iDeCo
個人年金保険vs iDeCo!老後資金の税制優遇を徹底比較【2025年改正・新NISA優先度も解説】

さらに2025年のiDeCo制度改正(予定)では掛金上限額が大幅に引き上げられ、加入可能年齢も拡大される見込みです。この改正により、iDeCoはこれまで以上に老後資金形成の強力な手段となります。本記事では、FPの視点から両者の税制優遇を比較し、改正後の新NISAとの優先度まで踏み込んで解説します。
個人年金保険とiDeCoの税制優遇の違い

税制優遇は大きく分けて、掛金拠出時の「掛金控除」、積立期間中の「運用益非課税」、受け取り時の「課税軽減」の三段階で評価できます。
iDeCoは掛金全額が所得控除となり、積立中の運用益も非課税。さらに受け取り時は、年金形式なら公的年金等控除、一時金形式なら退職所得控除を活用でき、多段階で節税が可能です。ただし、原則60歳まで引き出せない制約があります。
個人年金保険は掛金の一部が生命保険料控除(個人年金保険料控除)の対象になりますが、控除額には上限があり、節税効果はiDeCoに比べて小さめです。運用益は課税対象となり、受け取り時は雑所得扱いとなります。その分、途中解約や契約者貸付制度など、資金を動かしやすい柔軟性があります。
2025年改正予定のiDeCo掛金上限と加入年齢

2025年度税制改正案(確定拠出年金法等の改正が前提)では、以下の変更が予定されています。
・自営業者・フリーランス(第1号被保険者):月68,000円 → 月75,000円
・企業年金なしの会社員(第2号被保険者):月23,000円 → 月62,000円
・企業年金ありの会社員・公務員:企業年金と合算で最大月62,000円
・加入可能年齢:60歳未満 → 70歳未満
この改正によって、特に会社員層は掛金枠が大幅に広がり、節税額も大きくなる可能性があります。ただし、現時点では「予定」であり、法案は国会審議中であることを忘れてはいけません。
掛金控除と運用益非課税の比較

例えば年収500万円で月3万円の掛金をiDeCoに拠出すると、実効税率15%で年間5.4万円の節税効果があります。一方、個人年金保険は年間8万円以上の掛金でも控除額は所得税4万円、住民税2.8万円までが上限です。
また、iDeCoは運用益全額が非課税で再投資可能なため、長期積立では複利効果が大きくなります。個人年金保険は運用益に課税されるため、長期で見ると差は拡大します。
年金受け取り時の課税の違い

iDeCoは受け取り方によって税制優遇が異なります。年金形式であれば公的年金と合算し、公的年金等控除が適用されます。一時金形式では退職所得控除が使え、加入年数に応じた大きな非課税枠が得られます。
一方、個人年金保険は年金形式で受け取ると雑所得扱いとなり、公的年金等控除は適用されません。結果的に受け取り時の税負担はiDeCoより重くなる傾向があります。
個人年金保険の税金については、以下の記事を参考にしてください。
個人年金保険の税金を徹底解説|年金形式・一時金受け取りの違いと2025年最新ルール
年収別・掛金別の節税効果シミュレーション(2025年改正後想定)

・年収300万円で月2万円の掛金
iDeCo:約3.6万円/年、個人年金保険:約1.02万円/年
・年収500万円で月3万円の掛金
iDeCo:約5.4万円/年、個人年金保険:約1.02万円/年
・年収800万円で月3万円の掛金
iDeCo:約6.5万円/年、個人年金保険:約1.98万円/年
・年収1000万円・自営業で上限月75,000円の掛金
iDeCo:約16.2万円/年、個人年金保険:約2.24万円/年
掛金や税率が高いほどiDeCoの節税効果は大きく、個人年金保険は控除上限により頭打ちになります。
改正後のiDeCoと新NISAの優先度

iDeCoは節税効果の高さが最大の魅力ですが、資金拘束が長いという制約があります。一方、新NISAは非課税運用が可能で、いつでも売却・引き出しができ、老後資金以外の目的にも利用できます。
FPとしては、まずiDeCoの掛金枠を使い切り、その後に新NISA枠を活用する戦略が現実的です。これにより、節税メリットを最大化しつつ、柔軟に使える資産も確保できます。
総合的な活用戦略と注意点
・iDeCoは長期の資産形成に有効だが、生活防衛資金は別途確保すること。
・個人年金保険は保障機能や解約制度を活かして補完的に利用する。
・新NISAは教育資金や住宅資金など複数の目的に対応可能。
・制度改正はあくまで予定であり、正式決定後に条件を再確認する。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。