自動車保険
台風・洪水で車が被害|車両保険は使える?補償されるケースと注意点

台風や洪水による車の被害は増加傾向にあり、浸水や飛来物で走行不能になる事例も少なくありません。この記事では、車両保険が使えるケース・注意点、被害後の正しい対処手順、そして行政機関の最新データを解説します。
台風・洪水で車が被害|車両保険が使えるケース

台風・洪水による損害は多くの契約で車両保険の対象です。契約条件により支払可否が異なるため、基本を押さえておきましょう。
・一般型・限定型:車両保険の「一般型」と「限定型(エコノミー型)」はいずれも風水害(台風・洪水・高潮など)を補償対象とします。
・補償の範囲:駐車場の冠水によるエンジン・電装の損傷、強風の飛来物・倒木での車体破損、土砂流入等による損害など。
・全損と時価:修理費が時価評価額を上回ると全損扱い。保険金は時価評価額(約款上の限度額)までとなります。
補償されないケースと注意点

風水害でも全てが補償されるわけではありません。次の点に留意しましょう。
・地震・津波:地震・噴火・津波による損害は一般の車両保険では不担保。
・自己負担:設定した免責金額が高いと、軽微な損傷は自己負担になり得ます。
・重大な過失等:故意や飲酒運転等の免責事由は不担保。
・全損時のギャップ:全損時は時価評価額が上限のため、新車価格やローン残債との差額が生じる可能性があります。
事故後の正しい対処法

自然災害時は二次被害を避け、証拠保全と連絡を迅速に行うことが重要です。
・ステップ1:現場の安全確保
冠水路や倒木付近は危険です。無理な走行・再始動は避け、安全な場所へ退避します。
・ステップ2:被害の記録と自治体の証明手続き準備
車両の全景・損傷部位・水位痕・ナンバー、発生日時・場所が分かる写真/動画を確保。自然災害のみの車両被害は交通事故ではないため、通常は「交通事故証明書」は不要です。住家は罹災証明書、自動車など住家以外の動産は自治体の被災証明書(名称は自治体により異なる)の対象となるため、居住地の市区町村の案内に従い申請準備をします。
・ステップ3:保険会社へ連絡
契約番号・被害状況・証拠写真を保険会社に共有し、レッカー手配・修理見積・代車等の段取りを進めます。
※他車との接触・当て逃げ・盗難・器物損壊など交通事故・犯罪絡みが疑われる場合は警察への届出も必要です。
最新の台風・洪水被害データ

保険加入や契約見直しの判断材料として、直近の公的データを押さえましょう。
・水害被害額の推移:令和元年(2019年)の津波を除く水害被害額(確報値)は全国約2兆1,800億円で統計開始以来最大。うち台風19号の単一災害は約1兆8,800億円。
・短時間強雨の増加:気象庁の整理では、統計期間の最初の10年間(1976~1985年)と最近の10年間(2012~2021年)の比較で、1時間降水量50mm以上の平均年間発生回数は約1.4倍に増加。
まとめ|台風・洪水による被害は車両保険で備える
台風・洪水による車の被害は多くのケースで車両保険の対象です。ただし地震・津波は不担保、免責金額や時価評価額による自己負担が生じる場合があります。被害時は安全確保→証拠保全・自治体証明の準備→保険会社連絡の順で対応し、早期の回復を図りましょう。
出典
気象庁(大雨の発生頻度:2012–2021年 vs 1976–1985年)
気象庁 監視レポート(降水の長期変化 2.4)
国土交通省(令和元年水害被害額:確報)
国土交通省(令和4年水害被害額:確報)
内閣府(被災者支援制度の概要・証明制度)
千葉市(罹災証明書・被災証明書の交付:自動車の被災)
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。