ファイナンシャルプランナー
FPに相談する前に必読!今すぐ知っておきたい注意点と回避術

将来のお金の不安を解消し、よりよい生活設計を考えるうえではFPの活用が有用といえますが、一方で思わぬ落とし穴があることも否めません。
本記事では、FPに相談するときに押さえておきたい注意点や失敗しないためのポイントを徹底解説し、相談の準備から見直しまでを総合的にカバーしていきます。
ファイナンシャルプランナー相談の基本

ここでは、まずFPに相談する際に押さえておきたい基礎的な知識や前提となる部分を整理します。
FPの役割や可能な相談内容、そしてFPが対応しきれない分野について把握しておくと、相談の際に無駄や誤解を防ぐことにつながります。
ファイナンシャルプランナーの役割
ファイナンシャルプランナーは、お金に関する専門的な知識を活かして、個人や法人のライフプランや資産形成などをサポートする職業です。
保険の提案や住宅ローンの選び方、資産運用、相続対策といった幅広い分野にわたり、相談者の目的や状況に合わせてアドバイスを提供してくれます。
具体的には、以下のような対応が期待できます。
・現状の収支や資産状況の分析
・生活設計やライフイベントに合わせた資金計画の提案
・年金や保険、投資商品などの情報提供
・節税方法のアドバイス
ただし、FPといっても資格の種類や実務経験、得意分野は人それぞれです。
CFPやAFPなど資格を取得している方も多いですが、それらの資格を持たない独立系FPや保険会社所属のFPがいる点にも注意が必要でしょう。
資格や肩書だけを鵜呑みにするのではなく、信頼性やコミュニケーション力を総合的に判断することが大切といえます。
相談内容の種類
FPに依頼できる相談内容は多岐にわたります。大まかには下記のような分野でのサポートが考えられます。
・保険の見直し
生命保険、医療保険、自動車保険などの加入状況を確認し、必要な補償内容を見極めながら最適なプランを提案してもらうことが可能です。
・住宅ローンやマイホーム購入のアドバイス
住宅ローンの組み方や返済計画、物件購入時の注意点などを相談できます。固定金利・変動金利の選択や借り換えなどの具体的なメリット・デメリットを整理してもらうことにより、長期的なリスクを軽減しやすくなります。
・資産運用・投資
株式や投資信託、債券や不動産投資など、さまざまな資産運用方法がありますが、自己流で始めるとリスクが大きなものになるかもしれません。FPを通じてリスクとリターンのバランスを考慮した運用プランを組み立てると、目標に合わせた計画を立てやすくなるでしょう。
・家計管理やライフプランの設計
結婚や出産、子どもの教育費、老後資金など、ライフステージに合わせて大きな費用が必要になる局面があります。これらのタイミングに向けての資金繰りや家計の見直し、貯蓄計画などのアドバイスが得られます。
・相続や事業承継
相続税や贈与税の基本的な仕組み、また事業承継に必要な準備など、将来に備えて早めに確認しておくべきポイントを教えてもらえます。専門家とのネットワークを持つFPであれば、税理士や弁護士との連携も期待できます。
このように、FPが対応できる相談は多岐にわたります。自分がどの分野で困っているのかを明確にしておくことで、相談時のやりとりがスムーズになるでしょう。
専門外の業務とは
FPは基本的にお金に関する総合的なコンサルタント的役割を担っていますが、司法書士や税理士、弁護士のように法律行為や税務申告を代理で行う権限はありません
たとえば、FPが具体的な税務手続きを代行して申告を行うといった行為は原則できないので注意が必要です。
また、不動産の売買契約を締結する際に必要な重要事項説明は宅地建物取引士の業務範囲ですし、年金の代理請求なども社労士の独占業務に当たります。
FPはあくまで「アドバイスが中心」であることを理解しておきましょう。
もし、税務申告や法律手続きなどの代理が必要になった場合は、専門の資格を持った人に依頼する必要があります。
失敗しないためのポイント

