資産運用
投資信託とは?仕組み・種類・手数料・選び方を初心者向けにわかりやすく解説

投資信託とは、多くの投資家から集めた資金をひとつにまとめ、運用の専門家が株式や債券などに分散投資する金融商品です。投資信託協会の統計によると、2025年11月末時点で公募投資信託の純資産総額は約297兆円(5,760本)に達し、21年連続で純資金流入が続いています。少額から始められる点や専門家に運用を任せられる点が特徴ですが、元本保証のない金融商品であること、信託報酬などのコストが運用成果に直接影響することを理解したうえで活用することが重要です。この記事では、投資信託の基本的な仕組みから種類、コスト構造、選び方のポイントまで解説します。
投資信託の基本的な仕組み

投資信託は、販売会社・運用会社・信託銀行の3つの専門機関がそれぞれの役割を果たすことで成り立っています。ここでは制度の基本構造を確認しましょう。
3つの機関による分業体制
投資信託には、投資家の窓口となる「販売会社」、運用方針を決めて指図を出す「運用会社(委託者)」、資産を保管・管理する「信託銀行(受託者)」という3つの機関が関わっています。
販売会社は証券会社や銀行などの金融機関で、投資家ごとの口座管理や投資信託の販売・換金、分配金の支払いなどを担当する窓口です。運用会社は経済・金融情勢に関するデータを分析し、信託財産をどの資産にどう投資するかを考えて信託銀行に運用を指図する役割を担っており、投資信託協会は「運用会社は投資信託において最も重要な役割を果たしている」と説明しています。
信託銀行は投資家から集められた資産を保管・管理し、運用会社の指図に基づいて証券市場で売買を実行する機関です。投資家の資産は信託銀行自身の資産とは区別して管理すること(分別管理)が法律で義務づけられているため、販売会社・運用会社・信託銀行のいずれかが破綻した場合でも、投資家の資産は保全される仕組みになっています。
基準価額とは
投資信託を購入・換金する際の値段は「基準価額」と呼ばれます。基準価額は、投資信託に組み入れられている株式や債券などの時価評価額の合計(純資産総額)を、発行済みの口数で割って算出されるものです。
一般的に基準価額は1日に1回、運用会社のホームページなどで公表されます。株式のようにリアルタイムで価格が変動するわけではなく、購入や換金の申込時点では適用される基準価額が確定していない点に注意が必要でしょう。国内資産に投資する投資信託は申込日当日の基準価額が適用されることが一般的ですが、海外資産に投資するものは翌営業日以降の基準価額が適用されるケースが多くなっています。
投資信託の主な種類

投資信託は運用方法や投資対象によって分類でき、それぞれ期待されるリターンとリスクの水準が異なります。
インデックス型とアクティブ型
インデックス型は、日経平均株価やTOPIX、S&P500といった特定の指数(インデックス)に連動する運用成果を目指す投資信託です。指数と同じ構成で機械的に運用するため、運用コスト(信託報酬)が低く抑えられる傾向にあります。
アクティブ型は、ファンドマネージャーが独自の調査・分析に基づいて銘柄を選定し、指数を上回る運用成果を目指す投資信託です。運用に手間がかかる分、インデックス型よりも信託報酬が高い傾向がありますが、指数を上回る成果が保証されているわけではありません。
金融庁がNISAのつみたて投資枠の対象として届出を受理した投資信託は、2025年2月時点で指定インデックス投資信託249本、アクティブ運用投資信託等53本であり、コストの低いインデックス型が多数を占めている状況です。
投資対象による分類
投資信託は、投資対象となる資産の種類によっても分けられます。主な分類は以下の通りです。
・株式型:国内外の株式を主な投資対象とするもの。値動きが比較的大きく、長期的に高いリターンが期待される反面、短期的な価格下落リスクも伴います。
・債券型:国債や社債など債券を主な投資対象とするもの。株式型と比べて値動きが穏やかですが、期待リターンも相対的に低くなります。
・バランス型:株式・債券・REIT(不動産投資信託)など複数の資産に分散投資するもの。1本で分散効果が得られるため、資産配分の判断に迷う場合の選択肢になります。
・REIT型:オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産に投資するもの。不動産の賃料収入を原資とした分配金が特徴です。
さらに、投資する地域によって「国内型」「海外型(先進国・新興国)」「全世界型」などに分類されることもあります。
投資信託にかかるコスト

