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NISAの銘柄選びで失敗しないために|つみたて投資枠・成長投資枠別の判断基準を解説

NISAで投資を始める際、「どの銘柄(商品)を選べばよいか分からない」という悩みは多くの方が抱えるものです。つみたて投資枠は金融庁の基準を満たした投資信託が対象であり、成長投資枠では個別株やETFも選択肢に入るため、両者で重視すべき判断基準はまったく異なります。この記事では、投資枠ごとに確認すべきポイントを整理し、家計の状況や投資目的に応じた商品選びの考え方を解説します。
つみたて投資枠の商品選び|確認すべき3つのポイント

つみたて投資枠の対象商品は、金融庁が「長期・積立・分散投資に適した」と定める要件を満たした投資信託に限定されています。2025年12月19日時点で347本が届出されており、購入時手数料はゼロ(ノーロード)、信託報酬にも法令上の上限が設けられているのが特徴です。
出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」
この前提があるため、つみたて投資枠の商品選びでは「粗悪な商品を避ける」よりも、「同種の商品の中で最もコストが低いものを選ぶ」ことに意識を集中させるのが合理的です。
ポイント①:同じ指数に連動するファンドなら信託報酬の低い方を選ぶ
信託報酬は投資信託を保有している間、毎日差し引かれる運用コストです。同じ指数(たとえばMSCI ACWIやS&P500)に連動するインデックスファンドは複数存在しますが、商品によって信託報酬は異なります。
金融庁の資料によれば、つみたて投資枠対象の指定インデックス投資信託の信託報酬は、国内型で法令上の上限が0.5%(税抜)、海外型で0.75%(税抜)と定められています。実際の平均は国内型で0.24%、海外型で0.32%(2025年12月19日時点)です。
同じ指数に連動するファンド同士であれば、運用成果はほぼ同じになるため、信託報酬の差がそのままリターンの差に直結します。0.1%の差でも20年間の積立では数十万円の違いになりうるため、同種のファンドの中で最も信託報酬が低い商品を選ぶことが基本となります。
ポイント②:純資産総額の規模と推移を確認する
純資産総額は、その投資信託に集まっている資金の合計額です。純資産総額が少ないファンドには、運用が途中で終了する「繰上償還」のリスクがあります。繰上償還が行われると、長期で保有する前提が崩れ、想定していた複利効果を得られなくなる可能性があるでしょう。
目安として、純資産総額が100億円以上で、かつ増加傾向にあるファンドを選ぶのが一般的です。純資産が安定して増えているファンドは、多くの投資家から資金が集まり続けている証拠であり、繰上償還のリスクが相対的に低いと判断できます。
ポイント③:分散の範囲が投資目的に合っているか
つみたて投資枠の主力商品は、大きく分けて「全世界株式型」「先進国株式型」「米国株式型(S&P500等)」「国内株式型」「バランス型」などがあります。どれを選ぶかは、ご自身がどの程度の地域分散を求めるかによって決まります。
・全世界株式型:1本で日本を含む先進国・新興国の幅広い銘柄に分散投資できる。「迷ったらこれ」という選択肢として広く選ばれている
・米国株式型(S&P500連動):米国経済の成長に集中投資する形になる。分散度は全世界型より低いが、過去のリターン実績では優位な時期もあった
・バランス型:株式だけでなく債券も組み入れることでリスクを抑える設計。値動きの幅を小さくしたい場合の選択肢
「どれが正解か」は投資目的やリスク許容度によって異なりますが、1本のファンドで完結する全世界株式型をコア(核)にする考え方が、分散投資の基本に沿った合理的な選択肢の一つです。
成長投資枠で個別株を選ぶ際の判断基準

