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株式投資とは?仕組み・利益の種類・リスク・始め方の基本を初心者向けにわかりやすく解説

株式投資とは、企業が発行する株式を購入し、値上がり益(キャピタルゲイン)や配当金(インカムゲイン)を得ることを目的とした投資方法です。日本取引所グループによると、東京証券取引所にはプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分があり、2025年末時点で合計約3,780社が上場しています。株式の売却益や配当金には通常20.315%の税金がかかりますが、NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠を活用すれば、年間240万円までの株式投資から得られる利益が非課税になります。一方で、株式投資には元本保証がなく、企業業績の悪化や市場環境の変化によって損失を被る可能性もあるため、仕組みとリスクを正しく理解したうえで始めることが重要です。この記事では、株式投資の基本的な仕組みから利益の種類、リスク、始め方までを解説します。
株式投資の基本的な仕組み

株式投資を始めるにあたっては、そもそも「株式」とは何か、どのような場所で売買されるのかを理解しておく必要があります。ここでは株式と証券取引所の基本構造を確認しましょう。
株式とは何か
株式とは、企業(株式会社)が事業に必要な資金を調達するために発行する有価証券のことです。株式を購入した人は「株主」となり、その企業の所有者の一人として、経営に参加する権利(議決権)や利益の分配を受ける権利(配当請求権)などを得られます。
企業にとっては、銀行借入と異なり返済義務のない資金を調達できる手段であり、投資家にとっては企業の成長に応じた利益を期待できる投資対象となっています。
証券取引所と3つの市場区分
株式の売買は、証券取引所を通じて行われます。日本で最も規模の大きい東京証券取引所(東証)は、2022年4月に市場区分を再編し、現在は以下の3つの市場で構成されています。
・プライム市場:グローバルな投資家との対話を重視する大企業向け(2025年末時点で約1,599社)
・スタンダード市場:安定した収益基盤と基本的なガバナンスを備えた中堅企業向け(同約1,569社)
・グロース市場:高い成長可能性を有する新興企業向け(同約614社)
投資家が直接取引所に注文を出すことはできず、証券会社を通じて売買注文を行う仕組みです。
株式の売買単位と注文方法
東証に上場している株式は、原則として100株単位(1単元)で売買されます。たとえば1株2,000円の銘柄であれば、最低投資金額は20万円(2,000円×100株)となる計算です。
注文方法には主に2種類あります。「指値注文」は希望する価格を指定して注文する方法で、「成行注文」は価格を指定せずに市場で成立する価格で売買する方法です。指値注文は希望価格で取引できる反面、約定しない可能性がある点に注意が必要でしょう。
なお、近年は一部の証券会社で1株単位(単元未満株)の取引サービスも提供されており、数百円から株式投資を始めることも可能になっています。
株式投資で得られる3つの利益

株式投資で期待できる利益は、売却益(キャピタルゲイン)、配当金(インカムゲイン)、株主優待の3種類に大別されます。それぞれの特徴と仕組みを確認しましょう。
値上がり益(キャピタルゲイン)
キャピタルゲインとは、株式を購入した価格よりも高い価格で売却した際に得られる差額の利益です。たとえば1株2,000円で購入した株式を3,000円で売却した場合、1株あたり1,000円のキャピタルゲインが発生します。
ただし、株価は企業業績や経済環境、市場心理などさまざまな要因で変動するため、購入価格を下回る「キャピタルロス(売却損)」が生じるリスクもあります。株式投資には元本保証がないため、投資した金額を下回る可能性がある点を常に意識しておくことが重要です。
配当金(インカムゲイン)
配当金とは、企業が事業活動で得た利益の一部を株主に還元する金銭のことです。一般的に年1〜2回支払われ、保有する株数に応じて受け取れる金額が決まります。
配当金の水準は企業によって異なり、「配当利回り」(1株あたりの年間配当金÷株価×100)で比較されることが多いでしょう。ただし、企業の業績が悪化した場合は配当が減額(減配)されたり、無配になったりする可能性もあるため、配当利回りだけで投資判断を行うことは適切ではありません。
株主優待
株主優待とは、企業が一定数以上の株式を保有する株主に対して、自社製品や割引券、カタログギフトなどを贈る制度です。日本独自の仕組みとして普及していますが、すべての上場企業が実施しているわけではなく、制度の廃止や内容の変更も随時行われています。
株主優待はあくまで企業の任意による制度であり、投資判断の主たる基準にするのは適切ではないでしょう。
株式投資にかかる税金とNISAの活用

