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【速報】日銀0.75%利上げ・長期金利2%到達!住宅ローン変動金利はいつ上がる?2026年7月から影響か
2025年12月19日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.5%から0.75%に引き上げました。これは1995年以来、約30年ぶりの高水準となります。同時に、長期金利の指標である新発10年債の利回りも一時2.020%に達し、2006年5月以来約19年半ぶりの高水準を記録しました。異次元緩和からの正常化が進む中、住宅ローンや預金金利など私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。
日本銀行は2025年12月18日から19日にかけて開催した金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%程度から0.75%程度に引き上げることを全員一致で決定しました。
今回の利上げは2025年1月以来、7会合ぶりとなります。日銀は1月の利上げ以降、米国の関税政策が日本経済に与える影響を見極めるため追加利上げを見送ってきましたが、影響は当初の想定より軽微と判断しました。
日銀が利上げを決定した主な理由は以下の通りです。
・企業収益が高水準を維持―米国の関税政策の影響を加味しても、全体として高い水準が続くと見込まれる
・2026年春闘での賃上げ継続―日銀が実施した企業ヒアリングでは、33の本支店のうち2が「上回る」、29が「横ばい」と回答し、高水準の賃上げが続く見通し
・賃金と物価の好循環が維持―企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低いと判断
出典:日本銀行
日銀は声明文で「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と明記しました。ただし、利上げ後も実質金利は大幅なマイナスが続くため、緩和的な金融環境は維持されるとしています。
日銀の利上げ決定を受けて、国債市場では長期金利の指標である新発10年債の利回りが上昇しました。
長期金利が2%台に乗せたのは2006年5月以来、約19年半ぶりのことです。バブル経済崩壊後の「失われた30年」において、2%は何度も試されながら超えられなかった歴史的な節目でした。
過去に2%に到達した局面は以下の通りです。
・1999年2月―資金運用部ショックにより2.440%まで急騰したが、日銀のゼロ金利政策導入で再び低下
・2006年5月―日銀の利上げ局面で2.005%まで上昇したが、そこがピークとなり以降は2%を下回る水準が続いた
過去と異なり、今回は2%が通過点になるとの見方が市場で増えています。その背景には以下の変化があります。
・インフレマインドの定着―全国消費者物価指数は2022年から3年連続で2%を超え、2025年11月分も前年同月比3.0%の高い伸びを記録
・デフレマインドからの転換―長らく「金利は上がらない」という認識が市場の常識だったが、その前提が変わりつつある
・債券市場の構造変化―日銀の国債保有比率が低下し、海外投資家の存在感が増している
出典:総務省統計局
政策金利の引き上げは、私たちの生活にさまざまな影響を及ぼします。
日銀が利上げすると、金融機関も住宅ローンの金利を見直します。多くの銀行では年2回(4月と10月)のタイミングで金利を改定し、実際の適用は4月分が7月、10月分が翌年1月からとなるのが一般的です。
つまり、今回の0.75%への利上げの影響が出てくるのは2026年7月以降の可能性が高いと考えられます。
ただし、多くの銀行が採用する「5年ルール」により、月々の返済額は5年ごとにしか見直されません。金利が上昇しても返済額は据え置かれますが、その分、返済額に占める利息の割合が増え、元本の減りが遅くなる点に注意が必要です。
政策金利の引き上げに伴い、預金金利も上昇する見込みです。長期間低金利が続いていた普通預金や定期預金の金利が改善されれば、貯蓄している方にとってはプラスの影響となります。
企業にとっては借入金利が上昇するため、資金調達コストが増加します。帝国データバンクの試算によると、企業の1.6%が支払利息の増加により赤字転落する可能性があるとされています。
ただし、堅調な企業収益が背景にあるため、多くの企業には利上げへの耐性があると考えられています。
市場の関心は、利上げのペースと最終的な到達点(ターミナルレート)に移っています。
日銀の植田和男総裁は、景気を熱しも冷ましもしない中立金利について「1~2.5%の間に分布している」と説明してきました。現在の政策金利0.75%は、この範囲の下限に位置しています。
市場では、円スワップ2年先1ヶ月物先物金利が1.45%台で推移しており、追加3回程度の利上げを織り込みつつある状況です。