成長投資枠(年間240万円)では、投資信託に加えて個別株式やETF、REITも購入できます。個別株への投資を検討する場合は、つみたて投資枠とは異なる視点での確認が必要です。
業績の安定性:売上・利益の推移を確認する
個別株を選ぶ際に最も基本となるのは、過去数年間の売上高・営業利益・純利益が安定して伸びているかの確認です。一時的な好業績ではなく、継続的に利益を生み出せる企業かどうかを見極めることが重要になります。赤字が続いている企業は、株価の回復が見込めないリスクを抱えています。
財務の健全性:倒産リスクを測る
企業の「体力」を測る指標として、以下のポイントを確認しておきましょう。
・自己資本比率:業種にもよりますが、一般的に30%以上あれば財務は比較的健全とされる
・有利子負債の水準:売上や利益に対して過度な借入がないか
・手元資金(現預金):不況時に耐えうる資金的な余裕があるか
NISAは非課税保有期間が無期限のため、長期保有を前提に選ぶことが多くなります。財務が脆弱な企業に長期投資すると、最悪の場合は投資額がゼロになるリスクもあるため、業績だけでなく財務の健全性も必ず確認しましょう。
高配当株を検討する場合:配当の「持続可能性」を見る
NISAの非課税メリットを活かして高配当株に投資する場合、一時的な高利回りではなく配当の持続可能性を重視する必要があります。
・配当実績:過去10年程度の配当推移を確認し、減配や無配の履歴が少ないか。連続増配の傾向があればなお望ましい
・配当性向:利益のうち何%を配当に回しているかを示す指標。配当性向が80%を超えている場合は、業績が少し悪化しただけで減配に転じるリスクが高まる。目安として50%前後であれば、企業内部への再投資余力と配当維持のバランスが取れていると判断できる
投資枠に共通する判断基準

つみたて投資枠・成長投資枠のいずれにおいても、商品選びの前提として押さえておくべきポイントがあります。
NISAでは損益通算ができない点を理解しておく
NISA口座で発生した損失は、特定口座や一般口座の利益と相殺する「損益通算」ができません。つまり、値下がりした商品を売却しても税制上のメリットは得られないということです。この制約があるからこそ、「値下がりしても長期保有で回復を待てる商品か」「そもそも元本割れのリスクに耐えられるか」を事前に検討しておくことが欠かせません。
リスク許容度は「下落時の自分の行動」で判断する
リスク許容度とは、「どの程度の値下がりまで耐えられるか」を示す目安です。これを正しく把握するには、「もしポートフォリオ全体が一時的に20%〜30%下落しても、売却せずに保有し続けられるか」と具体的に想像してみるとよいでしょう。
リスク許容度を超えた投資は、下落局面で感情的な売却(いわゆる「狼狽売り」)を招き、長期投資のメリットを失う最大の原因になります。投資に回す資金は、生活費や近い将来に使う予定のある資金を除いた「余裕資金」であることが前提です。
投資信託は「分配金再投資型」が非課税メリットを活かしやすい
投資信託の中には、運用益を分配金として定期的に支払う「分配金支払い型」と、分配金を出さずに自動で再投資する「分配金再投資型(無分配型)」があります。NISAの非課税メリットを活かすには、分配金を再投資して複利効果を最大化する「分配金再投資型」を選ぶ方が、長期的な資産成長の面で有利になりやすい構造です。
まとめ|投資枠ごとに「何を重視するか」を明確にして選ぶ
NISAの銘柄選びで重要なのは、流行のランキングに頼ることではなく、投資枠ごとの特性を理解したうえで、自分の基準を持つことです。
つみたて投資枠では:
・金融庁の要件を満たした投資信託が対象であり、同じ指数に連動するファンドなら信託報酬が最も低いものを選ぶ
・純資産総額100億円以上で増加傾向にあるファンドを目安にする
・全世界株式型をコアに据える考え方が分散投資の基本に沿っている
成長投資枠(個別株)では:
・業績の安定性(売上・利益の推移)と財務の健全性(自己資本比率等)を確認する
・高配当株は配当の持続可能性(配当性向50%前後が目安)を重視する
共通事項として:
・NISA口座では損益通算ができないため、長期保有で回復を待てる商品を選ぶ
・リスク許容度を超えた投資は、下落時の狼狽売りにつながる最大のリスク
・投資信託は分配金再投資型が非課税メリットを活かしやすい
NISAは非課税保有期間が無期限の制度です。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、長期で保有し続けられる商品を選ぶことが、この制度のメリットを最大限に活かす鍵になります。
出典:金融庁「NISAを知る」
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆した記事です。執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。



