「生命保険って、途中で解約しなくてもお金を借りられるって本当？」

「急にお金が必要になったけど、貯蓄型保険の解約返戻金は使えないのかな…」

生命保険は、万が一の事態に備えるだけでなく、貯蓄性のある商品であれば、緊急時の資金調達手段としても活用できます。それが、「契約者貸付」という制度です。この制度をうまく利用すれば、保険を解約せずに資金を借り入れられるため、保障を維持したまま、お金の悩みを解決できる可能性があります。

この記事では、生命保険の契約者貸付の仕組み（解約返戻金の範囲内で借り入れ）を解説します。貸付の金利と返済方法、メリット・デメリットを詳しく掘り下げ、返済しないと保険が失効するリスクまで。契約者貸付を賢く活用するためのヒントを提案します。

 

契約者貸付の仕組みと借り入れの条件

契約者貸付とは、貯蓄性のある生命保険（終身保険、養老保険など）の解約返戻金の一部を担保として、保険会社からお金を借りることができる制度です。

 

契約者貸付の仕組み

 

・解約返戻金が担保:

借り入れの際の担保となるのは、解約返戻金です。解約返戻金がゼロの、掛け捨て型の保険では利用できません。

・審査が不要:

担保となる解約返戻金があるため、銀行のローン審査のような厳しい審査はありません。スピーディーに借り入れが可能です。

・保険契約は継続:

契約者貸付は、保険を解約するわけではありません。保障はそのまま継続されます。

 

借り入れの条件

 

・借り入れ上限額:

借り入れできる金額は、解約返戻金の一定割合（一般的に70%〜90%）が上限となります。

・返済義務:

借り入れたお金は、返済義務があります。返済しないままだと、最終的に保険契約が失効してしまうリスクがあります。

 

金利と返済方法、メリット・デメリット

契約者貸付は、緊急時の資金調達手段として非常に便利ですが、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。

 

メリット：スピーディーな資金調達

 

1.手続きが簡単:銀行のローン審査に比べて手続きが簡単で、スピーディーにお金を借りることができます。

2.金利が低い傾向:借り入れた金額には金利がかかりますが、一般のカードローンなどに比べて、年2%〜6%程度と低く設定されていることが多いです。

3.使途が自由:借り入れたお金の使い道に制限はありません。急な医療費や、生活費、子どもの教育費など、さまざまな用途に活用できます。

4.保障を維持できる:契約を解約しなくても済むため、万が一の事態への保障を継続できます。

 

デメリット：保険契約が失効するリスク

 

1.借り入れであること:借り入れたお金には金利がかかります。返済しないまま放置すると、金利が膨らみ、返済額が大きくなります。

2.保障額が実質的に減る:借り入れた金額と利息は、将来受け取る保険金や解約返戻金から差し引かれます。万が一のことがあった場合、受け取れる保険金が減額される可能性があります。

3.保険契約が失効するリスク:借り入れた金額と利息の合計が、解約返戻金の金額を超えてしまうと、保険契約が失効してしまうリスクがあります。

 

注意点：返済しないと保険が失効する可能性など

契約者貸付を利用する際は、以下の注意点をしっかり理解しておきましょう。

 

返済しないと保険契約が失効するリスク

 

・保険契約が失効する流れ:借り入れた金額と利息の合計が、解約返戻金の金額を超えてしまうと、保険会社は保険料を立て替えることができなくなり、保険契約が失効してしまいます。

・契約失効のリスク:保険が失効すると、万が一の際の保障がなくなります。保険料を払い続けた年数もリセットされてしまい、再び加入しようとすると、年齢が上がった分保険料も高くなります。

 

返済計画を立てる

 

・借り入れ前に計画:契約者貸付は借り入れであるため、返済計画を立てることが重要です。いつ、いくら、どのように返済するかを事前に決めておきましょう。

・早期返済を心がける:金利がかかることを忘れずに、できるだけ早めに返済するように心がけましょう。

 

まとめ：契約者貸付は「緊急避難」の手段

 

生命保険の契約者貸付は、緊急時の資金調達手段として非常に便利ですが、あくまで「緊急避難」の手段であり、安易に利用するべきではありません。

 

・契約者貸付の仕組みと、金利がかかることを理解しましょう。

・貸付を放置すると、最終的に保険契約が失効するリスクがあるため、注意が必要です。

・借り入れ前に返済計画を立て、できるだけ早期に返済するように心がけましょう。

 

この記事を参考に、契約者貸付を賢く活用し、あなたの保険契約を維持していきましょう。

 

本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。