年金制度や医療保険の高額療養費制度など、公的保障制度が変わった場合は、それに合わせて民間保険の保障内容を見直す必要があります。
【補足】: 2025年6月には年金制度改正法が成立し、遺族厚生年金が原則5年間の有期給付に変更されるなど、今後公的年金制度も変更される予定です。
遺族年金の変更については、以下の記事を参考にしてください。
2028年施行予定の遺族年金改正:年収500万円の夫が亡くなった場合、妻の年金はどう変わる?
【補足】: 高額療養費制度は、2025年8月からの改正が予定されていましたが、実施が見送られました。ただし、将来的な医療費負担が増える可能性は残ります。
・社会情勢の変化:「2025年問題」のように、団塊の世代が75歳以上となることで社会保険料負担が増加する可能性も指摘されており、保険の必要性を見直す良い機会です。
見直しを検討する際の具体的なチェックリスト

生命保険を見直す際は、以下のチェックリストを活用し、現在の契約内容と、将来必要な保障を照らし合わせてみましょう。
1.加入時の保障額は今の家庭状況に合っているか?
子どもの人数や年齢、住宅ローンの残高はどうか?
2.保険期間は適切か?
・必要な保障はいつまでか?
・定期保険の満期が迫っていないか?
3.保険料は家計の負担になっていないか?
・毎月の保険料が家計を圧迫していないか?
・収入に対して保険料の割合は適切か?
4.不要な特約が付いていないか?
「あれば安心だから」と加入した特約が、今も本当に必要か?
5.貯蓄性のある保険の場合、返戻率はどうなっているか?
・途中解約した場合、元本割れしていないか?
・満期保険金の活用方法は?
6.医療保険やがん保険は、最新の治療法に対応しているか?
・先進医療特約が付加されているか? 先進医療特約は、随時見直されているため、最新情報を確認しましょう。
・通院での治療にも対応しているか?
7.契約者、被保険者、受取人は現状に合っているか?
家族構成が変わった場合、受取人指定を見直す必要があるか?
保険会社の担当者への相談方法と注意点

生命保険の見直しは、専門知識が必要なため、保険会社の担当者やファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのが一般的です。
相談前の準備
・現在の契約内容を把握する:保険証券を手元に用意し、現在の保障内容、保険期間、保険料、特約などを把握しておきましょう。
・見直しの目的を明確にする:「保険料を安くしたい」「保障額を増やしたい」「老後の備えにシフトしたい」など、相談の目的を明確にしておきましょう。
・家計の状況を整理する:ご自身の収入や支出、貯蓄額などを整理しておくと、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。
相談時の注意点
・複数の選択肢を提示してもらう:一つの保険会社に相談した場合でも、その保険会社が提供する複数の商品を比較してもらいましょう。
・強引な勧誘には注意:見直しは、納得した上で決めることが大切です。強引な勧誘があった場合は、きっぱりと断りましょう。
・セカンドオピニオンを活用する:相談した内容に不安や疑問が残る場合は、他の保険代理店やFPに相談し、複数の意見を聞くことも重要です。
まとめ:生命保険の見直しは「定期的な健康診断」
生命保険は、一度加入したら終わりではなく、ライフステージの変化に合わせて見直すことが重要です。
・結婚、出産、子どもの独立、定年退職など、人生の節目は最適な見直し時期です。
・チェックリストを活用して、現在の保険がご自身の状況に合っているか確認しましょう。
【補足】: 2025年度税制改正では、23歳未満の扶養親族がいる世帯を対象に、生命保険料控除が拡充されます。これにより、子育て世帯の保険料負担が軽減される可能性があるため、今後も制度改正の動向に注目しましょう。
・保険会社の担当者やFPに相談し、客観的な視点からアドバイスをもらいましょう。
この記事を参考に、生命保険を「定期的な健康診断」のように見直し、常に最適な保障を維持し、安心して日々の生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。