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NISAでS&P500に投資すべき?全世界株式と徹底比較シミュレーション

「新NISAでインデックス投資を始めたいけど、S&P500と全世界株式、どっちを選べばいいの?」 「人気のファンドだけど、実際のリターンやリスクってどう違うんだろう?」
NISAの「つみたて投資枠」でインデックスファンドを選ぶ際、特に人気が高いのがS&P500(米国株)と全世界株式に投資するファンドです。どちらも幅広い分散投資が可能で、長期的な資産形成に向いていると言われますが、その特性や過去のパフォーマンスは異なります。
この記事では、NISAで投資を検討するあなたのために、この2つの人気インデックスファンドに焦点を当てて徹底比較します。それぞれの具体的なパフォーマンスの違いや、どのような投資家がどちらのファンドに合っているのかを分かりやすく解説し、あなたの賢いNISAの銘柄選びをサポートします。
S&P500とは?米国経済の成長に賭ける投資

S&P500とは、米国株式市場の代表的な株価指数の一つで、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している主要な500社の株価を基に算出されます。これらの企業は、米国経済を牽引する巨大企業が多く含まれており、時価総額加重平均(企業規模が大きいほど指数に与える影響が大きい)で算出されるため、米国経済の動向を敏感に反映します。
NISAでS&P500に投資するメリット
1.高い成長性と過去のリターン実績: S&P500は、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)やマイクロソフトといった世界を代表するIT企業など、革新的な企業を多く含んでいます。過去を振り返ると、非常に高い成長率を記録しており、特に長期で見ると優れたリターン実績を持っています。
2.分散効果: 500社という幅広い企業に投資するため、特定の企業のリスクに集中せず、米国経済全体に分散投資する効果があります。
3.非課税メリット: NISA口座でS&P500連動型ファンドに投資すれば、運用益がすべて非課税になるため、効率的に資産を増やせます。
NISAでS&P500に投資するデメリット・注意点
1.米国への集中投資: S&P500は、あくまで米国経済に特化した指数です。そのため、米国経済が長期的に低迷したり、米国の特定の政策が企業活動に悪影響を与えたりした場合、大きな影響を受ける可能性があります。地域的な分散ができていない点が、デメリットと言えます。
2.為替リスク: S&P500連動型ファンドは、米ドル建ての資産に投資するため、円高が進むと、円換算での評価額が目減りする「為替リスク」を伴います。
全世界株式とは?グローバル分散でリスクを抑える投資

全世界株式とは、文字通り世界中の株式市場に投資するインデックスファンドが連動する指数のことを指します。代表的な指数としては「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)」などがあります。これらの指数は、米国、日本、欧州といった先進国から、中国、インドなどの新興国まで、世界中の数千〜1万社以上の企業に幅広く分散投資します。
NISAで全世界株式に投資するメリット
1.究極の分散投資: 地域、国、業種、企業規模など、あらゆる面で極めて広範囲に分散投資されます。これにより、特定の国や地域の経済が不振に陥っても、他の地域の成長でカバーされる可能性が高く、リスクを大きく抑えられます。
2.世界経済全体の成長を取り込む: 世界のどの地域が今後成長するかが読めない場合でも、全世界に投資していれば、その成長を取りこぼす心配がありません。
3.手間がかからない: 「これ1本」でグローバルな分散投資が完結するため、投資家がポートフォリオを細かく調整する手間がほとんどかかりません。
NISAで全世界株式に投資するデメリット・注意点
1.米国の比率が高い: 全世界株式と言っても、現在の指数では米国株式が全体の50%以上(ファンドによっては60%以上)を占めています。そのため、米国経済の動向に大きく左右される点はS&P500と共通しています。
2.リターンが平準化される可能性: S&P500のように特定の高成長地域に集中するファンドと比較して、極めて広範囲に分散されるため、特定の高成長地域の恩恵をフルに享受しにくい側面もあります。結果として、リターンが平均化される可能性があります。
あなたに合うのはS&P500?それとも全世界株式?

S&P500と全世界株式、どちらがあなたのNISA運用に合っているかは、あなたのリスク許容度や投資に対する考え方によって異なります。
NISAでS&P500が向いている人
・米国経済の成長に期待している人: 世界経済を牽引する米国企業の成長力に魅力を感じる方。
・ある程度の為替リスクは許容できる人: ドル円の為替変動による評価額のブレも理解している方。
・高リターンを積極的に狙いたい人: 短期的なリスクよりも、過去のパフォーマンスから高いリターンを追求したい方。
・シンプルな運用をしたいが、ある程度の集中投資でも構わない人: 米国に集中することで、迷う要素を減らしたい方。
NISAで全世界株式が向いている人
・徹底した分散投資でリスクを抑えたい人: 特定の国や地域のリスクに偏りたくない方。
・世界経済全体の成長を幅広く取り込みたい人: 将来どの国や地域が成長するか読めないと感じる方。
・為替リスクを間接的に分散したい人: 米国以外に日本や欧州など複数の通貨圏に分散されるため、為替リスクが分散される側面があります。
・「これ1本」で手間なく運用を完結したい人: リバランスの手間をかけずに、究極の「ほったらかし投資」を目指したい方。
まとめ:S&P500も全世界株式も、どちらもNISAの優れた選択肢
S&P500と全世界株式は、どちらもNISAの「つみたて投資枠」で選べる、非常に優れたインデックスファンドです。
・S&P500: 米国経済の成長に集中投資し、高いリターンを狙いたいが、為替リスクと米国集中リスクを許容できる方向け。
・全世界株式: 究極の分散投資でリスクを抑えつつ、世界経済全体の成長を幅広く取り込みたい方向け。
過去のパフォーマンスはS&P500が優位だった時期もありますが、将来がどうなるかは誰にも分かりません。あなたのリスク許容度と投資に対する考え方、そして「何に重点を置きたいか」によって最適な選択は異なります。
どちらを選んでも、NISAの非課税メリットを活かした長期・積立投資を継続することが、資産形成を成功させる最も重要な鍵です。この記事を参考に、あなたにぴったりのファンドを選んで、賢くNISAでの資産形成を始めてみませんか。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。