生命保険
生命保険の「特約」選びの落とし穴:本当に必要な特約、不要な特約

「『あれば安心』って言われて特約を付けたけど、保険料が高くて家計を圧迫している…」
生命保険を契約する際、主契約の保障を補うために、さまざまな「特約」を付加することができます。特約は、万が一の事態に備える上で非常に役立ちますが、安易に「あれば安心だから」と付加しすぎると、保険料が不必要に高くなり、家計を圧迫してしまう原因となります。
この記事では、生命保険の特約選びに潜む落とし穴を解説します。特約の種類と主契約との関係性、特約付加による保険料への影響を具体的に掘り下げます。そして、「あれば安心」という漠然とした考え方から、「本当に必要か」という視点への転換を促すためのヒントを提案します。
特約の種類と主契約との関係性

特約とは、主契約の保障内容を充実させるために、主契約に付加するオプションのことです。主契約は単独で契約できますが、特約は主契約に付加する形でしか契約できません。
特約の主な種類
・医療保障の特約:入院給付金、手術給付金、通院給付金など、病気やケガによる医療費に備える特約です。
・三大疾病(特定疾病)の特約:がん、急性心筋梗塞、脳卒中といった三大疾病に特化した保障で、診断給付金や治療給付金などが支払われます。
・介護の特約:老後の介護費用に備える特約で、公的介護保険で要介護と認定された場合に給付金が支払われます。
・先進医療の特約:公的医療保険の対象外である先進医療にかかる高額な治療費を補償する特約です。
・その他:リビングニーズ特約(余命宣告された場合に生前に保険金を受け取る)、保険料払込免除特約(特定の病気や障害になった場合に以降の保険料が免除される)など、様々な種類があります。
主契約との関係性
特約は、主契約に付加する形で契約されるため、主契約が終了すると、原則として特約も同時に終了します。
注意点:
・定期保険(主契約)に付加した特約は、定期保険の満期を迎えると終了します。
・医療保障の特約は、医療保険を主契約として単独で契約することも可能です(医療保険に加入するということです)。
特約付加による保険料への影響

特約をたくさん付加すると、その分保障は手厚くなりますが、保険料も高くなります。
「更新型」の特約に注意
仕組み:
・特約には、主契約と同様に、一定期間ごとに保険料が上がる「更新型」があります。
・更新時に保険料が再計算されるため、年齢が上がると保険料も上がります。
保険料への影響:契約当初は保険料が安くても、更新を重ねるごとに保険料が上昇し、老後の家計を圧迫する原因となります。
特約付加による保険料シミュレーション
例:
・30歳の男性が、定期保険(死亡保障1,000万円)に加入した場合の保険料が月2,000円だとします。
・これに、入院日額5,000円の医療保障特約、先進医療特約、三大疾病特約を付加した場合、特約部分の保険料だけで月4,000円かかることもあります。
・結果的に、合計の保険料は月6,000円となり、主契約の保険料の3倍に膨らんでしまうこともあります。
「あれば安心」から「本当に必要か」への視点転換

保険貧乏にならないためには、「あれば安心だから」という漠然とした理由で特約を付加するのではなく、「本当に必要か」という視点で厳選することが重要です。
「本当に必要か」を見極めるためのチェックポイント
1.公的保障制度との重複はないか?:日本には、高額療養費制度や遺族年金など、手厚い公的保障制度があります。特約の保障内容が、公的保障と重複していないか確認しましょう。
2.他の保険でカバーできないか?:医療保障が必要なら、生命保険の特約として付加するのではなく、単独の医療保険を検討する選択肢もあります。
3.貯蓄で対応できないか?:入院給付金や手術給付金など、少額な保障であれば、ご自身の貯蓄で賄えないか検討しましょう。
4.必要となる期間はいつまでか?:子どもが独立するまでなど、特定の期間だけ保障が必要であれば、その期間だけ特約を付加し、その後は外すといった柔軟な考え方も重要です。
必要な特約の選び方
・先進医療特約:公的医療保険の対象外で、数百万円かかる可能性のある先進医療費に備えるため、保険料が安価な先進医療特約は、付加を検討すべき特約の一つです。
・保険料払込免除特約:特定の病気や障害になった場合に、以降の保険料の支払いが免除される特約です。
・リビングニーズ特約:余命宣告された場合に、生前に保険金の一部を受け取れる特約です。
まとめ:生命保険の特約は「厳選」して賢く活用
生命保険の特約は、万が一の備えを充実させる上で非常に役立ちます。しかし、「あれば安心」という理由で安易に付加しすぎると、保険料が高くなり、家計を圧迫する原因となります。
・特約の種類と主契約との関係性を理解しましょう。
・保険料への影響を考慮し、「本当に必要か」という視点で厳選しましょう。
・公的保障や貯蓄で賄える部分は、保険で備える必要がないかもしれません。
この記事を参考に、あなたに最適な特約を選び、無駄な保険料を支払わないための賢い保険戦略を立てましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。