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iDeCoの運用実績の「含み損」は大丈夫?長期視点で考える

「含み損が出ているけど、このまま積み立てを続けても大丈夫なの?」
iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を準備している方にとって、運用実績がどうなっているのかは、やはり気になるところですよね。特に、市場が不安定な時や、初めて資産運用をする方だと、「含み損(評価損)」が出ているのを見ると、不安になってしまうかもしれません。
しかし、結論から言うと、iDeCoの運用実績における一時的な含み損は、決して珍しいことではありません。 大切なのは、その状況で慌てず、長期的な視点を持つことです。
この記事では、iDeCo運用で一時的な含み損が発生する理由と、慌ててスイッチングしないことの重要性を解説します。さらに、積立を継続することによるドルコスト平均法の効果まで、含み損局面でも冷静に、そして前向きにiDeCo運用を続けるためのヒントを提案します。
一時的な含み損は長期運用ではよくあること

iDeCoで含み損が発生するのは、運用している投資信託などの評価額が、これまでに積み立てた掛金の累計額を下回っている状態です。これは、主に市場の変動によって起こります。
含み損は「評価上」の損失
含み損とは、あくまで「評価上」のマイナスであり、実際に商品を売却して現金化しない限り、損失は確定しません。iDeCoは原則60歳まで引き出せない長期運用なので、一時的な含み損は、投資における「通過点」だと考えましょう。
市場のサイクルを理解する
・投資の世界では、好景気と不景気のサイクルを繰り返してきました。株式市場は、短期的には下落する局面がありますが、過去の歴史を振り返ると、長期的に見れば右肩上がりに成長してきた傾向があります。
・この市場のサイクルを理解しておくことで、一時的な含み損に遭遇しても、慌てず冷静に対応する心の準備ができます。
含み損が出ても慌ててスイッチングしないことの重要性

iDeCoで含み損を抱えた時、「このまま放置していいのか?」と不安になり、リスクの低い元本確保型商品などに慌ててスイッチングしてしまう方がいます。しかし、これは長期的な運用において、かえって損失につながる可能性があります。
スイッチングとは何か?については、以下の記事を参考にしてください。
iDeCoのスイッチングとは?運用商品の見直しで資産を増やす方法
「狼狽売り」で損失を確定させてしまう
・含み損が出た状態でスイッチングすると、その損失が確定してしまいます。これは「狼狽売り」と呼ばれ、長期投資において最も避けるべき行動の一つです。
・その後市場が回復した場合、本来得られたはずの利益の機会を逃し、損失を確定させただけになってしまいます。
スイッチングのタイミングは予測できない
・市場の底を正確に予測することは、プロでも不可能です。「今が一番安いから、ここでスイッチングすれば大丈夫」と判断するのは非常に危険です。
・スイッチングは、感情に流されて行うのではなく、明確な運用方針の見直しやポートフォリオのリバランス目的で行うことが大切です。
積立継続による「ドルコスト平均法」の効果

市場が下落し、含み損が出ている時こそ、iDeCoの積立投資が持つ「ドルコスト平均法」の真価が発揮されます。
ドルコスト平均法の仕組み
ドルコスト平均法とは、毎月、決まった金額で同じ運用商品を買い続ける投資手法です。
・価格が高い時: 同じ金額で、少ない口数(株数)を購入します。
・価格が安い時(暴落時): 同じ金額で、多くの口数(株数)を購入します。
含み損局面こそ「買い場」である
・市場が下落し、運用商品の価格が安くなった時こそ、同じ掛金でより多くの口数(株数)を購入できる「バーゲンセール」のような期間です。
・この時期に積立を継続することで、全体の買付単価を下げることができます。
・市場が回復した際には、平均購入単価が引き下げられた分、より大きな含み益が期待できるでしょう。
積立を止めてしまうことの危険性:
・含み損が出たからと積立を停止してしまうと、最も安い価格で買い付けられるこの「買い場」を逃してしまいます。これは、長期的な視点で見れば大きな機会損失となります。
まとめ:iDeCoの含み損は「成長痛」と捉え、冷静な判断を
iDeCoの運用で含み損を抱えることは、長期投資における避けられない「成長痛」のようなものです。大切なのは、その際に感情に流され、慌てて売買してしまうのではなく、冷静かつ合理的な判断を下すことです。
・含み損はあくまで「評価上」の損失であり、長期投資の「通過点」だと考えましょう。
・慌ててスイッチングすることは避け、ドルコスト平均法の恩恵を信じて、積立を継続することが何よりも重要です。
・市場が下落した時こそ「買い場」と捉え、冷静に運用を続けることが、iDeCoの運用を成功させる鍵です。
これらのポイントを押さえることで、あなたのiDeCo運用は、より安心して、そして着実に老後資金を増やすための軌道に乗るでしょう。
本記事は、CFP資格保有者であり、J-FLEC認定アドバイザーの金子賢司が執筆しています。当記事の執筆者「金子賢司」の情報は、CFP検索システムおよびJ-FLECアドバイザー検索システムにてご確認いただけます。北海道エリアを指定して検索いただくとスムーズです。