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NISA成長投資枠で成功するための5つの戦略|非課税枠1,200万円を最大活用する方法

2024年から始まった新しいNISA制度のうち、成長投資枠は年間240万円、生涯1,200万円まで非課税で投資できる魅力的な制度です。つみたて投資枠と比べて年間の非課税枠が大きく、投資対象も幅広いため、効果的に活用できれば資産形成の強力な味方となります。
しかし、非課税枠が大きいからといって無計画に投資をすれば、かえって損失を被るリスクもあるでしょう。成長投資枠で成功するためには、制度の特徴を理解し、適切な投資戦略を実践することが不可欠です。
NISA成長投資枠の基本的な仕組みと特徴

成功するための戦略を考える前に、まず成長投資枠の基本的な仕組みを確認しておきましょう。
年間投資枠と非課税保有限度額
成長投資枠では、年間240万円まで投資が可能です。つみたて投資枠の年間120万円と併用すれば、合計で年間360万円まで非課税で投資できる計算になります。
生涯を通じた非課税保有限度額は、つみたて投資枠と合わせて1,800万円が上限となり、そのうち成長投資枠で使えるのは最大1,200万円までとなっています。つみたて投資枠のみで1,800万円まで使うことは可能ですが、成長投資枠のみでは1,200万円までしか使えない点に注意が必要です。
出典:金融庁「NISAを知る」
非課税保有期間の無期限化
従来の一般NISAでは非課税保有期間が5年間に限られていましたが、新しいNISA制度では非課税保有期間が無期限になりました。長期的な視点で資産形成に取り組みやすくなり、複利効果をより大きく享受できるようになっています。
対象商品の幅広さ
成長投資枠では、つみたて投資枠よりも幅広い商品に投資できます。具体的には以下のような商品が対象です。
・上場株式(国内株式・外国株式)
・投資信託
・ETF(上場投資信託)
・REIT(不動産投資信託)
・IPO(新規公開株)
ただし、長期的な資産形成を目的とする制度の性質上、以下の商品は除外されています。
・整理銘柄・監理銘柄(上場廃止が決まっている、またはそのおそれがある銘柄)
・信託期間20年未満の投資信託
・毎月分配型の投資信託
・高レバレッジ型など、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託
出典:金融庁「NISAを知る」
対象商品の詳細については、投資信託協会のウェブサイトで確認することができます。
成功のための戦略1:長期投資を基本とする

成長投資枠で成功するための最も重要な戦略は、長期投資を基本とすることです。
長期投資がもたらす効果
金融庁の資料によれば、投資期間5年では運用成績にばらつきが見られ、損失を被るケースもありますが、投資期間20年になると運用成績は年率2~6%程度に集中し、元本割れのリスクが大幅に低減されることが示されています。
長期投資には以下のようなメリットがあります。
・複利効果を最大限に活用できる
・短期的な市場変動の影響を受けにくくなる
・精神的な余裕を持って投資を継続できる
・売買の手間やコストを抑えられる
複利効果の威力
複利とは、投資や預金等で得た収益を当初の元本にプラスして運用することで得られる利益のことです。時間が経つほど雪だるま式に資産が増えていくため、長期投資において非常に重要な概念となります。
成長投資枠では非課税保有期間が無期限化されたため、複利効果による資産増加分にも税金がかからず、より効率的に資産を増やすことができるでしょう。
成功のための戦略2:積立投資でリスクを分散する

成長投資枠では一括投資も可能ですが、積立投資を活用することでリスクを分散できます。
ドルコスト平均法の活用
定額で定期的に金融商品を購入する方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれ、長期・積立・分散投資を実践するうえでの大きな武器となります。
ドルコスト平均法には以下のような利点があります。
・価格が高い時は少量、価格が安い時は多量を購入することで、平均購入単価を抑えられる
・購入タイミングを考える必要がなくなる
・価格下落時も「安く仕入れる機会」として前向きに捉えられる
・まとまった資金がなくても投資を始められる
積立投資と一括投資の使い分け
成長投資枠では、毎月コツコツと積立投資をしながら、ボーナスなどまとまった資金ができた時に一括投資をする、という柔軟な使い方も可能です。投資の知識や経験、資金の状況に応じて、最適な方法を選択すると良いでしょう。
成功のための戦略3:分散投資を徹底する

「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があるように、投資先を分散させることはリスク管理の基本です。
投資対象の分散
成長投資枠では、株式、債券、REIT、国内外の資産など、さまざまな投資対象に分散して投資することが可能です。異なる値動きをする資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながら、安定したリターンを目指すことができます。
金融庁も「リターンの安定した投資を行うには、投資対象のグローバルな分散、投資時期の分散、長期的な保有の3つを組み合わせて活用することが有効である」と述べています。
投資信託を活用した分散投資
個人で複数の銘柄に分散投資をするのは手間がかかりますが、投資信託を活用すれば、プロの運用者が複数の銘柄に分散投資をしてくれるため、手軽に分散投資を実現できます。
特に投資初心者の場合は、世界中の株式や債券にまとめて投資できるバランス型の投資信託を活用するのも一つの方法です。
成功のための戦略4:コストを意識した商品選び

