がん保険
がん保険の保険金請求ガイド:診断後の手続きの流れと必要書類

がんと診断された瞬間、頭の中は治療や生活の不安でいっぱいになります。そんな中でも、がん保険の請求をスムーズに行えば、経済的な負担を大きく軽減できます。本ガイドでは、診断後の請求手続きの流れや必要書類に加えて、診断書の費用相場や請求権の時効、そして実際の入金までの流れや資金の動きをイメージできるシミュレーションを解説します。
請求手続きの3ステップ

がん保険の請求は、次の3つのステップで進めるのが基本です。
1.診断書の準備
がんと診断されたら、まず主治医に保険会社所定の診断書を依頼します。診断確定日、病名、治療開始日などが正確に記載されていることが重要です。
診断書代は病院や書式によって異なりますが、一般的に2,000〜11,000円程度、多くは5,500円前後です。複数の給付金を請求する予定がある場合は、まとめて必要分を発行してもらうほうが効率的です。
2.保険会社への連絡
診断書を依頼したら、すぐに保険会社へ連絡します。契約番号を伝え、必要書類一式を取り寄せます。最近はWebやアプリから請求できる場合もあります。この時点で、診断給付金だけでなく、手術給付金や通院給付金など、対象になりそうな給付を全て確認しておくと、請求漏れを防げます。
3.書類の提出
診断書と請求書、本人確認書類、振込口座情報、治療に関する領収書などを揃えて提出します。不備があると支払いが遅れるため、記載漏れや印鑑忘れがないか念入りに確認します。提出後は保険会社からの連絡に迅速に対応しましょう。
必要書類の例

・保険会社所定の診断書(または入院・通院証明書)
・保険金請求書(所定様式)
・領収書や診療明細書
・保険証券の写し
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・振込口座情報
会社によってはオンライン提出が可能な場合もあります。書類提出前に、原本が必要かどうか確認すると良いでしょう。
診断書費用の実情と注意点
診断書代は原則として自己負担で、医療費控除の対象外となるケースがほとんどです(ただし治療のために必要な紹介状などは対象になることもあります)。費用相場は、保険会社様式の診断書で5,500円前後、一般診断書で2,200〜5,000円程度です。複雑な内容や特定の年金請求用診断書では1万円を超えることもあります。依頼の際は、用途(保険会社名と様式)を明確にして渡すと、記載漏れが減り、訂正もスムーズです。
保険金請求の時効に注意

がん保険の請求権は、原則として「行使できるときから3年」で消滅します。診断給付金は診断確定日の翌日から、入院給付金は各入院日の分ごとにカウントが始まります。3年を超えると支払いを受けられない可能性が高いため、迷ったら必ず早めに保険会社へ連絡し、請求意思を示しましょう。
実例シミュレーション:診断から入金までの流れ
ここでは、診断後の流れをイメージしやすくするために、モデルケースを紹介します。例として、がん診断給付金100万円、入院給付金1日1万円(10日入院)、通院給付金1日5,000円(退院後2回通院)を想定します。診断書代は5,500円とします。
診断日当日に主治医へ診断書を依頼し、同日に保険会社へ連絡。診断書は約2週間後に完成し、その他書類とまとめて提出。書類到着から5営業日で、診断給付金100万円と入院給付金10万円が振り込まれます。その後、通院分の領収書を提出し、別途通院給付金1万円が支払われます。
この場合、診断書代は自己負担、診断から約25日で合計111万円の給付を受け取れることになり、初期の医療費や生活費の負担を大きく軽減できます。
3か月間の資金の動き
治療が手術と短期入院、その後の通院治療の場合、初月は医療費や雑費で10万円程度の出費が見込まれますが、診断給付金と入院給付金がまとまって入金されるため、実質的な持ち出しはほぼゼロになります。2か月目以降は、通院給付金や高額療養費制度の払い戻しで、収支はプラスを維持できます。重要なのは、給付金の一部を生活費に使い切らず、今後の治療や再発リスクに備えて確保しておくことです。
請求漏れを防ぐポイント

・診断給付金のほか、手術給付金、放射線治療給付金、抗がん剤治療給付金などをチェック
・入院や通院の度に領収書や診療明細を保管
・先進医療給付や再発時の追加給付の有無を契約書で確認
まとめ
がん保険の請求は、早い段階で動き出すことがスムーズな給付につながります。診断書代や必要書類を把握し、請求権の時効を意識しながら、診断書依頼と保険会社への連絡を同時に進めるのが理想です。また、受け取った給付金は生活の安定と治療継続のために計画的に管理しましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。