医療保険
海外在住者の医療保険:国際的な保障ニーズと選び方

海外での生活は、新しい発見や経験に満ちていますが、万が一の病気やケガに備える医療保険の準備は、国内で暮らす以上に重要になります。なぜなら、海外の医療費は日本の医療費よりも高額になることが多く、日本の健康保険が使えないケースもあるからです。
この記事では、海外に住む方が知っておくべき医療保険の知識を解説します。海外での医療費リスクと海外旅行保険の活用から、居住国と日本の保険制度の違い、そして海外赴任者向け保険の検討まで。国際的な保障ニーズに合わせた賢い保険の選び方を提案します。
海外での医療費リスクと海外旅行保険の活用

海外の医療費は、国や地域、医療機関によって大きく異なりますが、日本の公的医療保険が適用されないため、高額になるリスクがあります。
海外での医療費リスク
高額な治療費:
例えば、米国では盲腸の手術で数百万円かかるなど、医療費が高額になることがあります。
言葉の壁:
医療機関での診察や手続きが、言葉の壁によってスムーズに進まない可能性があります。
医療水準の違い:
国や地域によっては、日本の医療水準に満たない場合があります。
海外旅行保険の活用
短期の海外渡航:
・海外旅行保険は、海外での病気やケガの治療費に備える保険です。
・渡航期間や目的に合わせて、補償内容や補償額を選べます。
注意点:
・海外旅行保険は、海外に長期間住むことを目的とした保険ではありません。
・補償期間が限定されているため、海外に住む場合は、別途医療保険を検討する必要があります。
居住国と日本の保険制度の違い

海外に住む場合、日本の公的医療保険制度をどう扱うか、という点が重要になります。
海外転出届を提出した場合
公的医療保険の資格喪失:
・1年以上海外で生活する場合に海外転出届を提出するのが基本です。
・海外転出届を提出すると、日本の公的医療保険(健康保険、国民健康保険)の資格を失います。
・そのため、海外での医療費は全額自己負担となります。
海外での保険加入:
・居住国で、現地の医療保険や、民間医療保険に加入する必要があります。
・居住国の医療保険制度は、日本とは大きく異なるため、事前に確認が必要です。
海外転出届を提出しない場合
公的医療保険の継続:
・海外転出届を提出しない場合、日本の公的医療保険を継続できることがあります。
・しかし、海外での医療費は、一旦全額自己負担し、帰国後に日本の健康保険組合に申請することで、一部払い戻されるという仕組みです。
【補足】海外療養費の支給額:
海外療養費は、一般的に日本国内で同様の治療を受けた場合を基準に計算されるため、実際に支払った額より大幅に少なくなることがあるという点に注意が必要です。
海外赴任者向け保険の検討

海外赴任の場合、勤務先が用意する「海外赴任者向け保険」を検討しましょう。
海外赴任者向け保険のメリット
充実した保障内容:
赴任国での医療費だけでなく、緊急時の移送費や、家族の安否確認費用など、充実した保障内容が確保できます。
言語サポート:
現地の医療機関とのやり取りをサポートしてくれるサービスが付帯している場合があります。
海外赴任者向け保険の注意点
保険料:
海外赴任者向け保険は、保障内容が充実している分、保険料も高くなります。
保障期間:
赴任期間に合わせて保障期間が設定されます。
まとめ:海外在住者の医療保険は「公的」と「民間」で賢く備える
海外に住む場合、日本の公的医療保険制度が使えないケースもあるため、医療保険の準備は欠かせません。
・短期の渡航: 海外旅行保険を検討しましょう。
・長期の滞在: 居住国で、現地の医療保険や、民間医療保険に加入しましょう。
・日本の公的医療保険の仕組みを理解し、民間医療保険で補うという考え方で備えましょう。
この記事を参考に、あなたに最適な医療保険を選び、安心して海外生活を送りましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。