投資信託の運用成果はコストの影響を直接受けるため、手数料の構造を正確に把握しておくことが欠かせません。
購入時手数料(販売手数料)
投資信託を購入する際に販売会社に支払う手数料で、同じ商品でも販売会社によって手数料率が異なる場合があります。近年はこの手数料が無料の「ノーロード」と呼ばれる商品が増えており、NISAのつみたて投資枠では購入時手数料が無料であることが対象商品の要件となっています。
信託報酬(運用管理費用)
投資信託を保有している間、日々差し引かれる運用管理費用が信託報酬です。販売会社・運用会社・信託銀行の3者で配分されます。
信託報酬は保有期間中ずっと発生するため、長期投資では運用成果への影響が大きくなります。たとえば、信託報酬が年率0.1%の商品と年率1.0%の商品を比較した場合、元本100万円を年率4%のリターンで20年間運用すると仮定すると、信託報酬0.1%なら約210万円、信託報酬1.0%なら約180万円と、約30万円の差が生じる計算です。コストの差は複利効果によって年数が経つほど拡大していく点に留意が必要でしょう。
信託財産留保額
投資信託を換金(解約)する際に差し引かれるコストで、解約に伴う株式や債券の売却コストを残存する投資家に転嫁しないための仕組みです。すべての投資信託に設定されているわけではなく、設定されている場合でも0.1〜0.3%程度が一般的となっています。
投資信託の分配金の仕組み

分配金は投資信託の運用益などから投資家に支払われるお金ですが、その仕組みを正しく理解しておかないと、資産形成の効率を下げてしまうことがあります。
分配金の種類と税金
分配金には「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があります。普通分配金は運用によって得られた利益から支払われるもので、課税対象です。一方、元本払戻金は投資家が払い込んだ元本の一部を取り崩して支払われるもので、利益ではないため非課税ですが、その分だけ基準価額(元本)が減少します。
分配金が出たからといって必ずしも利益が出ているわけではない点を理解しておくことが大切です。
分配金の再投資と受取
多くの投資信託では、分配金を「再投資」するか「受取」にするかを選択できます。長期の資産形成を目的とする場合は、分配金を再投資に回すことで複利効果が働きやすくなります。逆に、すでに資産を取り崩す段階にある場合は、受取を選ぶことで生活資金として活用できるでしょう。
なお、NISAのつみたて投資枠の対象商品は、頻繁に分配金が支払われないことが要件のひとつとなっており、長期的な資産形成に適した設計になっています。
投資信託の選び方のポイント

公募投資信託は5,760本以上(2025年11月末時点)が存在するため、やみくもに選ぶと適切な商品にたどり着くのは困難です。ここでは選定時に確認すべきポイントを整理します。
投資目的と運用期間を明確にする
まず、何のために投資するのか(老後資金、教育資金、住宅購入資金など)と、いつまでに必要な資金かを明確にしましょう。運用期間が10年以上と長い場合は株式型の比率を高めに設定できますが、5年以内に使う可能性がある資金であれば、値動きの穏やかな債券型やバランス型を中心に検討するのが合理的です。
信託報酬を比較する
同じ指数に連動するインデックス型であれば、運用成果に差が出にくいため、信託報酬の低さが商品選択の重要な判断基準になります。たとえば、全世界株式指数に連動するインデックスファンドでも、運用会社によって信託報酬は年率0.05%台から0.5%超まで幅があります。
純資産総額が極端に小さい投資信託は、運用効率が悪化したり、繰上償還(ファンドの運用が途中で打ち切られること)のリスクがあったりするため、ある程度の規模がある商品を選ぶことも判断材料のひとつになるでしょう。
目論見書と運用報告書を確認する
投資信託を購入する際には、「投資信託説明書(交付目論見書)」が交付されます。目論見書にはファンドの投資方針、リスク、手数料体系、過去の運用実績が記載されており、購入前に必ず確認すべき資料です。
すでに保有している場合は、定期的に交付される「運用報告書」で実際の運用状況や費用の内訳を確認することも重要になります。
NISAでの投資信託の活用

