学資保険
学資保険の途中解約は損?解約返戻金の仕組みと損失を減らす方法

「学資保険をこのまま続けるべきか、途中で解約したら損をするのでは…?」――そんな不安を抱える方へ。この記事では、解約返戻金の仕組み、損失を抑える考え方、払済保険への変更まで、独立系FPの視点で実務的に整理します。
学資保険の途中解約は損?解約返戻金とタイミングの考え方

学資保険は「貯蓄性」と「保障」を併せ持つため、途中解約の時点では返戻率が元本割れとなるケースが一般的です。だからこそ、やみくもに解約せず、返戻率が上がる節目や代替手段を見極めることが重要です。
解約返戻金の計算方法

途中解約時の解約返戻金は、これまでの払込保険料総額から付加保険料(運営経費)や保障コストなどを控除して算出されます。返戻率は以下の式で確認できます。
返戻率(%)= 受取総額 ÷ 払込総額 × 100
一般に、契約初期(1~5年)は返戻率が低く、中期(6~10年)で徐々に上昇、満期直前で100%前後(または超)になる構造です。正確な金額は、契約先から「解約返戻金試算表」を取り寄せて確認しましょう。
損失を減らす方法

どのタイミングで手を打つかが重要です
途中解約の損失はゼロにできませんが、以下の工夫で最小化できます。
・節目を待つ:10年目や「払込満了直後」は返戻率が跳ねることが多い。そこまで継続してから判断。
・特約の見直し:医療等の特約が返戻金を圧迫している場合、特約のみ外して本体は継続。
・保険金額の減額:契約により保険金額の減額(=保険料軽減)が選べることも。
払済保険への変更
保険料を止めつつ、最低限の受取を残す中間策
払済保険は、これまでの払込実績をもとに以後の保険料をゼロにし、減額された満期金(または保障)を残す制度です。
メリット:キャッシュフローの改善(以後の負担ゼロ)/最低限の受取や保障を温存。
デメリット:受取額は当初より大幅減。将来の教育資金計画を必ず再設計しましょう。
教育資金シミュレーション例(一般的な水準にもとづく)

「解約」「払済」「満期継続」を数字で比較
前提:月額16,000円・払込15年・払込総額288万円。満期時の一般的な返戻率は約103〜105%と仮定します(契約により異なる)。
・5年で解約(返戻率80%想定)
払込:96万円 → 解約返戻金:約76.8万円(損失:約19.2万円)
・10年で払済へ変更(返戻率95%想定)
払込:192万円 → 満期受取:約182.4万円(損失:約9.6万円、以後の負担なし)
・満期まで継続(15年・返戻率104%想定)
払込:288万円 → 満期受取:約300万円(利益:約12万円)
※上記はあくまで「一般的な水準」を用いたモデル。正確な金額は各社の試算表で要確認。教育費のピーク(高校・大学)に対して、現金・積立投信・学資保険などの資金源の配分を並行して検討してください。
FPの実務アドバイス(判断プロセス)

1.まずは現契約の試算表を入手:「いま解約」「◯年後解約」「払済変更」「満期継続」の各返戻金を取得。
2.教育費キャッシュフロー表を更新:進学時期と必要額、他の積立や奨学金方針を反映。
3.損益分岐点の年次を特定:返戻率が大きく上がる節目前後で意思決定。
4.資金繰り優先度:家計が厳しい場合は「払済」を第一候補に。余裕が戻る見込みが薄いなら、解約+積立先の再設計も検討。
まとめ
途中解約は多くの場合で元本割れですが、節目を待つ・特約を外す・払済を活用するなど、損失を抑える選択肢があります。感覚ではなく試算表とキャッシュフローで判断しましょう。
参考文献(一次情報のみ)
・生命保険文化センター「教育費に関する情報」
・総務省統計局「家計調査」
・金融庁「保険を契約している方へ」
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。