資産運用
「投資が怖い」と感じるあなたへ!老後資金を増やす「リスクを抑えた運用術」

「老後の生活費のために、効率的にお金を増やした方がいい」
「運用を始めた方がいいって聞くけれど、なんだか怖くて一歩踏み出せない…」
もしあなたがそう感じているなら、それは決して珍しいことではありません。投資と聞くと「損をするのでは?」「大金が動くから怖い」と不安に感じる方も多いでしょう。
しかし、実はリスクを抑えながらお金を増やす方法は存在します。そして、その具体的な仕組みを知れば、きっとあなたも「これなら私にもできるかも!」と感じるはずです。
今回は、資産運用で多くの人が抱える「怖い」という気持ちを和らげ、安心して一歩を踏み出せる「分散投資」について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
リスクを抑える投資の基本「分散投資」とは?

リスクを抑える運用術の基本は、ズバリ「分散投資」です。分散投資には、大きく分けて以下の2つの考え方があります。
1.商品の分散
2.時間の分散
それぞれ詳しく見ていきましょう。
商品の分散:ひとつのカゴに卵を盛らない
「商品の分散」とは、一つの投資商品に全財産を投じるのを避けるということです。
たとえば、軍資金が100万円あったとして、その100万円すべてを一つの商品(A商品)に投資するのは危険です。A商品が値上がりすれば嬉しいですが、値下がりすれば100万円が大きく減ってしまう可能性があります。
「100万円が翌月には120万円になった!」と喜んだと思ったら、その翌月には80万円に…なんてことになったら、「やっぱり運用は怖い!」と感じてしまうでしょう。
そこでおすすめなのが、値動きの異なる複数の商品を組み合わせて持つことです。
代表的な例としては、株式と債券が挙げられます。これらの商品は、原則として値動きの傾向が異なります。
・株式市場が好調なときは債券が不調
・債券市場が好調なときは株式が不調
このように、性質の異なる資産を組み合わせて保有することで、仮にどちらか一方が大きく下落しても、もう一方の資産がその損失をある程度カバーしてくれるため、全体として大きな損失を被るリスクを軽減できるのです。
時間の分散:ドルコスト平均法でリスク軽減
そして、もう一つ非常に重要なのが「時間の分散」です。これは、別名「ドルコスト平均法」とも呼ばれます。言葉だけ聞くと難しそうですが、要は「毎月、毎週など定期的に一定額で運用商品を購入していく」というシンプルな方法です。
「毎月10,000円をある投資信託に投資する」という例で、その効果を見ていきましょう。
ドルコスト平均法の驚くべき効果!
以下の表は、ある投資信託の基準価額(株式でいう株価のようなもの)が、毎月変動した場合の購入例です。
【毎月1口ずつ購入した場合】
・1ヶ月目:基準価額10,000円、10,000円で1口購入
・2ヶ月目:基準価額15,000円、15,000円で1口購入
・3ヵ月目:基準価額5,000円、5,000円で1口購入
・4か月目:基準価額10,000円、10,000円で1口購入
・4ヶ月間合計、40,000円で4口購入できた。
【ドルコスト平均法で毎月10,000円ずつ購入した場合】
・1ヶ月目:基準価額10,000円、10,000円で1口購入
・2ヶ月目:基準価額15,000円、10,000円で0.66口購入
・3ヵ月目:基準価額5,000円、10,000円で2口購入
・4か月目:基準価額10,000円、10,000円で1口購入
・4ヶ月間合計、40,000円で4.66口購入できた。
このように、同じ40,000円を投資した場合でも、購入方法によって最終的に保有できた口数が異なります。
・毎月1口ずつ購入した場合: 4ヶ月で合計4口購入
・毎月10,000円ずつ定額購入した場合: 4ヶ月で合計4.66口購入
なぜ定期的に一定額を購入したほうが有利なの?
では、もし5ヶ月目に基準価額が10,000円に戻ったとして、この時にすべて現金に換金するとどうなるでしょうか?
・毎月1口ずつ購入の場合:4口 × 10,000円 = 40,000円
・毎月10,000円ずつ定額購入の場合:4.66口 × 10,000円 = 46,600円
同じ40,000円を投資したにも関わらず、毎月定額で購入した方が最終的な資産額が増えているのがお分かりいただけたでしょうか?
これがドルコスト平均法の最大のメリットです。
値動きのある投資商品では、価額が下がった時には同じ金額でより多くの口数を購入でき、価額が上がった時には少ない口数しか購入できないため、結果的に平均購入単価を下げることができます。
つまり、価額が下がった時を「お買い得!」と捉え、安い時に多く購入できるのが、この仕組みの強みです。
※これはドルコスト平均法のメリットをお伝えするためのシミュレーションであり、実際の運用で常に同様の効果が得られることを保証するものではありません。
※なお、筆者は基本的に長期投資をおすすめしています。短期的な売買で利益を追求する方法は、あくまでメリットを示すための例であることをご理解ください。
「積立」がリスクを抑える理由

「積立、積立」とよく耳にするのは、まさにこのドルコスト平均法の仕組みが理由です。
・価額が下がっても怖くない: 価額が下がるとショックに感じるかもしれませんが、積立投資では「安くたくさん買えるチャンス」と捉えることもできます。
・感情に左右されない: 毎月決まった額を自動で投資するため、市場の変動に一喜一憂することなく、淡々と投資を続けられます。
積立運用の仕組みが理解できれば、運用への漠然とした恐怖が少しは軽減されるのではないでしょうか。
まずは少額から始めてみよう!
ここまで読んで、「これなら私も挑戦できるかも!」と感じていただけたなら幸いです。
まずは少額からでも、毎月コツコツと積み立てていくことから始めてみませんか? 分散投資を活用して、賢く老後資金を準備していきましょう。
お金に関する相談はファイナンシャルプランナーの金子賢司まで。日本FP協会の「CFP®認定者検索システム」、またはJ-FLEC(金融経済教育推進機構)のサイトの、J-FLEC認定アドバイザー検索で検索することも可能です。北海道エリアに絞って検索していただくと容易に検索できます。