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住宅ローン控除(減税)とは?控除額の計算方法・適用要件・申請手続きをわかりやすく解説【2026年版】

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部は住民税)から最大13年間控除できる制度です。令和8年度税制改正大綱では、関連法案の成立を前提に適用期限が2030年末まで5年間延長され、中古住宅の控除期間が13年に拡充されるなど制度内容の見直しが予定されています。一方で新築の省エネ基準適合住宅は借入限度額が引き下げられるなど、住宅の性能選びがこれまで以上に控除額を左右する時代となりました。この記事では、2026年以降に適用が見込まれる住宅ローン控除の仕組みから計算方法、適用要件、申請手続きまで解説します。
住宅ローン控除の基本的な仕組み

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高に0.7%を掛けた金額を所得税から直接差し引く「税額控除」です。ここでは制度の基本構造を確認しましょう。
税額控除と所得控除の違いを押さえる
住宅ローン控除が他の多くの控除と根本的に異なるのは、「税額控除」である点にあります。医療費控除や生命保険料控除などの所得控除は課税所得を減らすことで間接的に税額を下げるのに対し、住宅ローン控除は計算された所得税額から直接差し引かれるため、同じ金額でも節税効果が格段に高い仕組みです。
たとえば、所得税率20%の人が30万円の所得控除を受けた場合、税額の軽減効果は30万円×20%=6万円にとどまります。一方、住宅ローン控除で30万円の税額控除を受ければ、所得税がそのまま30万円減少する仕組みです。
控除率と控除期間
控除率は一律0.7%で、2021年以前の1.0%から引き下げられた水準が継続されています。控除期間は住宅の種類と性能によって異なり、新築住宅は原則13年間、中古住宅も省エネ性能の高い住宅であれば2026年入居分から13年間に拡充される見込みです。省エネ基準に適合しない中古住宅(その他の住宅)は従来どおり10年間となっています。
2026年以降の新築住宅の借入限度額と最大控除額

令和8年度税制改正大綱に基づき、関連法案の成立を前提に、新築住宅の借入限度額は住宅の省エネ性能と世帯区分によって決まる見込みです。国土交通省の報道発表に基づく制度内容を確認しましょう。
住宅の種類別の借入限度額(一般世帯)
2026年(令和8年)以降に居住を開始する場合の新築住宅の借入限度額は、住宅の環境性能に応じて3段階に分かれています。
・認定住宅(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅):借入限度額4,500万円、控除期間13年、最大控除額約409万円
・ZEH水準省エネ住宅:借入限度額3,500万円、控除期間13年、最大控除額約318万円
・省エネ基準適合住宅:借入限度額2,000万円、控除期間13年、最大控除額約182万円
注目すべきは、省エネ基準適合住宅の借入限度額が2025年の3,000万円から2,000万円へ引き下げられた点です。2030年度以降はZEH水準の省エネ性能が新築住宅の標準となる方針を踏まえ、より高い性能への誘導が進められています。また、省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は引き続き対象外です。
子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ措置
「特例対象個人」に該当する子育て世帯・若者夫婦世帯は、借入限度額がさらに上乗せされます。具体的な上乗せ後の限度額は以下のとおりです。
・認定住宅:5,000万円(一般世帯比+500万円)
・ZEH水準省エネ住宅:4,500万円(同+1,000万円)
・省エネ基準適合住宅:3,000万円(同+1,000万円)
特例対象個人とは「年齢40歳未満で配偶者を有する者」「年齢40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者」「年齢19歳未満の扶養親族を有する者」のいずれかに該当する人です。判定は居住年の12月31日時点で行われます。ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅では上乗せ措置は適用されない点に注意が必要です。
中古住宅の借入限度額が大幅拡充

令和8年度税制改正大綱の最大の特徴は、中古住宅(既存住宅)への支援が大幅に拡充される点にあります。これまで新築住宅との間に控除条件の差がありましたが、省エネ性能の高い中古住宅については新築並みの水準に引き上げられる見込みです。
中古住宅の借入限度額と控除期間
2026年以降に中古住宅を取得して居住を開始する場合の借入限度額・控除期間は以下のとおりです。
・認定住宅等(認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅):借入限度額3,500万円、控除期間13年、最大控除額約318万円
・その他の住宅:借入限度額2,000万円、控除期間10年、最大控除額140万円
2025年以前の制度では、中古住宅の認定住宅等は借入限度額3,000万円・控除期間10年でした。税制改正大綱では限度額が500万円引き上げ、控除期間も3年延長される予定で、13年間の最大控除額は210万円から約318万円へと増加する見込みです。
中古住宅にも子育て世帯の上乗せ措置が新設
税制改正大綱で新たに盛り込まれたのが、中古住宅にも適用される子育て世帯・若者夫婦世帯向けの上乗せ措置です。認定住宅等に該当する中古住宅を子育て世帯が取得する場合、借入限度額が4,500万円まで引き上げられ、最大控除額は約409万円に達する見込みとなっています。
住宅価格の高騰を背景に中古住宅市場への注目が高まるなかで、この改正は中古住宅の取得を後押しする効果が期待されています。
中古住宅に求められる建物の要件
中古住宅の場合、新築住宅の要件に加えて耐震基準に関する要件を満たす必要があります。昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅であれば、新耐震基準を満たしているものとして扱われます。
1981年以前に建築された住宅の場合は、取得日前2年以内に耐震基準適合証明書を取得するなどの追加要件を満たさなければなりません。中古マンションの購入を検討する際は、建築年月日の確認が欠かせないでしょう。
住宅ローン控除の適用要件