株式投資の利益には税金がかかりますが、NISA制度を活用することで非課税にできる仕組みがあります。ここでは課税の基本とNISAのポイントを確認しましょう。
売却益・配当金にかかる税率
株式の売却益(譲渡所得)と配当金には、所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%の税金が課されます。たとえば10万円の売却益が出た場合、約2万円が税金として差し引かれる計算です。
証券会社で「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していれば、税金は自動的に計算・納付されるため、原則として確定申告は不要となります。
NISAの成長投資枠で株式投資が非課税に
NISAの成長投資枠を利用すると、上場株式の売却益と配当金が非課税になります。国税庁によると、成長投資枠の年間投資上限額は240万円で、非課税保有限度額は1,200万円(つみたて投資枠との合算で1,800万円)です。
成長投資枠の対象となるのは、整理・監理銘柄を除く上場株式やETF、REITなどに限られています。非課税保有期間は無期限であるため、長期保有を前提とした株式投資にも活用できる制度設計です。
ただし、NISA口座で生じた損失は、課税口座の利益との損益通算ができません。また、NISA口座で保有する株式の配当金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」を選択する必要がある点にも注意が必要です。
出典:金融庁「NISAを知る」
株式投資の主なリスク

株式投資にはさまざまなリスクが伴います。投資信託やETFと比べて個別銘柄に集中する分、リスクの性質を正確に理解しておくことが欠かせません。
価格変動リスク
株価は、企業の業績、経済指標、金利動向、為替変動、地政学リスクなど多くの要因で日々変動します。短期間で大幅に下落するケースもあり、購入時の価格を回復しないまま推移する銘柄も少なくないのが実情です。
Day 57の記事で解説したとおり、投資における「リスク」とはリターンの振れ幅を意味しており、個別株式は投資信託やETFと比べてリスク(価格の振れ幅)が大きくなる傾向にある点を理解しておきましょう。
信用リスク(倒産リスク)
投資先の企業が経営破綻した場合、株式の価値がゼロになる可能性があります。投資信託であれば複数の銘柄に分散されているため1社の倒産による影響は限定的ですが、個別株式の場合は投資した金額の全額を失うリスクがある点が重要な違いです。
流動性リスク
取引量が少ない銘柄では、売りたいときに買い手が見つからず、希望する価格で売却できない場合があります。特にグロース市場の小型株は流動性が低い傾向があり、急な資金需要が発生した際に換金できないリスクを考慮しておく必要があるでしょう。
集中投資リスク
特定の銘柄や業種に資金を集中させると、その銘柄固有の問題(不祥事、業績悪化、規制変更など)によって資産全体が深刻な影響を受けます。Day 58で解説した分散投資の原則は、個別株式投資においても欠かせない考え方です。
株式投資と投資信託・ETFの違い

Day 61・62で解説した投資信託やETFと個別株式には、それぞれ異なる特徴があります。どちらが優れているということではなく、投資目的やリスク許容度に応じて使い分けることが大切です。
個別株式のメリットとデメリット
個別株式の最大のメリットは、企業の成長を直接享受できる点です。業績が大幅に伸びた企業の株価は、インデックス(市場全体の指数)を上回るリターンをもたらすことがあります。また、配当金や株主優待を直接受け取れる点も投資信託にはない特徴といえるでしょう。
一方、デメリットとしては以下の点が挙げられます。
・1銘柄に集中するため分散効果が働きにくい
・企業分析や銘柄選定に時間と知識が求められる
・100株単位の売買が基本のため、まとまった資金が必要になりやすい
・倒産した場合に投資額の全額を失うリスクがある
投資信託・ETFとの使い分け
投資信託やETFは少額から幅広い銘柄に分散投資ができるため、投資経験が浅い段階や、まとまった投資資金を用意しにくい状況では、まず投資信託やETFから始めるのが合理的です。個別株式は、投資の基本的な知識を身につけ、余裕資金で取り組むのが望ましいでしょう。
NISAでは、つみたて投資枠で投資信託の積立投資を行いながら、成長投資枠で個別株式に投資するという併用も可能です。資産形成の土台を投資信託で築きつつ、余裕のある範囲で個別株式に取り組むという段階的なアプローチが現実的な選択肢といえます。
株式投資を始める前に確認すべきこと

