学資保険
【FP解説】二人目・三人目の学資保険の組み方|家計負担を抑えるコツと注意点

ここでは、兄弟姉妹間の資金計画の立て方と、複数契約時に押さえるべき注意点を、FPの視点から解説します。
兄弟姉妹間の資金計画

二人目・三人目の学資保険を組む際は、「全員分を同じ条件で契約する」ことが必ずしも正解ではない点を意識しましょう。
教育費のピーク時期をずらして考える
兄弟姉妹の年齢差によって、教育費が集中する時期は異なります。例えば3歳差の場合、上の子が大学進学時に下の子が高校生となり、2人分の教育費が重なります。この時期の家計負担を見据えて、保険金の受け取り時期や額を調整するのが賢明です。
上の子の実績を参考にする
第一子の進路によって教育費の実態がある程度わかります。私立進学か公立進学か、部活動や習い事にかかる費用など、リアルな数値が把握できるため、二人目以降の学資保険はその経験を踏まえて設計できます。
全体の教育費バランスを重視
二人目以降の契約額を減らす代わりに、別の貯蓄や投資を併用する方法も有効です。例えば、二人目は学資保険を必要最低限にし、つみたてNISAや積立型投資信託で補うなど、資金運用の多様化を検討できます。
複数契約時の注意点

複数の学資保険を契約するときは、契約本数が増えることで生じる負担やリスクも考慮が必要です。
保険料負担の総額を把握する
兄弟姉妹分をそれぞれ満額契約すると、毎月の保険料が大きく膨らみます。家計の固定費が過剰にならないよう、全契約の保険料合計をチェックし、無理のない範囲に収めることが重要です。
契約者の保障負担
契約者が同一人物の場合、契約者の死亡や高度障害時の保険料免除は全契約に適用されますが、その分リスクも集中します。また、契約者が複数人になると、家庭の事情に応じて保障が不均一になる場合もあります。
解約や減額の柔軟性
子どもの進路変更や家計の変化で保険料負担が難しくなった場合、契約途中で減額や解約を検討する可能性があります。複数契約を組む際は、各契約の解約返戻金や減額制度を確認し、柔軟に対応できるプランを選びましょう。
受取時の税務面
満期保険金を一時金で受け取る場合、契約者と受取人の関係によっては贈与税や所得税の対象になることがあります。契約者=受取人の場合は所得税(一時所得)、契約者≠受取人の場合は贈与税が課税されるため、複数契約では受け取り時期や契約者の設定を工夫することで税負担を軽減できる場合があります。
シミュレーション:年齢差と契約パターンの比較

ここでは、第一子と第二子が3歳差、第三子がさらに3歳差というケースで、契約条件を変えた場合の家計負担を比較します。
(前提条件:返戻率105%、満期時300万円受取、保険料は概算の一例)
パターン1:全員同額契約(300万円満期)
・保険料:毎月 約8,500円/1契約(一例)
・3人分合計:毎月 約25,500円
・大学進学時に満期金300万円ずつ確保できるが、18年間ずっと高い固定費負担。
パターン2:第一子のみ300万円、第二・三子は200万円
・第一子:毎月 約8,500円(一例)
・第二子・第三子:毎月 約5,700円(一例) × 2契約
・合計:毎月 約19,900円
・教育費総額は減るが、毎月の負担軽減&別の積立や投資に回せる資金を確保可能。
パターン3:第二・三子は学資保険+積立投資
・第二子・第三子は100万円分を学資保険(毎月 約2,900円/一例)+積立投資(毎月5,000円)で運用
・投資収益が期待以上なら教育資金増額、期待以下でも学資保険で最低限は確保できる。
FPからの提案:二人目以降は「調整型プラン」で

二人目・三人目の学資保険は、第一子と全く同じ条件で組むのではなく、進学時期の重なり・家計状況・運用方針に合わせて調整するのが現実的です。
例えば、
・第一子は満額の学資保険
・第二子以降は必要最低限+別口の積立投資
というように組み合わせれば、毎月の負担を抑えつつ教育費総額を確保できます。
まとめ
二人目・三人目の学資保険は、第一子の経験や家計の実情を踏まえて調整することが重要です。契約額や受け取り時期をずらす、貯蓄や投資と併用する、契約者や受取人を工夫するなど、家族全体の教育費プランに沿った柔軟な設計を心がけましょう。
参考文献
・文部科学省「子供の学習費調査」
・金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査」
・国税庁「贈与税のしくみ」
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。