住宅ローン控除は節税効果が大きい反面、適用要件が細かく定められています。要件を一つでも満たさないと控除を受けられないため、事前確認が欠かせません。
主な共通要件
主な適用要件は以下のとおりです。
・住宅の取得日から6か月以内に居住を開始し、適用を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
・住宅の床面積が原則40㎡以上であること(2026年からの緩和措置。登記事項証明書上の面積で判定)
・床面積の2分の1以上を自己の居住用としていること
・合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積40〜50㎡未満の場合は1,000万円以下)
・10年以上の返済期間がある住宅ローンであること
・親族や特別な関係のある者からの取得でないこと
・居住年とその前後一定期間に、居住用財産の譲渡所得の特例を受けていないこと
税制改正大綱では、床面積要件が50㎡以上から原則40㎡以上に緩和され、中古住宅にもこの緩和が適用される予定です。ただし、40〜50㎡未満の住宅は合計所得金額が1,000万円を超える年には控除が適用されないという制限があります。また、子育て世帯の上乗せ措置を利用する場合は50㎡以上が必要です。
見落としやすい注意点
要件のうち、実務上見落とされやすいポイントがいくつかあります。
まず、床面積の判定方法です。マンションの場合、不動産広告に記載される「壁芯面積」ではなく、登記事項証明書上の「内法面積」で判定されます。壁芯面積では要件を超えていても、内法面積では満たないケースがあるため注意が必要です。
次に、繰上返済による返済期間の短縮にも注意が必要でしょう。当初は10年以上の返済期間があっても、繰上返済によって最初の返済日から最終返済日までの期間が10年未満になると、その年以降は控除の適用を受けられなくなります。
また、勤務先からの借入金で金利が0.2%未満の場合は対象外となります。社内融資制度を利用する際には金利条件の確認を忘れないようにしましょう。
住宅ローン控除の計算方法と具体例

住宅ローン控除の計算は、年末時点のローン残高をもとに行います。ここでは計算の仕組みと具体例を確認しましょう。
控除額の計算式
住宅ローン控除の年間控除額は、次の計算式で求められます。
控除額 = 年末時点の住宅ローン残高(借入限度額が上限) × 0.7%(100円未満切り捨て)
住宅の取得対価が年末ローン残高より少ない場合は取得対価が基準になります。また、補助金の交付を受けている場合や、住宅取得等資金の贈与税非課税措置を適用している場合は、その金額を取得対価から差し引いて計算する必要があります。
具体的な計算例
以下の条件で、住宅ローン控除額を計算してみましょう。
・住宅の種類:新築のZEH水準省エネ住宅
・居住開始年:令和8年(2026年)
・借入金額:3,500万円(借入限度額以内)
・年末ローン残高:3,410万円(1年目)
・所得税額:20万円
1年目の控除額は3,410万円×0.7%=23万8,700円です。所得税額20万円から控除すると、所得税からの控除額は20万円で、控除しきれない3万8,700円は翌年の住民税から控除されます。
住民税からの控除には上限がある
所得税で控除しきれない金額は翌年度の住民税から控除されますが、住民税からの控除上限は年間9万7,500円(前年の課税所得×5%が上限、最大9万7,500円)と定められています。住宅ローン控除額が大きくても住民税からの控除には天井があるため、特に所得税の課税所得が低い場合は控除の恩恵を十分に受けきれない可能性があるでしょう。
初年度の確定申告と2年目以降の年末調整

住宅ローン控除の申請手続きは、初年度と2年目以降で異なります。給与所得者であっても初年度は確定申告が必須となるため、手続きの流れを把握しておくことが大切です。
初年度:確定申告が必要
住宅を取得して居住を開始した最初の年は、翌年の確定申告期間(原則として2月16日〜3月15日)に確定申告書を提出する必要があります。主な提出書類は以下のとおりです。
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・金融機関から交付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
・家屋の登記事項証明書(床面積の確認用)
・売買契約書または工事請負契約書の写し(取得対価の確認用)
・認定住宅等の場合は、住宅省エネルギー性能証明書や建設住宅性能評価書など該当する証明書
なお、登記事項証明書については、計算明細書に不動産番号を記載するか、写しを添付することで原本の提出を省略できるようになっています。
2年目以降:年末調整で手続き可能
給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けられます。税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関から届く「年末残高等証明書」を勤務先に提出するだけで手続きが完了します。
ただし、個人事業主や年収2,000万円を超えて年末調整の対象外となる人は、2年目以降も毎年確定申告で手続きが必要です。
住宅ローン控除を最大限に活用するためのポイント