株式投資を始める際には、口座開設の手順だけでなく、家計全体の状態を整えておくことが前提条件となります。
生活防衛資金の確保が最優先
Day 60で解説したとおり、投資を始める前には生活費の6か月〜1年分の生活防衛資金を預貯金で確保しておくことが不可欠です。株式は価格変動が大きく、売却のタイミングによっては損失が発生するため、生活に必要な資金を投資に回すことは避けるべきでしょう。
公的保障の把握で「投資に回せる金額」が見えてくる
高額療養費制度(自己負担限度額は年収約370万〜770万円の場合で月80,100円+α)や傷病手当金(給与の約3分の2が最長18か月支給)といった公的保障の内容を把握しておくと、過度な民間保険に加入する必要がなくなり、浮いた保険料を投資の原資に充てることが可能になります。
この「公的保障の把握→不要な保険の見直し→投資原資の確保」という流れは、家計全体の最適化において基本的な考え方です。
高金利の借入がある場合は返済を優先する
カードローンやリボ払いなど年利15%前後の借入がある場合、株式投資で得られる期待リターンを上回る利息を支払い続けている状態です。高金利の借入がある状態で株式投資を始めても、家計全体でみるとマイナスになる可能性が高いため、まず借入の返済を優先すべきでしょう。
株式投資で注意すべきポイント

株式投資には、初心者が見落としがちな注意点がいくつかあります。投資経験を積むなかで意識しておきたいポイントを整理しましょう。
信用取引のリスクを正しく理解する
証券会社から資金や株式を借りて行う「信用取引」は、手持ち資金以上の金額で取引できるため、利益を大きくする可能性がある一方、損失も拡大します。信用取引では投資額を超える損失が発生する可能性があり、証拠金維持率が一定水準を下回ると「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の証拠金を求められることがあります。
資産形成を目的とした長期投資においては、信用取引を利用する必然性は低く、現物取引(実際に保有する株式の範囲内での売買)で行うのが基本です。
SNSや掲示板の情報を鵜呑みにしない
近年はSNSやインターネット掲示板で株式に関する情報が大量に発信されていますが、その中には根拠のない推奨や、意図的に株価を操作しようとする情報も含まれています。日本取引所グループも、証券会社やマーケットメイカーを装った詐欺サイトやSNSへの注意を呼びかけています。
投資判断を行う際は、企業が公式に開示している決算情報やIR資料、金融庁や証券取引所の公式情報など、信頼性の高い一次情報を基本とすることが重要です。
「必ず儲かる」という話には要注意
Day 57で解説したとおり、ローリスク・ハイリターンの金融商品は存在しません。「絶対に値上がりする銘柄」「必ず利益が出る手法」といった勧誘は、投資詐欺の典型的な手口です。金融庁のウェブサイトでは、無登録業者からの勧誘に対する注意喚起が継続的に行われています。
まとめ:株式投資は仕組みとリスクの理解から
株式投資は、企業の成長を直接享受できる可能性がある一方、元本保証のない金融商品であり、個別銘柄に集中する分、投資信託やETFと比べてリスクが高い傾向にあります。
投資を始める際に押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
・株式の売却益・配当金には通常20.315%の税金がかかるが、NISAの成長投資枠を活用すれば非課税になる
・個別株式は分散効果が働きにくいため、投資信託やETFとの併用が現実的
・生活防衛資金の確保、公的保障の把握、高金利借入の返済が投資の前提条件
・信用取引は投資額を超える損失リスクがあるため、資産形成目的には現物取引が基本
・SNSの情報や「必ず儲かる」という勧誘は鵜呑みにせず、公式の一次情報を基に判断する
株式投資は、家計全体のバランスを見ながら、余裕資金の範囲で取り組むことが原則となります。まずは投資信託やETFで資産形成の土台を築いたうえで、知識と経験を積みながら個別株式に段階的に取り組んでいくのが堅実なアプローチといえるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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