日銀は中立金利の推計には幅があり不確かなため、推計から逆算して利上げシナリオを描くのは難しいとしています。実際に利上げを行いながら、経済や物価、銀行貸し出しなどへの影響を確認して緩和度合いを見極めていく方針です。
植田総裁は「緩和度合いを適切に調整していくことは、日本経済を息の長い成長軌道に乗せるために必要」と述べており、性急な利上げではなく、経済状況を見極めながら段階的に進める姿勢を示しています。
出典:日本銀行
利上げ決定後、米ドル円相場は一時156円台まで円安が進行しました。日銀が利上げを継続する姿勢を示したものの、利上げペースの加速を示唆しなかったことが背景にあります。
一段の円安が進めば輸入物価の上昇を通じて物価高が続く要因となるため、為替動向も利上げ判断の材料の一つとなっています。
日本銀行による0.75%への利上げと長期金利の2%到達は、異次元緩和からの脱却が着実に進んでいることを示しています。
バブル崩壊後30年かけて、ようやく日本経済は政策金利0.5%の壁を超え、長期金利も歴史的な2%の節目に到達しました。デフレマインドからインフレマインドへの転換、賃金と物価の好循環の定着など、日本経済の構造的な変化が背景にあります。
日銀は2026年以降も経済・物価情勢を見極めながら利上げを継続する方針です。変動金利は当面、固定金利より低い水準が続くと考えられますが、今後の金利上昇局面において、返済額の増加に家計が耐えられるかどうかは、各世帯の状況によって異なります。
特に変動金利で住宅ローンを借りている場合、以下の点を確認しておくことが重要です。
・金利が1%上昇した場合の月々の返済額増加をシミュレーションする
・「5年ルール」により返済額は据え置かれても、元本の減りが遅くなることを理解する
・家計に余裕があるうちに繰り上げ返済を検討する
・金利上昇リスクを許容できない場合は、固定金利への借り換えも選択肢となる
金融政策の正常化という新たな局面において、経済動向と金融政策の行方を注視しながら、各家庭の状況に応じた対策を講じることが求められます。
日銀が政策金利を0.75%に引き上げ―30年ぶりの水準
日本銀行は2025年12月18日から19日にかけて開催した金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%程度から0.75%程度に引き上げることを全員一致で決定しました。
7会合ぶりの利上げ決定
今回の利上げは2025年1月以来、7会合ぶりとなります。日銀は1月の利上げ以降、米国の関税政策が日本経済に与える影響を見極めるため追加利上げを見送ってきましたが、影響は当初の想定より軽微と判断しました。
利上げの背景にある3つの要因
日銀が利上げを決定した主な理由は以下の通りです。
・企業収益が高水準を維持―米国の関税政策の影響を加味しても、全体として高い水準が続くと見込まれる
・2026年春闘での賃上げ継続―日銀が実施した企業ヒアリングでは、33の本支店のうち2が「上回る」、29が「横ばい」と回答し、高水準の賃上げが続く見通し
・賃金と物価の好循環が維持―企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低いと判断
出典:日本銀行
今後も利上げを継続する方針
日銀は声明文で「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と明記しました。ただし、利上げ後も実質金利は大幅なマイナスが続くため、緩和的な金融環境は維持されるとしています。
長期金利が2%に到達―19年半ぶりの高水準が意味するもの
日銀の利上げ決定を受けて、国債市場では長期金利の指標である新発10年債の利回りが上昇しました。
2%は歴史的な「壁」だった
長期金利が2%台に乗せたのは2006年5月以来、約19年半ぶりのことです。バブル経済崩壊後の「失われた30年」において、2%は何度も試されながら超えられなかった歴史的な節目でした。
過去に2%に到達した局面は以下の通りです。
・1999年2月―資金運用部ショックにより2.440%まで急騰したが、日銀のゼロ金利政策導入で再び低下
・2006年5月―日銀の利上げ局面で2.005%まで上昇したが、そこがピークとなり以降は2%を下回る水準が続いた
今回は「通過点」となる可能性
過去と異なり、今回は2%が通過点になるとの見方が市場で増えています。その背景には以下の変化があります。
・インフレマインドの定着―全国消費者物価指数は2022年から3年連続で2%を超え、2025年11月分も前年同月比3.0%の高い伸びを記録
・デフレマインドからの転換―長らく「金利は上がらない」という認識が市場の常識だったが、その前提が変わりつつある
・債券市場の構造変化―日銀の国債保有比率が低下し、海外投資家の存在感が増している
出典:総務省統計局
住宅ローンや預金金利への影響―家計にどう響く?