制度を正しく理解したうえで、住宅ローン控除の効果を最大化するための実務的なポイントを確認しましょう。
ZEH水準以上の住宅を選ぶメリットが拡大
税制改正大綱では省エネ基準適合住宅の借入限度額が引き下げられる一方、ZEH水準以上は据え置きとなるため、性能の違いによる控除額の差がこれまで以上に広がる見通しです。
たとえば一般世帯の場合、ZEH水準省エネ住宅(借入限度額3,500万円)と省エネ基準適合住宅(同2,000万円)では、13年間の最大控除額に約136万円の差が生じます。建築コストの増加分を考慮しても、光熱費の削減効果や各種補助金制度と合わせれば、ZEH水準以上を選ぶ経済的メリットは大きいでしょう。
ふるさと納税やiDeCoとの併用
住宅ローン控除は税額控除のため、ふるさと納税やiDeCoなどの所得控除制度と併用する際には控除の順序に注意が必要です。
所得税の計算では、まず所得控除(ふるさと納税の寄附金控除やiDeCoの小規模企業共済等掛金控除など)で課税所得が決まり、算出された所得税額に対して住宅ローン控除(税額控除)が差し引かれます。所得控除によって所得税額が小さくなると、住宅ローン控除で控除しきれない金額が増える可能性があります。
ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用すれば、ふるさと納税分の控除は住民税のみに適用されるため、所得税額への影響を避けられるケースもあるでしょう。
住宅ローンの借換えをした場合
住宅ローンの借換えを行っても、借換え後のローンが当初ローンの返済目的であり、返済期間が10年以上であれば、住宅ローン控除を継続して受けられます(国税庁No.1233)。ただし、借換えによって控除の適用期間が延長されることはなく、当初の居住開始年から数えた控除期間が適用されます。
2028年以降はさらに要件が厳格化

2026年度税制改正では、2028年以降に入居する場合にさらなる制限が追加されています。今後の住宅取得計画に影響するため、確認しておきましょう。
省エネ基準適合住宅の新築が原則対象外に
令和10年(2028年)以降に建築確認を受ける新築住宅では、省エネ基準適合住宅は住宅ローン控除の対象外となり、ZEH水準以上の省エネ性能が必須となる見通しです。2027年末までに建築確認を受けた住宅や登記簿上の建築日付が2028年6月30日以前のものは経過措置の対象となりますが、これから住宅を新築する場合はZEH水準以上での計画が求められます。
災害レッドゾーンでの新築が対象外に
2028年以降に入居する場合、土砂災害特別警戒区域や地すべり防止区域などの「災害レッドゾーン」での新築住宅(建替えを除く)は住宅ローン控除の対象外となります。ただし、既存住宅の取得やリフォームは引き続き対象です。安全な立地での住宅取得を税制面からも促す方針が明確になったといえるでしょう。
住宅ローン控除だけで住宅購入を判断しない

住宅ローン控除は強力な税制優遇ですが、控除額だけを理由に住宅購入の判断をすることは避けるべきです。
住宅の取得には、物件価格に加えて登記費用、不動産取得税、固定資産税、火災保険料、修繕積立金など多くのコストが発生します。金利上昇局面では、控除による節税額以上に金利負担が増える可能性も考慮しなければなりません。総返済額、維持費用、将来のライフプラン、緊急時の資金余力なども含めた総合的な資金計画のなかで、控除の効果を適切に位置づけることが重要でしょう。
まとめ
住宅ローン控除は、年末ローン残高の0.7%を所得税から直接差し引く税額控除であり、住宅取得時の節税効果が高い制度です。令和8年度税制改正大綱では、関連法案の成立を前提に適用期限が2030年末まで延長されるとともに、中古住宅の控除期間が13年に拡充され、子育て世帯への上乗せ措置も新設される見込みとなっています。
一方で、新築の省エネ基準適合住宅は借入限度額が引き下げられ、2028年以降はZEH水準以上が必須となる方向です。これからの住宅取得では、省エネ性能の選択が控除額に直結するため、制度の細部まで理解して資金計画を立てることが大切でしょう。なお、本記事の内容は2025年12月26日に閣議決定された税制改正大綱に基づいており、今後の国会審議で内容が変更される可能性があります。最新情報は国土交通省や国税庁の公式サイトでご確認ください。
出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
出典:国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
出典:国土交通省「住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!」
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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