ここでは、FPに相談するときに「失敗しない」ための具体的なポイントを解説します。
特に事前の準備やFP選びは重要ですので、どのように情報を集め、どう比較すればよいかを整理しながら確認しましょう。
相談前の準備
FPに相談する際は、まず自分の家計や資産の現状を明確にしておく必要があります。以下のようなステップで準備を進めておくと、相談時の話がスムーズになります。
1.家計簿や収支一覧の作成
1か月あたりの収入や支出をリストアップし、どの項目にどれだけのお金を費やしているかを把握します。クレジットカードの明細や銀行の入出金記録などをもとに正確な数値をまとめておくと、FPとの対話が具体的になるでしょう。
2.資産状況の整理
預貯金や株式、投資信託などの金融資産や、不動産の評価額などをおおまかに把握します。ローンや借入金がある場合は残高や金利、返済期間を明確にすると、FPが適切なアドバイスをしやすくなります。
3.目標や希望の明確化
いつまでにいくら貯めたいのか、どの程度の保険に入りたいのか、リスクをどれほど許容できるかなど、目標と優先順位を明確にしておきましょう。FPに「どんな方向を目指しているのか」を的確に伝えられると、相談内容がぶれにくくなります。
こうした事前準備を行っておくと、FPとの面談時間を有効に使うことができます。FPも相談者の具体的な数値をもとにアドバイスを行いやすくなるため、結果的に満足度の高い提案を得やすくなるでしょう。
信頼できるFPの見分け方
FPは資格の種類や所属形態が多岐にわたるため、どのようにして信頼できる人を選ぶかが悩みどころになります。
以下のポイントを押さえて選定すると、大きな失敗を避けやすくなるでしょう。
・得意分野や実務経験を確認
FPのなかには保険を主に扱う人、相続や年金に強みを持つ人、法人向けコンサルに長けた人など、得意分野が異なります。自分の目的に合った専門性を持つかどうか、相談前に確認しておきましょう。
・資格や所属団体
AFPやCFPといった資格は、ファイナンシャルプランニング技能を評価するうえで一つの目安になります。ただし、資格があっても実務経験が浅い場合があります。
また、金融機関や保険会社に所属している場合は、自社商品の販売を優先する傾向がないかも確認したほうがよいでしょう。
・コミュニケーション力
FPは相談者とのコミュニケーションを通じて最適な提案を行います。
何か質問を投げかけたときに分かりやすく答えてくれるか、デメリットについてもしっかり説明してくれるかなど、人間的な部分も含めて判断が必要です。
・口コミや紹介
信頼できる友人や知人に相談した場合、その人が実際に利用したFPを紹介してもらうという方法は有効です。
口コミサイトやSNSなども参考になりますが、評価をそのまま鵜呑みにせず、多角的に情報を集める姿勢が大切です。
費用の確認と費用対効果
FPに相談する際の費用は無料から数万円まで幅広く、相談内容や相談時間、契約形態によって変わります。大別すると以下のような料金体系があります。
・無料相談
保険会社所属のFPや、証券会社・銀行の無料相談サービスなどがあります。無料で受けられるメリットがある反面、自社商品の提案が主になる場合があるため、提案内容の偏りに注意が必要です。
・定額報酬制(フィー制)
独立系FPなどが採用していることが多い方式です。時間単位や相談内容ごとに一定の料金を支払う形態で、一般的には数千円から数万円程度の範囲となります。
商品販売の手数料に依存しないという特徴があるため、客観的なアドバイスを受けやすいといわれています。
・成功報酬制やコンサルティング契約
資産運用や相続など、大きな金額が動く案件の場合に採用されるケースがあります。
成果に応じて報酬率が変動する方式で、内容によっては高額になることもあるため、契約内容をしっかり確認することが必要です。
費用を抑えたい気持ちはあるものの、安価あるいは無料のサービスだけに頼ると思わぬ情報の偏りや勧誘リスクが高まる可能性があります。
長期的な家計や資産運用を考えるのであれば、フィー制を含む複数の選択肢を検討し、費用対効果を見極めましょう。
強引な勧誘や商品提案に注意
保険ショップや金融機関経由でFPに相談すると、特定の商品提案が優先される場合があります。
たとえば保険会社が運営する無料相談では、自社の保険商品を勧めることが主な目的になっている可能性があるでしょう。
商品自体は決して悪いものばかりではありませんが、他社商品との比較が少ないまま加入を急かされるのは避けるべきです。
強引な勧誘を受けていると感じたら、いったん持ち帰って冷静に比較・検討するか、別のFPにも意見を聞くことをおすすめします。
FPの提案内容が正しいかどうかをチェックするには複数の専門家や情報源に当たるのが有効です。
相談時に注意すること