政策金利の引き上げは、私たちの生活にさまざまな影響を及ぼします。
変動金利型住宅ローンへの影響
日銀が利上げすると、金融機関も住宅ローンの金利を見直します。多くの銀行では年2回(4月と10月)のタイミングで金利を改定し、実際の適用は4月分が7月、10月分が翌年1月からとなるのが一般的です。
つまり、今回の0.75%への利上げの影響が出てくるのは2026年7月以降の可能性が高いと考えられます。
ただし、多くの銀行が採用する「5年ルール」により、月々の返済額は5年ごとにしか見直されません。金利が上昇しても返済額は据え置かれますが、その分、返済額に占める利息の割合が増え、元本の減りが遅くなる点に注意が必要です。
預金金利の上昇にも期待
政策金利の引き上げに伴い、預金金利も上昇する見込みです。長期間低金利が続いていた普通預金や定期預金の金利が改善されれば、貯蓄している方にとってはプラスの影響となります。
企業の借入コストも上昇
企業にとっては借入金利が上昇するため、資金調達コストが増加します。帝国データバンクの試算によると、企業の1.6%が支払利息の増加により赤字転落する可能性があるとされています。
ただし、堅調な企業収益が背景にあるため、多くの企業には利上げへの耐性があると考えられています。
日銀の今後の金融政策―どこまで利上げは続くのか
市場の関心は、利上げのペースと最終的な到達点(ターミナルレート)に移っています。
中立金利の水準
日銀の植田和男総裁は、景気を熱しも冷ましもしない中立金利について「1~2.5%の間に分布している」と説明してきました。現在の政策金利0.75%は、この範囲の下限に位置しています。
市場では、円スワップ2年先1ヶ月物先物金利が1.45%台で推移しており、追加3回程度の利上げを織り込みつつある状況です。
慎重な利上げペースを維持
日銀は中立金利の推計には幅があり不確かなため、推計から逆算して利上げシナリオを描くのは難しいとしています。実際に利上げを行いながら、経済や物価、銀行貸し出しなどへの影響を確認して緩和度合いを見極めていく方針です。
植田総裁は「緩和度合いを適切に調整していくことは、日本経済を息の長い成長軌道に乗せるために必要」と述べており、性急な利上げではなく、経済状況を見極めながら段階的に進める姿勢を示しています。
出典:日本銀行
為替相場への影響
利上げ決定後、米ドル円相場は一時156円台まで円安が進行しました。日銀が利上げを継続する姿勢を示したものの、利上げペースの加速を示唆しなかったことが背景にあります。
一段の円安が進めば輸入物価の上昇を通じて物価高が続く要因となるため、為替動向も利上げ判断の材料の一つとなっています。
まとめ―金融正常化の新たな局面、変動金利利用者は対策の検討を
日本銀行による0.75%への利上げと長期金利の2%到達は、異次元緩和からの脱却が着実に進んでいることを示しています。
バブル崩壊後30年かけて、ようやく日本経済は政策金利0.5%の壁を超え、長期金利も歴史的な2%の節目に到達しました。デフレマインドからインフレマインドへの転換、賃金と物価の好循環の定着など、日本経済の構造的な変化が背景にあります。
日銀は2026年以降も経済・物価情勢を見極めながら利上げを継続する方針です。変動金利は当面、固定金利より低い水準が続くと考えられますが、今後の金利上昇局面において、返済額の増加に家計が耐えられるかどうかは、各世帯の状況によって異なります。
特に変動金利で住宅ローンを借りている場合、以下の点を確認しておくことが重要です。
・金利が1%上昇した場合の月々の返済額増加をシミュレーションする
・「5年ルール」により返済額は据え置かれても、元本の減りが遅くなることを理解する
・家計に余裕があるうちに繰り上げ返済を検討する
・金利上昇リスクを許容できない場合は、固定金利への借り換えも選択肢となる
金融政策の正常化という新たな局面において、経済動向と金融政策の行方を注視しながら、各家庭の状況に応じた対策を講じることが求められます。