投資信託はNISA制度を通じて非課税で運用できるため、制度の仕組みと合わせて理解しておきましょう。
つみたて投資枠の対象商品
NISAのつみたて投資枠(年間120万円)で購入できる投資信託は、金融庁が定める要件を満たした商品に限定されています。主な要件は以下の通りです。
・販売手数料がゼロ(ノーロード)であること
・信託報酬が一定水準以下であること
・信託期間が無期限または20年以上であること
・毎月分配型でないこと
・デリバティブ取引による運用を行っていないこと(ヘッジ目的を除く)
これらの要件は、長期・積立・分散投資に適した低コスト商品に絞り込むための基準であり、投資信託選びに迷った場合のひとつの指針にもなります。
令和8年度税制改正による対象商品の拡充
金融庁の令和8年度税制改正資料によると、つみたて投資枠の対象となる投資信託の要件が一部見直される見込みです。具体的には、指定指数に連動しない投資信託について、従来は「主に株式に投資するもの」に限られていた要件が「主に株式又は公社債に投資するもの」に拡大される方向で、金融庁はリスク許容度が高くない若年層や高齢層が投資の第一歩を踏み出しやすくなるよう、債券中心やバランス型の選択肢を充実させる狙いがあると説明しています。
投資信託を購入する前に確認すべきこと

投資信託は少額から分散投資ができる便利な商品ですが、購入前にいくつかの点を確認しておく必要があります。
生活防衛資金を確保しているか
投資信託は元本保証がないため、生活に必要な資金まで投資に回してしまうと、相場の下落時に生活が立ち行かなくなるおそれがあります。一般的には生活費の3〜6か月分程度を預貯金で確保したうえで、余裕資金の範囲内で投資を始めることが基本的な考え方です。
また、高額療養費制度や傷病手当金といった公的保障の内容を把握しておけば、不測の事態に備えるための資金額をより正確に見積もることができ、結果として投資に回せる金額の判断にも役立ちます。
コストの構造を理解しているか
前述の通り、信託報酬の差は長期運用で拡大します。金融機関の窓口で勧められた商品をそのまま購入するのではなく、同じ投資対象であればコストの低い商品がないか自分で比較検討する姿勢が資産形成の効率を高めるでしょう。
「おすすめ」として紹介される商品が必ずしも投資家にとって最適とは限りません。販売会社の収益源は販売手数料や信託報酬の一部であるため、コストの高い商品が優先的に案内されるケースも過去には指摘されてきました。金融庁が推進する「顧客本位の業務運営」の浸透によって状況は改善しつつありますが、最終的には自分自身で判断する意識を持つことが大切です。
値動きへの耐性があるか
投資信託の価格は日々変動するため、評価額が一時的にマイナスになることは珍しいことではないでしょう。リーマンショック級の金融危機が起きた場合、株式型の投資信託が一時的に40〜50%下落することもあり得ます。そうした局面で慌てて売却してしまうと、回復局面の恩恵を受けられなくなるリスクがあります。
自分のリスク許容度(どの程度の値下がりまで耐えられるか)を事前に把握し、無理のない金額と資産配分で運用を始めることが、長期的な資産形成を続けるうえで欠かせない前提となるでしょう。
まとめ
投資信託は、少額から専門家の運用を活用して分散投資ができる金融商品であり、投資信託協会の統計では公募投信の純資産総額が約297兆円に達するなど、資産形成の中心的な手段として定着しつつあります。しかし、元本保証がないこと、信託報酬などのコストが長期運用で無視できない差を生むこと、分配金が必ずしも利益を意味しないことなど、正しく理解しておくべきポイントも多い点に注意が必要です。
投資信託を選ぶ際には、投資目的と運用期間を明確にしたうえで、同じ投資対象であればコストの低い商品を比較検討することが資産形成の効率向上につながります。まずは生活防衛資金を確保し、公的保障の内容を把握したうえで、余裕資金の範囲内でNISA制度を活用した積立投資から始めるのが、リスクを抑えながら長期的な資産形成に取り組むための現実的な方法といえるでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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