投資リスクなどへの対策
巧妙化するフィッシング詐欺から身を守る!メール・SMSの見分け方と対策

近年、巧妙化するフィッシング詐欺は、私たちのデジタルライフを脅かす深刻な問題となっています。大手企業や公的機関を装ったメールやSMSで個人情報を盗み取ろうとする手口は後を絶ちません。しかし、適切な知識と対策があれば、被害を未然に防ぐことが可能です。
この記事では、フィッシング詐欺を見分ける具体的な方法、メールとSMSそれぞれの対策、そして実際の事例を通して、あなたの情報資産を守るための実践的な知識を提供します。
フィッシング詐欺とは?その手口を理解する

フィッシング詐欺とは、実在する企業やサービス、公的機関などを装い、偽のウェブサイトへ誘導したり、悪意のある添付ファイルを開かせたりすることで、クレジットカード情報、銀行口座情報、ID・パスワードなどの個人情報を不正に入手しようとする詐欺行為です。
主な手口としては、以下のようなものがあります。
・偽のメール・SMSの送信: 「アカウント情報が漏洩しています」「お支払い情報に問題があります」といった緊急性を煽る内容や、「当選しました」「未払い料金があります」といった偽の情報を送りつけ、ユーザーを焦らせて誘導します。
・偽のウェブサイトへの誘導: 本物そっくりの偽サイトを作成し、そこでID・パスワードやクレジットカード情報などを入力させようとします。URLをよく見ないと、本物と区別がつかないほど精巧なものもあります。
・悪意のある添付ファイル: ウイルスやマルウェアが仕込まれたファイルを添付し、ユーザーに開かせようとします。
怪しいメールを見分ける3つのポイント

フィッシングメールを見破るには、いくつかの共通する特徴があります。以下の3つのポイントに注目してみましょう。
送信元アドレスの不審な点
・見慣れないドメイン: 大手企業や銀行のメールアドレスは、一般的にその企業の公式ドメインを使用しています。(例:@amazon.co.jp, @rakuten.co.jp)。これが全く関係のないドメイン(例:@gmail.com, @yahoo.comなど)や、似ているが微妙に異なるドメイン(例:@amaon.co.jpなど)の場合、詐欺の可能性が高いです。
・フリーメールアドレスの利用: 特に金融機関や公的機関がフリーメールアドレスを使って重要な連絡をしてくることはまずありません。
不自然な日本語表現や誤字脱字
フィッシングメールは、海外で作成されていることが多いため、翻訳ツールを使ったような不自然な日本語表現や、明らかな誤字脱字、句読点の使い方の間違いなどが見受けられることがあります。
・例:「お客様、お宅の口座がロックされています、至急ご確認ください。」
・例:「クリックして、あなたの情報を更新してください。」
URLの確認(リンク先に注意!)
メール内のリンクは、クリックする前に必ずカーソルを合わせて表示されるURLを確認してください。
・公式ドメインと異なるURL: 見た目は公式ウェブサイトのように見えても、表示されるURLが公式のドメインと異なる場合は、偽サイトである可能性が高いです。
・不審な文字列: 不自然な文字列や、意味不明な英数字の羅列が含まれている場合も注意が必要です。
・短縮URLの利用: 短縮URL(bit.ly, tinyurl.comなど)は、本来のURLが隠されているため、安易にクリックしないようにしましょう。
怪しいSMSを見分けるポイント
SMS(ショートメッセージサービス)を利用したフィッシング詐欺も増加しています。以下のような点に注意しましょう。
・身に覚えのない請求や通知: 「未払い料金があります」「荷物のお届けに問題が発生しています」など、心当たりのない内容のSMSには注意が必要です。
・URLの誘導: メールと同様に、本文中のURLが公式のものと異なる場合は詐欺の可能性が高いです。SMSは表示できる情報量が少ないため、短縮URLが使われることも多く、より注意が必要です。
・公的機関を装う詐欺: 国税庁や社会保険庁、携帯キャリアなどを装い、「還付金があります」「重要なお知らせ」といったSMSで偽サイトに誘導する手口もあります。
万が一フィッシング詐欺に遭遇したら?具体的な対処法