実際にFPと面談し、アドバイスを受ける段階ではどのような点に気をつければよいのでしょうか。
ここでは、具体的な面談時の注意点をまとめ、どのような聞き方や質問をすればより的確な情報を得られるかに焦点を当てていきます。
リスクの理解を深める
保険や投資商品には必ずリスクとリターンが伴います。
FPは商品やプランのメリットを丁寧に説明してくれるでしょうが、同時にリスクについても確認する姿勢を持つことが重要です。
たとえば以下のような質問を投げかけると、リスク評価をより立体的に把握できるでしょう。
・「元本割れの可能性はどの程度あるのか」
・「解約や途中換金を行う場合、手数料や違約金はどうなるのか」
・「リスクを軽減するための対策は何かあるか」
これらの質問に対して、具体的な数字や事例を踏まえて答えられるFPは信頼しやすい存在といえます。
一方でリスクについて曖昧な回答に終始する場合は、情報量が不足しているか、あるいは説明が不十分な可能性があります。
契約書や重要事項の確認
保険契約や投資商品の購入など、具体的に契約を進める場合は、必ず書類の内容を確認しながら進めるようにしましょう。
口頭で聞いた内容と、実際の契約書に記載された内容が異なるケースもあり得ます。特に注意すべきポイントは以下のとおりです。
・契約期間や解約条件
途中解約ができるのか、できる場合にペナルティや解約返戻金がどうなるのかは重要なチェックポイントです。
・手数料やコスト構造
投資信託や保険商品には、販売手数料や信託報酬、解約控除など複数のコストが絡みます。それらが契約書や重要事項説明書に明記されているかを確認しましょう。
・運用実績や保証範囲
過去の運用実績が示されている商品でも、将来の運用成果が確約されるわけではありません。
運用益が確定している商品か変動する商品か、運用損が発生する可能性をどう説明しているかなど、必ず確認が必要です。
契約の内容を正確に理解していないと、後になって「思っていた話と違う」と感じる事態を招きます。
わからない点があれば遠慮なく質問し、納得できるまで再確認する習慣を持ちましょう。
定期的な見直しの重要性
家計や資産設計は、ライフステージの変化や経済状況によって常に変動するものです。
一度FPに相談してプランを立てたとしても、数年経過すると家族構成や収入、支出構造、経済環境などが変わっている場合があります。
そのため、定期的な見直しを行い、必要に応じてプランの修正をすることが望ましいでしょう。
FPとの相談結果があっても、以下のようなタイミングで再検討を行うと、より柔軟な家計管理や資産運用が可能となります。
・結婚や出産、子どもの進学など、家族状況に変化があったとき
・昇進や転職などによって収入構造が大きく変わったとき
・住宅購入や引っ越しによって支出が増加または減少したとき
・市場環境や金利が大きく変動したとき
最初の相談で信頼関係を築けたFPがいる場合は、定期的に面談を申し込んでみるのも一案です。
その際は、再度家計状況や資産状況を整理しておくと、短時間で効率的に新しいアドバイスを受け取れます。
FP相談のメリットとデメリット

ここでは、実際にFPに相談することで得られる利点と、逆に把握しておきたいリスクやデメリットを整理していきます。
メリットとデメリットを両面から認識し、自分に合った活用方法を考えることが大切です。
メリット
1.専門知識を効率的に活用できる
保険、投資、住宅ローン、節税対策など、複数の分野の知識を一度に効率よく得られます。自分だけで情報を集めるよりも時間や労力を節約できるでしょう。
2.客観的な視点を取り入れられる
お金の問題は主観的な感情が入り込みやすいものですが、第三者の視点を取り入れることで合理的な判断がしやすくなります。特に独立系FPの場合は、特定の商品にとらわれにくいアドバイスを期待できることがあるでしょう。
3.将来設計の道筋がクリアになる
ライフプランを長期的にとらえたとき、必要となる資金や保険の保障、投資の目標などが体系的に整理されるため、将来の不安が軽減される場合があります。
4.複雑な手続きをスムーズに進められる
税理士や弁護士、宅地建物取引士などの専門家と連携しているFPなら、相続や不動産売買などの場面で関連資格者への橋渡しを行ってくれることがあります。専門家を探す手間が省ける点は便利といえます。
デメリット
1.費用が発生する場合がある
有料相談やコンサルティング契約では、報酬が数万円に及ぶことがあります。費用対効果を考えて、相談の範囲と報酬額が適切かどうかを見極める必要があります。
2.アドバイスが偏る可能性
保険会社や金融機関に所属しているFPは、自社商品を優先して提案しがちな傾向があるでしょう。無料相談を利用する場合でも、勧誘リスクや提案内容の偏りに注意が必要です。
3.資格や経験の差が大きい
FPと一口にいっても、資格の種類や実務経験、得意分野などに大きな差があります。不十分な知識や経験で的外れなアドバイスをされるリスクがあるため、FP選びは慎重に行う必要があります。
4.全体像の把握が難しくなる可能性
複数のFPや金融機関に同時に相談すると、商品プランやアドバイスが多種多様になり、自分のなかで整理が追いつかないケースがあります。
そうしたときは、基本的な考え方や目標を最初に明確にしておくことが大切です。
まとめ
FPに相談する際は、まず自分の家計や資産状況をしっかり整理し、目的や優先順位を明確化しておくことがポイントです。
FPには保険や投資、税制など幅広い分野の専門知識があり、上手に活用すれば将来設計のヒントが得やすくなります。
しかし、無料相談に潜む勧誘リスクやアドバイスの偏り、FP自身の得意分野や経験のばらつきにも注意が必要です。
複数のFPや情報源を活用してリスクを分散し、契約書や重要事項の内容をしっかり確認することが失敗を避けるための大きなステップといえます。
定期的な見直しを前提として、長期にわたって相談できる頼れるFPを見つけられれば、家計の安定や資産形成にプラスの効果をもたらすでしょう。
FPとの対話を通じてお金の不安を解消し、自分や家族の将来像をより具体的に描いていくことが、満足度の高いライフプラン実現につながると考えられます。
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