投資で得られるリターンを最大化するには、コストを抑えることも重要です。
信託報酬の重要性
投資信託には、保有している間継続的にかかる「信託報酬」というコストがあります。年率で見ると小さく感じるかもしれませんが、長期保有すると大きな差となって表れるでしょう。
例えば、100万円を20年間運用した場合、年率3%のリターンが得られたとすると、信託報酬が年0.5%と年1.5%では、最終的な資産額に数十万円の差が生じることになります。
インデックスファンドの活用
一般的に、特定の指数(インデックス)に連動することを目指すインデックスファンドは、信託報酬が低めに設定されています。長期投資において、低コストのインデックスファンドは有力な選択肢の一つとなるでしょう。
ただし、コストだけでなく、投資目的や運用方針に合った商品を選ぶことが大切です。
成功のための戦略5:感情に左右されない投資を実践する

投資で失敗する最大の原因の一つは、感情に基づいた判断です。
市場の変動に動じない
株式市場は日々変動しており、時には大きく下落することもあります。しかし、長期投資の観点からは、短期的な下落は一時的なものに過ぎないことが多いのです。
金融庁の資料でも、1992年から2017年までの間に、ITバブル崩壊やリーマンショックなどの金融危機を経験しながらも、長期・積立・分散投資を継続することで資産が成長した事例が示されています。
定期的な見直しと淡々とした継続
投資を始めたら、年に1~2回程度、ポートフォリオの状況を確認し、必要に応じて調整することが望ましいでしょう。ただし、日々の値動きに一喜一憂せず、淡々と積立を継続することが長期的な成功につながります。
「損をしたくない」という感情に左右されず、資金を積み立てる仕組みを作ることは、資産形成において非常に有効な方法といえるでしょう。
成長投資枠とつみたて投資枠の使い分け

新しいNISA制度では、成長投資枠とつみたて投資枠を併用できます。それぞれの特徴を理解し、自分の投資方針に合わせて使い分けることが重要です。
つみたて投資枠を優先すべきケース
以下のような方は、まずつみたて投資枠から始めることをおすすめします。
・投資初心者で商品選びが難しいと感じる方
・少額から無理なく投資を始めたい方
・投資タイミングを考えるのが面倒な方
・金融庁の基準を満たした商品の中から選びたい方
つみたて投資枠の対象商品は、金融庁が長期・積立・分散投資に適していると認めた一定の投資信託に限定されているため、初心者でも安心して選べるでしょう。
成長投資枠を活用すべきケース
以下のような方は、成長投資枠を積極的に活用すると良いでしょう。
・個別株式やREITに投資したい方
・つみたて投資枠の対象外の商品に投資したい方
・まとまった資金を一括で投資したい方
・投資経験があり、自分で銘柄を選びたい方
両方の枠を併用する戦略
資金に余裕がある場合は、両方の枠を併用することで非課税効果を最大限に活用できます。
例えば、以下のような使い分けが考えられます。
・つみたて投資枠:毎月定額で投資信託を積立購入
・成長投資枠:ボーナス時などに個別株やREITに一括投資
このように、それぞれの枠の特性を活かした組み合わせを検討すると良いでしょう。
非課税枠の再利用について理解する

新しいNISA制度では、商品を売却した場合、翌年以降に非課税枠を再利用できるようになりました。
再利用の仕組み
例えば、100万円で購入した商品を150万円で売却した場合、翌年以降に100万円分の非課税枠が復活します。この時、売却価格の150万円ではなく、購入時の価格(簿価)である100万円が基準となる点に注意が必要です。
出典:金融庁「NISAを知る」
再利用を前提とした戦略
非課税枠の再利用が可能になったことで、以下のような戦略も考えられます。
・ライフイベントに応じて、必要な時に売却して資金を確保し、その後再び投資を再開する
・定期的にポートフォリオを見直し、より適切な商品に乗り換える
ただし、頻繁な売買は手数料がかさむ可能性もあるため、慎重に判断することが大切です。
まとめ:成功の鍵は「長期・積立・分散」の実践
NISA成長投資枠は、年間240万円、生涯1,200万円まで非課税で投資できる大きな利点があります。しかし、非課税枠が大きいからといって、それだけで成功が約束されるわけではありません。
成功するためには、以下の5つの戦略を実践することが重要です。
・長期投資を基本とする:複利効果を最大限に活用し、短期的な変動に惑わされない
・積立投資でリスクを分散する:ドルコスト平均法を活用し、購入タイミングを分散
・分散投資を徹底する:複数の資産クラスや地域に投資し、リスクを抑える
・コストを意識した商品選び:信託報酬などのコストを比較し、長期的なリターンを最大化
・感情に左右されない投資を実践する:市場の変動に動じず、淡々と積立を継続
金融庁が推奨する「長期・積立・分散」という投資の三大原則は、成長投資枠においても変わらない成功の鍵となります。これらの原則を守りながら、自分のライフプランや投資目的に合わせて、成長投資枠とつみたて投資枠を使い分けることで、効率的な資産形成が実現できるでしょう。
出典:金融庁「NISAを知る」
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。
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