もしフィッシング詐欺の疑いがあるメールやSMSを受け取ってしまっても、慌てる必要はありません。以下の手順で冷静に対処しましょう。
1.絶対にクリックしない・返信しない: 不審なリンクは絶対にクリックせず、返信も行わないでください。クリックしてしまうと、ウイルス感染や個人情報入力画面への誘導のリスクがあります。
2.すぐに削除する: 迷わずメールやSMSを削除しましょう。
3.公式情報を確認する: もし不安な場合は、その企業やサービスの公式ウェブサイトを自分で検索し、お知らせやQ&Aなどを確認しましょう。絶対に、メールやSMSに記載された電話番号やURLを使用しないでください。
4.個人情報を入力してしまった場合:
・クレジットカード情報: カード会社に連絡し、カード利用停止の手続きを行いましょう。
・銀行口座情報: 利用している銀行に連絡し、口座の状況を確認し、必要に応じて利用停止の手続きを行いましょう。
・ID・パスワード: 関連するサービスのパスワードをすぐに変更しましょう。同じパスワードを複数のサービスで使い回している場合は、他のサービスも変更することを強く推奨します。
被害を防ぐための予防策

フィッシング詐欺の被害に遭わないためには、日頃からの予防策が非常に重要です。
・セキュリティソフトの導入と更新: 常に最新の状態に保ち、ウイルスやマルウェアからPCやスマートフォンを保護しましょう。
・OSやソフトウェアの最新化: OSやウェブブラウザ、その他のソフトウェアは常に最新の状態にアップデートし、脆弱性を解消しましょう。
・二段階認証(多要素認証)の設定: ログイン時にパスワードだけでなく、スマートフォンに送られるコードや生体認証などを組み合わせる二段階認証を設定することで、仮にパスワードが漏洩しても不正ログインのリスクを大幅に減らせます。
・安易に個人情報を入力しない: 不審なメールやサイトで個人情報の入力を求められても、安易に入力しないようにしましょう。
・ウェブサイトのURLをブックマークする: よく利用するウェブサイトは、ブックマークからアクセスするように習慣づけましょう。検索結果やメールからのアクセスは、偽サイトに誘導されるリスクがあります。
・不審なメールやSMSは公的機関に情報提供する:不審なメールやSMSを受け取った場合は、情報処理推進機構(IPA)やフィッシング対策協議会に情報提供を行うことで、今後の被害防止に貢献できます。
事例で学ぶ!こんなフィッシング詐欺に注意

実際に発生したフィッシング詐欺の事例を知ることで、より具体的な対策に繋がります。
事例1:宅配業者を装うSMS詐欺
「お客様への荷物が不在のため持ち帰りました。再配達の手続きはこちらから。」といったSMSが届き、記載されたURLをクリックすると、本物そっくりの偽サイトに誘導され、個人情報やクレジットカード情報を入力させられるケース。
事例2:大手通販サイトを装うメール詐欺
「アカウントのセキュリティ強化のため、情報の更新をお願いします。」といった件名のメールが届き、公式にそっくりな偽のログインページに誘導され、IDとパスワードを盗み取られるケース。
事例3:公的機関を装うSMS・メール詐欺
「新型コロナウイルスに関する給付金のお知らせ」「税金の還付金があります」などと公的機関を装い、URLをクリックさせ、個人情報や銀行口座情報を入力させようとするケース。
まとめ
フィッシング詐欺は日々巧妙化していますが、この記事でご紹介した見分け方や対策を実践することで、そのリスクを大幅に減らすことができます。
・送信元、日本語表現、URLを常に確認する
・不審なメールやSMSはクリックせず削除する
・セキュリティ対策を怠らない
・二段階認証を設定する
・困った時は公式情報や公的機関を頼る
これらの知識と意識を持つことが、あなたのデジタル資産を守る上で最も重要な一歩となります。常に最新の情報をチェックし、安全なインターネット利用を心がけましょう。