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iDeCoの運用益にかかる税金は?非課税の範囲を徹底解説

「運用益が非課税って聞くけど、具体的にどんな利益が対象なの?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を準備するための強力な制度です。その魅力の一つに、「運用益が非課税になる」というメリットがあります。しかし、この非課税が具体的にどのような利益に適用されるのか、そしてNISAと何が違うのか、疑問に思う方もいるかもしれません。
この記事では、iDeCoの運用益が非課税である具体的な仕組みを徹底解説します。売買益、配当金、利息など、どのような運用益が非課税の対象になるのかを明確にし、NISAとの非課税範囲の共通点と相違点を比較します。iDeCoの非課税メリットを最大限に活かすためのヒントを提供します。
iDeCoの運用益が非課税である具体的な仕組み

iDeCoの運用益非課税とは、iDeCo口座内で運用している間、運用で得た利益には一切税金がかからないことを指します。これは、通常かかる約20%の税金がゼロになる、非常に大きな税制優遇です。
運用益が非課税になる対象
iDeCo口座内で運用している金融商品から得られる、以下のすべての運用益が非課税の対象となります。
売買益(キャピタルゲイン):
投資信託や株式(※iDeCoでは投資信託を通じて間接的に株式に投資)の価格が購入時よりも上昇し、売却することで得られる利益です。
配当金・分配金(インカムゲイン):
投資信託から支払われる分配金や、株式投資(投資信託を通じて)から得られる配当金です。
利息:
定期預金などの元本確保型商品で運用した場合に得られる利息です。
このように、iDeCoの非課税の範囲は非常に広く、運用中に得られるあらゆる種類の利益が税金の対象外となります。
運用益非課税のメリット
1.複利効果の最大化:
運用益が税金で引かれずに全額再投資されるため、利益がさらに利益を生む「複利効果」が最大限に発揮されます。税金が引かれない分、資産が雪だるま式に増えるスピードが加速します。
2.手数料負担の軽減:
iDeCoでは毎月口座管理手数料がかかりますが、非課税で増えた運用益がその手数料を上回れば、実質的なコスト負担を軽減できます。
iDeCoとNISA、非課税範囲の共通点と相違点

iDeCoとNISAはどちらも「運用益非課税」ですが、その非課税範囲には共通点と相違点があります。
共通点:運用益が非課税
iDeCoとNISAに共通するのは、運用で得た「運用益(売買益、配当金・分配金など)」が非課税になるという点です。
相違点:非課税の範囲と制度の仕組み
iDeCo:
・税制優遇の範囲: 拠出時、運用時、受け取り時の3段階すべてで優遇されます。
・掛金・投資額: 掛金が全額所得控除になります。
・運用期間: 運用期間中はずっと非課税となります。
・主な目的: 老後資金の準備に特化しています。
・資金の柔軟性: 低い(原則60歳まで引き出し不可)。
NISA:
・税制優遇の範囲: 運用時のみ優遇されます。
・掛金・投資額: 投資額に控除はありません。
・非課税期間: 運用期間中はずっと非課税(無期限)。
・主な目的: 幅広い資産形成(老後、教育、住宅など)。
・資金の柔軟性: 高い(いつでも引き出し可能)。
非課税メリットを最大限に活かす視点
iDeCoとNISAの非課税メリットを最大限に活かすためには、それぞれの制度の特性を理解し、賢く使い分けることが重要です。
iDeCoの非課税メリットを活かす視点
iDeCoは、「掛金控除」と「運用益非課税」の二重のメリットを享受できる点が最大の特徴です。
1.所得控除で現役時代の節税:
毎月掛金を拠出することで、所得税・住民税が安くなり、確実に手取りが増えます。
2.運用益非課税で資産を加速:
その掛金を元手に運用し、非課税で複利効果を最大限に活かすことで、老後資金を効率的に増やします。
3.出口戦略まで見据える:
受け取り時の税制優遇も考慮し、出口戦略まで含めて計画を立てることが、iDeCoの非課税メリットを最後まで享受する鍵です。なお、受取時の退職所得控除に関するルールなど、税制は改正される可能性があります。常に最新の情報を確認するようにしましょう。
NISAの非課税メリットを活かす視点
NISAは、iDeCoにはない資金の柔軟性と大きな非課税枠が特徴です。
1.老後資金以外の準備:
教育資金や住宅購入資金など、将来使うかもしれない資金を非課税で増やしたい場合に活用しましょう。
2.iDeCoの掛金上限を超える投資:
iDeCoの掛金上限まで拠出した上で、さらに老後資金を積み増したい場合に、NISAの年間投資枠(360万円)を活用しましょう。
3.老後資金の柔軟な確保:
老後も、iDeCoで固定した資金とは別に、NISA資産を非課税で取り崩すことで、より柔軟な資金計画を立てることができます。
まとめ:iDeCoの「非課税」は「老後」、NISAの「非課税」は「幅広い資産形成」
iDeCoとNISAは、どちらも運用益が非課税になるという共通点がありますが、その非課税の範囲や制度の目的は大きく異なります。
・iDeCo: 掛金控除、運用益非課税、受け取り時控除の3段階優遇。老後資金を確実に、税制優遇を最大限にして貯めることに特化しています。加入は20歳以上65歳未満の公的年金加入者であり、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取ります。
・NISA: 運用益非課税。資金の柔軟性が高く、幅広い目的で非課税投資をしたい場合に適しています。
あなたのライフプランや資産形成の目的を明確にし、iDeCoの非課税メリットとNISAの非課税メリットを賢く使い分けることが、豊かな未来への道を開くでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。