生命保険
生命保険の「自動振替貸付」とは?保険料の支払いを滞納した場合

生命保険は、万が一の事態に備えるための大切な備えです。しかし、保険料の支払いをうっかり忘れてしまったり、一時的に家計が苦しくなって支払いが滞ったりすることもあるかもしれません。そんな時に役立つのが、「自動振替貸付(じどうふりかえかしつけ)」という仕組みです。
この記事では、生命保険の自動振替貸付の仕組みと滞納防止効果を解説します。貸付の金利と返済方法、そして放っておくと保険が失効するリスクまで。保険料の支払いが困難になった際の賢い対処法を提案します。
自動振替貸付の仕組みと滞納防止効果

自動振替貸付とは、保険料の引き落としができなかった場合に、払込猶予期間を過ぎた後に、保険会社が契約者の解約返戻金から、不足分の保険料を自動で立て替えてくれる制度です。これは、貯蓄性のある生命保険に付帯している制度であり、保険料の滞納を防ぎ、契約を失効させないための重要な仕組みです。
自動振替貸付の仕組み
1.保険料引き落としが不能:口座の残高不足などで、保険料の引き落としができなかった場合。
2.払込猶予期間:保険会社は、保険料の引き落としができなかった場合でも、すぐに契約を失効させるわけではなく、通常は一定の「払込猶予期間」を設けています。
3.自動で立て替え:払込猶予期間を過ぎても保険料が支払われなかった場合に、自動振替貸付が適用されます。保険会社が、契約の解約返戻金の範囲内で、不足分の保険料を自動で立て替えます。
4.貸付の発生:この立て替えたお金は「保険会社からの借り入れ」という扱いになります。
滞納を防ぐメリット
・保障の失効を防ぐ:自動振替貸付により保険料が支払われるため、保険契約が失効することなく、保障が継続されます。
・契約維持をサポート:一時的に家計が苦しくなった場合でも、自動振替貸付のおかげで、保険契約を維持できます。
・適用条件:ただし、すべての貯蓄性のある保険に必ず付帯しているわけではなく、保険種類によっては利用できない場合があるため、契約時に確認が必要です。
貸付の金利と返済方法

自動振替貸付は、保険会社からの借り入れであるため、金利がかかります。
貸付の金利と返済方法
金利:借り入れた金額には、保険会社が定める金利がかかります。金利は保険会社によって異なり、年2%〜6%程度が一般的です。
返済方法:
・借り入れた金額は、いつでも好きな時に、好きな金額を返済することができます。
・返済しないままだと、借り入れた金額と利息が、保険金や解約返戻金から差し引かれます。
自動振替貸付の注意点
1.借り入れであることの認識:自動振替貸付は、借り入れです。金利がかかることを忘れずに、できるだけ早めに返済するように心がけましょう。
2.解約返戻金が減る:借り入れた金額と利息は、解約返戻金から差し引かれます。そのため、解約返戻金の金額が減り、万が一の際に受け取れる保険金も減額される可能性があります。
3.保険契約が失効するリスク:自動振替貸付が利用できるのは、解約返戻金の範囲内です。もし、解約返戻金の金額を超える保険料の滞納が続くと、自動振替貸付が停止し、保険契約が失効してしまうリスクがあります。
放っておくと保険が失効するリスク

自動振替貸付は便利な制度ですが、「借り入れ」と「滞納」を放置すると、最終的に保険契約が失効してしまうリスクがあります。
保険が失効する流れ
1.保険料の滞納:保険料の引き落としができない状態が続きます。
2.払込猶予期間:払込猶予期間に入ります。
3.自動振替貸付:払込猶予期間を過ぎても保険料が支払われない場合に適用されます。
4.自動振替貸付の限界:解約返戻金の範囲を超える保険料の滞納が続きます。
5.契約の失効:最終的に、保険契約が失効してしまい、保障がなくなります。
契約失効を避けるための対策
・保険料の支払いを優先:保険料の支払いが困難になった場合は、まず保険料を支払うことを最優先しましょう。
・保険料の減額:保険料の支払いが家計の負担になっている場合は、保障額を減額することで保険料を安くできる可能性があります。
・払済保険・延長保険への変更:保険料の支払いを続けるのが困難な場合は、保険料の支払いを止める「払済保険」や「延長保険」への変更を検討しましょう。
まとめ:自動振替貸付は「緊急避難」の手段
自動振替貸付は、保険料の滞納を防ぎ、保障を維持するための便利な制度です。しかし、これはあくまで「緊急避難」の手段であり、借り入れであることと金利がかかることを忘れてはいけません。
・自動振替貸付の仕組みと、金利がかかることを理解しましょう。
・貸付を放置すると、最終的に保険契約が失効するリスクがあるため、注意が必要です。
・保険料の支払いが困難になった場合は、保険料の減額や、払済保険・延長保険への変更を検討しましょう。
この記事を参考に、自動振替貸付を賢く活用し、あなたの保険契約を維持していきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。