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iDeCoは複数口座開設できる?口座管理の落とし穴

「複数の金融機関に分散して運用した方がいいのかな?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)の運用を検討する際、複数の金融機関で口座を開設して、それぞれの特徴を活かして運用したいと考える方もいるかもしれません。しかし、iDeCoの口座管理には、NISAや他の金融商品とは異なる特別なルールがあります。このルールを理解せずに手続きを進めてしまうと、思わぬ手間やコストがかかってしまう可能性があります。
この記事では、iDeCoの口座開設は一人一口座であるという基本的なルールを再確認します。そして、複数の運用管理機関で口座開設ができないことの注意喚起と、金融機関を変更(移換)する際の注意点まで、iDeCoの口座管理における落とし穴を解説します
iDeCo口座は一人一口座が原則

iDeCoの口座は、一人につき一つの金融機関でしか開設できません。
複数の運用管理機関での口座開設はできない
・ルール: iDeCoの口座開設は、国民年金基金連合会に登録された一つの運営管理機関(証券会社や銀行など)に限定されています。
・理由: iDeCoは国の年金制度の一部であり、正確な加入者情報と資産状況を一元的に管理する必要があるためです。複数の口座があると、情報が分散し、管理が複雑になるため、このようなルールが定められています。
複数開設のメリットは「別の口座」で
・NISAなど他の投資制度では、複数の金融機関で口座を開設できる場合があります。
・iDeCoでは複数の金融機関で運用するメリットを享受できませんが、NISAや特定口座など、iDeCo以外の口座を複数開設し、iDeCoと合わせて資産全体でバランスの取れたポートフォリオを構築することは可能です。
口座変更はできる?金融機関変更(移換)の注意点

一つの金融機関でしか口座開設できないiDeCoですが、途中で他の金融機関に口座を移すことは可能です。これを「金融機関変更(移換)」と呼びます。
金融機関変更(移換)の手続き
1.変更先の金融機関で手続き:まず、口座を移したい新しい金融機関で、移換手続きを行います。
2.書類の提出:新しい金融機関から送付される「運営管理機関変更届」などの書類を記入・提出します。
3.資産の移換:手続きが完了すると、それまで積み立ててきた資産が、新しい金融機関のiDeCo口座に移されます。
金融機関変更(移換)の注意点
・手数料が発生する:金融機関変更(移換)には、手続き手数料がかかる場合があります。手数料の金額は、変更元の金融機関によって異なります。
・運用できない期間がある:移換手続き中、資産は一時的に現金化されるため、運用が停止します。この間は運用益を得られず、市場の変動に対応できません。
・慎重な検討が必要:手数料や運用停止期間などのデメリットがあるため、慎重に検討して変更手続きを行う必要があります。
まとめ:iDeCo口座は「一つ」を賢く選ぶ
iDeCo口座は、一人一口座という原則をしっかりと理解しておくことが、無駄な手間やコストを避ける上で非常に重要です。
・iDeCoは複数口座開設できない:他の投資制度とは異なり、一人で複数の運用管理機関にiDeCo口座を開設することはできません。
・金融機関変更は可能だが注意が必要:口座を他の金融機関に移すことは可能ですが、手数料や運用停止期間などのデメリットがあるため、慎重な検討が必要です。
・最初に賢く選ぶ:運用商品のラインナップ、手数料、サービス内容などを十分に比較検討し、最初の口座開設時に最適な金融機関を選ぶことが、長期的なiDeCo運用を成功させる鍵となります。
これらのポイントを押さえて、iDeCoの口座管理を適切に行い、あなたの老後資金を効率的に形成していきましょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。