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NISAの出口戦略を考える!非課税期間終了後の賢い選択肢

NISAは長期的な資産形成を支える強力な制度ですが、いつか資産を引き出す、あるいは運用方針を切り替える「出口」を考える時期が来ます。特に、旧NISA口座をお持ちの方にとっては、非課税期間終了後の具体的な選択肢を理解しておくことが重要です。
この記事では、NISAの非課税期間が終了した際にどのような選択肢があるのか(売却、特定口座への移管など)を詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。あなたのライフプランや資産状況に合わせた、賢い出口戦略を検討するための情報を提供します。
NISAの「出口戦略」とは?なぜ考える必要があるのか

NISAにおける「出口戦略」とは、非課税期間が終了した後の資産をどうするか、あるいは将来的に資産を現金化する際にどのような方法を取るかを事前に計画することです。
NISAで得た利益は非課税ですが、これは「非課税期間中」あるいは「非課税枠内」での話です。特に旧NISAは非課税期間に限りがあったため、期間終了後の選択が重要でした。新NISAでは非課税期間が無期限になったものの、ライフイベントでの資金ニーズや、将来的な資産の取り崩しを考える上で、「出口」の視点はやはり欠かせません。
出口戦略を事前に考えることで、以下のようなメリットがあります。
・税金面で損をしない: 非課税の恩恵を最大限に活用し、無駄な税金発生を避けられます。
・計画的に資金を活用できる: ライフプランに合わせた資金計画を立てやすくなります。
・心理的な安心感: 不安なく運用を続けられます。
旧NISA:非課税期間終了後の3つの選択肢

旧NISA(一般NISAは5年、つみたてNISAは20年)で投資をしている場合、非課税期間が終了した際に主に3つの選択肢がありました。
1.商品を売却する
・内容: 非課税期間が終了する前に、保有している株や投資信託を売却して現金化します。
【メリット】
・利益が出ていれば、その利益は非課税で受け取れます。
・すぐに資金が必要な場合に対応できます。
【デメリット】
・売却時に含み損(購入時より価値が下がっている状態)があれば、損失が確定してしまいます。
・市場価格が低いタイミングで売却せざるを得ない可能性があります。
・売却した元本分の非課税枠が復活する仕組みは、旧NISAにはありません。
【向いている人】
・非課税期間終了までに目標金額に達し、現金を確保したい人。
・含み損がある場合でも、他の投資に資金を回したい人。
2.商品を課税口座へ移管する
・内容: 非課税期間が終了した時点で、NISA口座から特定口座(または一般口座)へ商品を移し替えます。
【メリット】
・非課税期間が終了しても、商品をそのまま保有し続けられます。
・売却せずに済むため、長期的な成長に期待できます。
【デメリット】
・移管後は、その商品から得られる利益(売却益、配当金・分配金)に税金がかかります。
・移管時の時価が、課税口座での「取得価格」とみなされます。もし移管後に値下がりして売却すると、税制上は損失ではなく利益とみなされてしまう「みなし取得価格」の問題が発生する可能性があります。
【向いている人】
・非課税期間終了後も、その商品を長期的に保有し続けたい人。
・移管時の評価益が少なく、課税メリットの恩恵を十分に受けた人。
3.ロールオーバーする(旧NISA一般NISAのみ)
・内容: 旧NISAの一般NISA口座で保有していた商品を、非課税期間終了後に翌年の一般NISAの非課税投資枠を使って、非課税のまま引き続き運用し続けること。
【メリット】
・利益が出ていても、非課税の恩恵を受けながら運用を継続できる最大のメリットがありました。
・売却をせず、長期保有を継続できました。
【デメリット】
・翌年の新規投資枠を消費してしまいます。ロールオーバー額が翌年の年間投資枠(120万円)を超えると、その年は新たに投資できませんでした。
・この仕組みは、新NISAにはありません。旧NISA一般NISA口座からのロールオーバーは、2023年が最終でした。
【向いている人】
・旧NISAで含み益が大きく出ており、さらに非課税で運用を続けたいと考えていた人。
新NISAにおける「出口戦略」の考え方:柔軟な活用

新NISAでは、非課税期間が無期限になり、非課税保有限度額が生涯で1,800万円(投資元本ベース)に拡充されました。これにより、旧NISAのような「非課税期間終了」を意識した出口戦略は不要になりましたが、それでも資産を取り崩す際の「出口」を考えることは大切です。
新NISAでの出口戦略の主な考え方は以下の通りです。
1.ライフイベントでの資金ニーズに対応する「売却と枠の再利用」
・内容: 子どもの教育資金や住宅の頭金など、ライフイベントでまとまった資金が必要になった際に、NISA口座内の商品を売却して現金化します。
【メリット】
・必要な時に非課税で資金を引き出せます。
・売却した投資元本分の非課税枠は、翌年以降に復活します。これにより、必要な資金を引き出した後でも、再び非課税で投資を再開できる柔軟性があります。
【向いている人】
・将来的に特定のライフイベントで資金が必要になる計画がある人。
・一時的に資金を引き出した後も、再び資産形成を続けたい人。
2.老後資金としての計画的な「取り崩し」
・内容: リタイア後の生活費をまかなうために、NISA口座の資産を計画的に売却して生活費に充てていく方法です。
【メリット】
・生涯非課税枠を使い切り、非課税で得た利益を老後資金として活用できます。
・非課税期間が無期限のため、市場の状況を見て、急ぐことなく最適なタイミングで売却できます。
【向いている人】
・NISAを老後資金形成の主軸と考えている人。
・非課税期間の終了を気にせず、長く保有し続けたい人。
あなたのライフプランに合わせた賢い出口戦略を立てるために

賢い出口戦略を立てるためには、以下のポイントを考慮しましょう。
1.具体的な目標と時期を明確にする: 「いつまでに、何のために、いくら必要か」という具体的な目標を立てることが、出口戦略の出発点です。例えば、老後資金であれば「何歳まで」取り崩すか、教育資金であれば「いつの入学時」に必要か、などを明確にします。
2.市場の状況と冷静な判断: NISAで保有している商品を売却する際は、市場価格を冷静に判断しましょう。急な下落時に焦って売却すると、大きな損失を確定させてしまう可能性があります。もし含み損がある場合は、回復を待つか、他の課税口座での損益と比較するなど、慎重な検討が必要です。
3.非課税メリットを最大限に活かす: NISAの最大の強みは非課税です。利益が出ている商品を優先的に売却し、非課税の恩恵を享受しましょう。損失が出ている商品をNISAで売却しても損益通算はできないため、その点は注意が必要です。
4.段階的な取り崩しを検討する: 一度に全額を売却するのではなく、必要な時期や金額に合わせて、少しずつ段階的に売却していく「取り崩し」を検討しましょう。これにより、市場変動リスクを分散させ、資金の寿命を延ばせる可能性があります。
5.専門家への相談も視野に: 特に老後資金など、多額の資産の取り崩しや複雑なライフプランを考える場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも有効です。
まとめ:NISAの「終わり方」も計画がカギ!
NISAは、単に「始める」だけでなく、「どう活用し、どう終わるか」まで考えることで、その真価を発揮します。旧NISAの非課税期間終了後の選択肢、そして新NISAにおける柔軟な非課税枠の活用は、あなたのライフプランに合わせて最適化されるべきです。
このガイドを参考に、NISAの出口戦略を事前に立て、後悔のない賢い資産形成を目指してください。計画的な「終わり方」を考えることが、安心してNISAを継続するための重要なステップとなるでしょう。